【JMS 2025】メルセデス・ベンツ:電動化の未来を示す「AMG GT XX」と史上最もインテリジェントな「新型CLA」を世界に発信
            イチオシスト
        ジャパンモビリティショー2025でメルセデスが未来を提示。AMGの電動コンセプト「GT XX」、新OS搭載の「新型CLA」、そして「マイバッハ SL」などを発表。電動化と知能化で新時代のラグジュアリーを定義する。
ジャパンモビリティショー2025のメルセデス・ベンツブースでは、「フィール ザ メルセデス」をコンセプトに、ブランドの魅力を五感で体験できるプレゼンテーションが開催された。登壇したメルセデス・ベンツ日本合同会社の社長兼CEO、ゲルティンガー 剛氏と、メルセデスAMG CEO兼メルセデス・ベンツ社トップエンドモデル部門責任者のミヒャエル シーべ氏が、ブランドの未来を象徴する数々の最新モデルやコンセプトカーを披露した。
メルセデスAMGが示す電動パフォーマンスの未来
プレゼンテーションの冒頭、ミヒャエル シーべ氏が登壇し、メルセデスAMGの電動化戦略について語った。
「AMGは感情的な決定とドライビングパフォーマンスを提供します」とシーべ氏は語り、その約束を具現化する存在として、電気自動車の頂点を示すコンセプトカー「CONCEPT AMG GT XX」を紹介した。
このコンセプトカーは、将来のハイパフォーマンスカー向けにAMGが独自開発した電動アーキテクチャ「AMG.EA」を初めて採用したモデルである。革新的な技術の核心をなすのが、F1技術から着想を得た「アキシャル・フラックス・モーター」だ。 シーべ氏は、「従来のモーターよりも小さく、軽く、高出力であり、この技術を完全な電気自動車に搭載しているのは世界で我々だけです」とその優位性を強調した。このモーターを3基搭載することで、システム最高出力は1,000kW(1,360PS)を超える圧倒的なパワーを発揮する。
バッテリーもまた、セルの設計から完全に見直された新開発のものである。 背が高く直径の狭い円筒形セルと、各セルを直接冷却する画期的なダイレクトクーリングシステムにより、極限状態でも精密な温度管理が可能となった。 これにより、約5分で航続距離約400km分のエネルギーを充電できる超高速充電と、持続的なハイパフォーマンスを両立させている。
このAMG.EAプラットフォームの驚異的な耐久性を証明するため、「AMG GT XXX」と名付けられたプロトタイプが開発された。シーべ氏は、「この車はイタリアの高速周回コースで、時速300km(最低速度220km/h)で一週間以上走り続け、充電時にのみ停車しました。その結果、24時間でのEV最長走行距離記録を更新し、従来の記録(3,700km)を大幅に上回る合計4,075kmを達成しました」と、その驚異的な性能を明らかにした。
このプラットフォームに基づく市販モデルは、来年の市場投入が予定されている。
MB.OS搭載、史上最もインテリジェントな「新型CLA」
続いて登壇したゲルティンガー社長は、メルセデス・ベンツの未来を担うモデルとして、来年日本導入予定の「新型CLA」を紹介した。
「このCLAは、現在メルセデスが提供する車の中で最もインテリジェントな車です」とゲルティンガー氏が語る通り、このモデルには独自開発の車載OS「MB.OS」が初めて全面的に採用されている。MB.OSは車両制御からナビゲーション、クラウド連携、AIまでを一元管理し、より高度なレベル2の運転支援を実現する。 また、主要機能はOTA(Over-the-Air)によって定期的にアップデートされ、常に最新の状態を保つことができる。
インテリアでは、運転席から助手席までが一体となった「MBUXスーパースクリーン」がオプション設定され、スマートフォンライクな直感的操作を提供する。 足回りには新開発のマルチリンク式リアサスペンションを採用し、上位モデルに匹敵する乗り心地と走行安全性を実現。パワートレインには新開発の2速トランスミッションを搭載し、1速で力強い加速を、2速で高速域での効率的な走行を可能にしている。
