外国人観光客をターゲットに広がる北海道・ニセコ薬物汚染の現実
イチオシスト

外国人観光客の集中で、物価が爆上がり中のニセコ。違法薬物も例外ではなく、そこに目をつけた地下組織が暗躍しているという
世界が注目するスキーリゾートとして、各国からスキーやスノーボードを楽しむ人が集まる北海道のニセコ。その魅力はなんといっても豊富な降雪量と稀有な雪質で、12月からのオンシーズンになると、北海道の片田舎といった風情の街は、国際色豊かな街へと変貌する。
「最近は特に中国からのお客さんが増えています。いま、温暖化で雪そのものの希少性が上がっており、今後スキーリゾートの価値が増すとみられている。良質なパウダースノーで知られるニセコは、そのトップブランドに位置し、ニセコブームが起きてから10年以上経った今でもスキー場に近いエリアは開発され、コンドミニアムや別荘地がどんどん建てられています。
スキー場に直接歩いていけるような好立地の場所ですと、5億や6億を超すコンドミニアムもたくさんあります。『アリババ』創業者のジャック・マーの別荘もニセコにあるのですが、一等地に豪華絢爛な母屋と、さらに離れがいくつも建てられていますよ」(地元の不動産業者)
加熱するニセコエリア周辺では、違法建築や森林の違法伐採も横行。自然への悪影響も指摘され、社会問題化してきた。
「分譲区画を整備するために山を伐採しまくった中華系の業者がいて、6月に工事の中止勧告を出されました。また、10月には外国人労働者向けに建設中のアパートが違法増築していることが発覚、下水道にすらつないでいないため、地域の住人から不安の声が上がっているのは事実です」(前出・不動産業者)
ニセコエリアで働く観光従事者はタイ、フィリピン、マレーシアといった外国から連れてこられた人材が登用されており、日本人は少数派だ。
「ニセコの観光は12月~3月のシーズンで1年の利益のほとんどを稼ぐモデルで、客は富裕層の外国人ばかり。英語が話せないと使い物にならず、そうなると日本人を雇うよりアジアの人材のほうが安い。立ち並ぶコンドミニアムや高級ホテルも外資の進出がすさまじく、『土地を所有するのも外資、働くのも外国人、お金を落とすのも外国人』。もはや日本人の街ではなくなっていると嘆く地元住人は多いです」(同前)
【外国人を目当てに地下組織が暗躍】雪国マネーが舞うニセコだが、違法建築や伐採とは違った面で、イリーガルな状況が進行している。現地のスキー場関係者はこう話す。
「朝からスノーボードやスキーを楽しんで、くたくたになるまで滑ったとて、15時くらいには部屋に戻るでしょう。温浴施設やサウナもあるから、そこで疲れを癒すことも多い。けど、それ以外にすることがない。外国人観光客たちがニセコに抱く不満の〝あるある〟です。ある時期からその隙間を縫うように、日本の地下組織が入り込んできた。彼らはクスリを扱っているんだよ」(スキー場関係者)

外国人スノーボーダーにも人気だという大麻
このスキー場関係者がいうには、ハイシーズンになると閑静なニセコエリアにも大音量で音楽を楽しむような盛り場ができて、そうした店の周辺で取引されるという。
「ニセコは家族連れで来るお客さんが多いから、覚せい剤のようなハードドラッグは流行っていないそうです。スノーボードの前に大麻を吸ったり、温泉に入る前にワックス(大麻から成分を抽出したもの)を回し吸いしたり。
海外では横乗り系スポーツと大麻は結びつきが強いですからね。あるいは、多幸感に包まれるというエクスタシーが人気だそうです。たしかにあるバーに行くと、お酒とは明らかに違う雰囲気のオーストラリア人に出くわすことが多いですね」
【現地の警察が足りていないのも一因!?】ニセコに蔓延(はびこ)る薬物汚染について、北海道の暴力団関係者にも話を聞いたが、口から出たのはよりハードな実情だ。
「あいつらみんなカネ持ってるから、日本の相場の2~3倍で売ってるよ。マリファナなら1グラムちょい使った太巻きのジョイントが1本1万。コカインなら1グラム4~5万。エクスタシーも1錠1万円はとれる。バーで知り合った客に売りつけるのなんて、危ないからやらないよ。中国なら中国、カナダならカナダ、オーストラリアならオーストラリアと、彼らが使ってるSNSのクローズドなコミュニティがあって、そこにそれっぽい投稿をするだけ。
冬のニセコは1メートル先が見えないくらい吹雪くこともあるから、運転は面倒だけど、粗利はとんでもなくいい。現地に警察なんてほぼいないから、リスクも極小。だいたい、ニセコエリアの警察なんて外国人捕まえたところで司法通訳の手配にも困るような田舎なんだからね。俺たちみたいな組織の連中だけでなく、各国独自のネットワークもある。相当の量の薬物がニセコには出回っているよ」(暴力団関係者)
観光地でハメを外したいのは皆同じだが、薬物汚染は見過ごせない。重大な事故が起きる前に、対策を講じるべきだろう。
文/新田勝太郎 写真/photo-ac.com
記事提供元:週プレNEWS
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