前年覇者の石川遼は大会4勝の好相性大会に臨む 「4日間でパープレーなら100点満点」とする難所は何番ホール?
イチオシスト
<三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報◇12日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
昨年大会で節目となるツアー通算20勝目、大会最多となる4勝目を挙げた石川遼。「気持ちが上がるというより、落ち着く」という相性のいいコースでディフェンディングチャンピオンとして連覇をかけた戦いが始まる。
プロ3年目の2010年に大会初優勝を遂げると、12年、そして10年空いて22年、24年と昨年は単独となる大会最多優勝を挙げた。過去の4勝を振り返ると「苦しんで、苦しんで、1勝目以外はけっこう苦しかったなっていう感じです」としながら、「(コース)改修前に2勝、改修後に2勝というのは自分としてはすごくうれしい」と話した。
舞台となる太平洋クラブ御殿場コースは、日本を代表するコースだが、2018年に松山英樹監修、世界的名設計家のリース・ジョーンズの手によって全面改修が行われ、“国際水準”のトーナメントコースとして生まれ変わった。ハザードの位置、グリーン周りや池の形状を変更し、トーナメント開催はパー72から70にして行われるようになった。
改修後は2年連続予選落ちを経験。「パー72のイメージが自分の中にこびりついていて、スコアを伸ばせるコースだと思ってガンガン攻めて、痛い目を見た」と振り返る。「マネジメントをがらりと変えて挑んで、耐えながら2勝している。コースに対してのイメージは最初の2勝と比べてガラッと変わった。マネジメント力が求められるコースになった」と攻守の切り替えを巧みに行った結果が改修後の2勝である。
相性のいいコースといえるが、過去の“経験”に頼るつもりはない。「コースは変わっていないけど、自分のゴルフは毎年変わっている。飛距離はドライバーだったらキャリーで5ヤードぐらい伸びた。弾道も1年前とは違うし、イメージも変わっている。その年その年で自分は多少の変化がある。毎試合、変化に合わせていく作業と同じように、(今年も)コースと向き合う」と今年は今年の“石川遼”で御殿場に臨む。
特に注意するホールは6番(510ヤード)と11番(505ヤード)。通常営業はパー5だがパー4に設定された2ホールである。6番は右ドッグレッグホールでティイングエリアからは着がせり出し、ドローが打ちにくく、左に外すと林に入りやすい。加えてグリーン手前には池が大きく待ち受ける。11番は左右にフェアウェイバンカーがあるが、プロの飛距離だと左サイドが気になる位置にある。
「昨年6番と11番は左にいかないフェードみたいな球筋を打っていたんですけど、今年はその球種を打っていない。11番は左のバンカーに入ったらしょうがないという感じで本来のドローで打とうかなと思っています」と今季打っていない球筋を今週も使う予定はない。
6番は石川のみならず多くの選手が苦戦する難度1位のホール。「6番は2打目もプレッシャーがあるけど、ティショットをミスすると3打目で100ヤード残ったりするので、2打目は長いクラブでもグリーン回りまでもっていったほうがパーの確率も上がると思う」とティショットが重要になる。
「6番は4日間でパープレーなら100点満点だと思うし、6番と11番で(4日間)パープレーに近づけられるか、そこのテーマはあると思います」。昨年は6番と11番の4日間のスコアは2アンダー。9位タイだった23年は2オーバーだったことから、カギとなる2ホールになる。
今季は開幕から10試合トップ10入りがなかったが、「ずっと自分の状態自体は悪くなかった。スコアに直結するアプローチやリカバリー系の部分が夏ぐらいからよくなってきた」。9月の「フジサンケイクラシック」で10位タイに入ると、「ANAオープン」2位と優勝争いに加わり、直近3試合は3位、5位、7位タイとトップ10入りを続けている。
取り組んできたショートゲームの成果が発揮されると、成績も伴ってきた。今季初優勝も近いと思われるが、「勝とうと思って勝てる世界ではない。自分ができることに集中することしかできない」と72ホール先のことは想像していない。
「(コースに対して)自分がどういうジャッジをして、どういう攻め方をしてというのは、自分でコントロールでききる。これからのいろんな状況の中で必要になってくる能力だと思う。今週はそういう部分に集中したい」。マネジメント力を駆使して、1打1打コースとの戦いが連覇につながる。(小高拓)
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