多様化するラグジュアリーの形
プレゼンテーションでは、さらに多様な電動モデルとコンセプトカーが披露された。
• 新型GLC(BEV): メルセデスの伝統とEV時代の先進性を融合させた、新たなデザインの幕開けを象徴するフロントグリルが特徴だ。 内燃機関モデルの機能部品であったグリルは、イルミネーションが施されたハイテクアートへと進化した。
• コンセプトカー Vision V:
「移動するプライベートラウンジ」をコンセプトとした、未来のプレミアムラグジュアリーバンの姿を示す。 後席には格納式の65インチシネマスクリーンや42個のスピーカーからなるサラウンドシステムを搭載し、これまでにない没入感のある車内体験を提供する。
• メルセデス・マイバッハ SL:
プレゼンテーション当日に発売が発表されたこのモデルは、「SLの伝統とマイバッハのエクスクルーシブ感を融合させた、歴史上最もスポーティーで革新的なモデルです」とゲルティンガー氏は紹介した。 伝説的な名車「マイバッハ」の哲学に基づき、洗練された美学と最高の快適性を2シーターオープンモデルで実現している。 また、今後のブランド体験の拠点として、「来年以降、全国4箇所にマイバッハ・ラウンジが設置される予定です」という計画も発表された。
自分だけの一台を創り上げる「MANUFAKTUR」
メルセデス・ベンツは、顧客の多様な個性に寄り添うカスタマイズプログラム「MANUFAKTUR(マヌファクトゥーア)」も紹介した。内外装に豊富なバリエーションを用意し、特別なカラーや上質な素材を自由に組み合わせることで、自分だけの一台を創り上げることが可能だ。
ブースでは、「GT 63 Pro」と、特徴的なバイオレットのボディカラーをまとった「Gクラス」の展示も開始される予定だという。メルセデス・ベンツは、電動化の未来、インテリジェンスの進化、そして究極のパーソナライゼーションを通じて、新たな時代のラグジュアリーを定義し続けていく。
ジャパンモビリティショー2025にてアジアプレミアとして披露された「CONCEPT AMG GT XX」。その詳細を語るため、メルセデスAMG CEO兼メルセデス・ベンツ社トップエンドモデル部門責任者であるミヒャエル シーべ氏によるラウンドテーブルが開催された。そこで語られたAMGの未来戦略、技術的革新、そして電動化時代におけるパフォーマンスへの飽くなき追求について詳述する。
AMGが掲げる「二本柱」の戦略
シーべ氏はまず、AMGの未来戦略が二つの大きな柱に基づいていると説明した。
「先日披露させていただいたCONCEPT AMG GT XXはコンセプトカーであり、来年市販予定のAMG.EA(エレクトリックアーキテクチャ)を採用したモデルです。しかし、我々の戦略はEVだけに偏るものではありません」
一つ目の柱は、内燃機関(ICE)の継続的な開発である。
「今後もハイパフォーマンスな内燃機関車を開発し続けます。現在、次世代のV8パワートレインの開発が進行中です。その目標は、2027年から2028年頃に導入が予定されている欧州の新しい排ガス規制『EU7』などに対応すること、効率を上げること、そしてエンジン自体がさらにパワフルになることです」とシーべ氏は語る。アメリカや中東など、インフラや嗜好性の問題から内燃機関への需要が依然として高い市場が存在するため、顧客が自由に選べる選択肢を用意し続ける必要があるという。
そして二つ目の柱が、EV駆動系の開発だ。ICEと並行して電動化を強力に推進し、その原動力となるのが革新的な「アキシャル・フラックス・モーター」と新開発の「ハイパフォーマンスバッテリー」である。
電動化時代でも変わらぬ「レースで勝つ」ためのパフォーマンス
AMGの哲学の根幹には、「すべての車が“レースカーアプルーブ”、つまりサーキットでも走れるほどのパフォーマンスを持つべきだ」という考えがある。これは電動化時代においても揺るがない。
