【プロ野球・MLB「春の異変」⑥】日米で話題席巻! ヤンキース発「魚雷バット革命」
「魚雷バット」の影響もあるのか、ヤンキースは開幕直後に1試合9本塁打の球団新記録を樹立した
開幕から1ヵ月。日米の野球界で巻き起こったさまざまな"波乱"を徹底解説する!【プロ野球・MLB「春の異変」⑥】
■普及が早すぎて効果は一時的?MLB新記録の「開幕4戦18本塁打」、球団新記録の「1試合9本塁打」と、開幕早々に打ちまくっているヤンキース。
その要因として注目を集めているのが「魚雷バット」だ。先端が最も太い従来のバットとは異なり、ボールの当たりやすい場所を芯にすることで、先端よりも中央部分が太い形状に。ボウリングのピンや魚雷を連想させるこの新型バットは、ヤンキース以外の球団でも使用者が増加中だ。
「実際に本塁打数が増えているので効果はあるのでしょう。トラッキングデータの活用という点では、これまで投手ばかりが恩恵を受けていただけに、そろそろ打者の反撃も必要。選手に応じて一番当たる場所を芯にする発想の転換自体は評価されるべきです」
こう答えてくれたのは本誌おなじみの野球評論家、お股ニキ氏だ。MLBに精通する識者は、ヤンキースの置かれた状況が新バット誕生の背景にありそうだと分析する。
「ヤンキースのいるア・リーグ東地区はMLBの中でも特に情報戦が激しく、よく言えば勝ちにこだわる傾向が強い地区です。そのような背景が魚雷バットの考案や導入に結びついた可能性はあります」
ただ、ヤンキース内でも主砲のアーロン・ジャッジは使用せず。大谷翔平(ドジャース)も「今のバットに満足している」と語り、昨季の両リーグMVPが使用しない方針という点は興味深い。
「ポイントを近づけて、やや差し込まれながら打つ打者には恩恵がありそうですが、ジャッジや大谷、ホセ・アルトゥーベ(アストロズ)ら、もともとバットを長く使えて、前でさばいてボールを芯でとらえられるタイプにはあまり効果がないと感じます」
また、お股ニキ氏は「普及が早すぎることが魚雷バットの効果を一時的なものにするのではないか」と指摘する。
「ただでさえ情報の賞味期限が短い時代。投手側も早速このバットの特性に気づき『バットの先に芯がないから、外角いっぱいに投げればいい』という配球で対策を講じています。どんなバットでも当たらなければ意味がないです」
この点は、魚雷バットの使用が緊急承認された日本球界でも同様だという。
「日本はMLBよりもストライクゾーンがワイドなので、投手はより対策しやすいはず。それに、高校野球でも使用は問題ないようです。ボールに差し込まれるという悩みを抱える高校球児は多いので、試してみる価値はありそうです」
果たして、魚雷バットは投高打低を改善する救世主となるのだろうか。
*成績は日本時間4月22日時点
文/オグマナオト 写真/時事通信社
記事提供元:週プレNEWS
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