「我々が求めるのは、単なる0-100km/hの加速タイムだけではありません。レースで求められるような、急加速と急減速を繰り返す過酷な走行に耐えうるドライブトレインが必要です」
その要求に応えるのが、次世代の電動プラットフォーム「AMG.EA」である。このアーキテクチャは、強力なアキシャル・フラックス・モーターと、水冷式のハイパフォーマンスバッテリーを組み合わせた高度な冷却技術が特徴だ。これにより、極限状態でも車両を安定させ、持続的なパフォーマンスを発揮することが可能となる。
AMG.EAはリアに2つ、フロントに1つの合計3つのモーターを搭載しており、シーべ氏は「この3つのモーターをそれぞれ精密に、かつ個別にコントロールできることが技術的な大きな利点です」と強調した。その性能は絶大で、社内テストではAMG.EAを搭載したプロトタイプが、現行のハイパフォーマンスモデル「GT 63 S E PERFORMANCE」よりも速いラップタイムを記録したという。
この革新的なモーター技術は、F1のドライブトレインも開発するメルセデス・ベンツの100%子会社「HPP(ハイパフォーマンスパワートレイン)」との緊密な連携から生まれた。シーべ氏によれば、このモーターはメルセデスAMGのためだけに作られたものであり、社内では敬意を込めて「エレクトリックV8(EV8)」と呼ばれているという。
感情に訴えかけるAMGならではの顧客体験
顧客はAMGに何を求めているのか。シーべ氏は「外観のデザイン、パフォーマンス、そしてパワー。この3点がお客様が最も興味を持っていることです」と分析する。その上で、メルセデス・ベンツ本体との差別化をこれまで以上に進めていく戦略を明らかにした。
特にEVにおいては、ICE車が持つ官能的な体験、つまり「エモーション」をいかに提供するかが課題となる。
「バッテリーを搭載していても、スポーツカーとして地面に近い低いシートポジションを実現しなければなりません。そして、運転時の音や振動といった、ドライバーへの瞬時のフィードバックを返す技術が不可欠です」
サウンドデザインへの取り組みは、その象徴だ。AMGは、音楽業界出身のサウンドエンジニアと、かつてV8エンジンを開発したエンジニアという、出自の異なる2つのチームを結成。「この2チームを協働させ、電動車が発することができる最高のサウンドを作ることに注力しました」と、そのユニークなアプローチを語った。パドルシフトを操作した際には、あたかもクラッチがつながるかのような、伝統的なV8エンジンの感覚を再現することさえ目指しているという。
7日間の過酷な挑戦:「CONCEPT AMG GT XX」開発秘話
今回披露された「CONCEPT AMG GT XX」の鮮やかなオレンジのボディカラーは、1970年代に数々の記録を打ち立てた伝説的なコンセプトカー「C 111」へのオマージュである。
「この色は、我々がAMGの記録更新の伝統を継承していることを示すためのものです。この車は、ただ発表するだけでなく、実際にトラックでそのパフォーマンスを感じてもらうために作られました」
AMGのパフォーマンスへのこだわりは、ニュルブルクリンクでの記録更新にも現れている。すでに「AMG ONE」で最速記録を保持していたにもかかわらず、「もっとうまくできるはずだ」という探求心から再挑戦し、自らの記録をさらに更新した。
このコンセプトカーの開発の裏には、ドライブトレインとバッテリーの信頼性を証明するための、想像を絶する耐久試験があった。
「私たちは、この車を壊れることなく一定期間、継続して運転できることを証明したかったのです。最終的に、イタリアの高速周回路で7日間連続、24時間体制で走り続けるという試験を行いました。バッテリーにも一切休みは与えませんでした」
この過酷な挑戦にはHPPの技術者も参加し、F1レースさながらの戦略が応用された。用意された2台のプロトタイプはどちらも故障することなく走り切り、AMG.EAアーキテクチャの驚異的な信頼性と耐久性を証明したのである。
日本市場への期待と未来のモデル展開
最後にシーべ氏は、今後のモデル展開と市場について触れた。
「実は、日本はAMGにとって世界で最もシェアが高い市場の一つです。GクラスをはじめとするSUVセグメントも大変人気があります」
今後2~3年で、ICEとEVの両方を含む最も包括的な製品ラインアップの展開を予定しており、特に日本で成長ポテンシャルがあるミッドセグメントに多くの新モデルが投入される計画だ。また、強力なV8エンジンを搭載した「AMG GT トラックスポーツ」や、待望の「Gクラス コンバーチブル」、そして電動Gクラスである「EQG」も近日中の発表が示唆された。
電動化という大きな変革期にあっても、AMGの核心は変わらない。それは、レースで培われた技術を基盤に、圧倒的なパフォーマンスと感情に訴えかける体験を顧客に提供し続けるという、揺るぎない信念である。
(CONCEPT AMG GT XX部分:取材 内田俊一)

さらに、次世代のエントリーモデルとして注目を集める「新型CLA with EQ Technology」のウォークアラウンドプレゼンテーションが開催された。登壇したメルセデス・ベンツ グループ社のCLAプロダクトエキスパート、レナ ブルネンバーグ氏が、その革新的なデザイン、効率性、そして知能について詳細を語った。
究極まで高められた効率性と空力性能
新型CLAは、電気自動車時代の「1リッターカー」を目指して開発されたモデルであり、その効率性は驚異的なレベルに達している。
「このCLAの空気抵抗係数(Cd値)は0.21という、非常に優れた値を実現しています。エネルギー消費量も100kmあたり12.2kWhという素晴らしい数値を達成しました」とブルネンバーグ氏は語る。
この優れた効率性は、単に空力性能だけでなく、バッテリー搭載による低重心化、タイヤの転がり抵抗の低減、さらにはインテリアの照明などに使われる12V系の電力効率を極限まで高めるなど、細部にわたる徹底的な作り込みによって実現されている。
光が織りなすエモーショナルなエクステリア
新型CLAのデザインは、メルセデス・ベンツのデザイン哲学を新たな次元へと昇華させている。
フロントマスクで最も印象的なのは、イルミネーションが施されたスターパネルだ。
「フロントには142個の、それぞれが個別にアニメーションするLEDスターが組み込まれています。また、中央のスリーポインテッドスターが部分的に点灯する形式は、このCLAで初めて採用されました」
ヘッドライトにはスター型のデイタイムランニングライトが採用され、リアのコンビネーションランプへとライトバンドで結ばれることで、昼夜を問わずCLAの存在感を際立たせている。
ラインナップは「プログレッシブライン」「AMGライン」「AMGラインプラス」の3種類が用意される。展示車両は最もスポーティな「AMGラインプラス」で、専用の19インチホイールやスポイラーが装備されていた。
また、実用面でも大きな進化を遂げている。
「現代のメルセデスとして初めて、フロントにトランクルーム、いわゆる“フランク”を搭載しました。容量は60リットルです。リアのトランク容量405リットルと合わせると、このセグメントの他のどの車よりも合計で100リットル以上多くの荷物を収納できます」
MB.OSが実現するインテリジェントな室内空間
インテリアは、デジタル技術とラグジュアリーが見事に融合した空間となっている。その中心となるのが、オプション設定の「MBUXスーパースクリーン」だ。10.25インチのドライバーディスプレイ、14インチのセンターディスプレイ、そして同じく14インチのパッセンジャーディスプレイの3つで構成され、広大なガラス面の下にシームレスに統合されている。
ジェット機からインスピレーションを得たというイルミネーション付きの丸型エアベントは、先進的な雰囲気を高めるアクセントとなっている。
頭上には、フロントガラスからリアウィンドウまでを一枚ガラスで覆う、センターピラーのない広大なガラスルーフが広がる。
「このルーフには特殊なコーティングが施されており、サンシェードがなくても車内の快適性を保つことができます。太陽光に敏感な方向けには、ルーフのセグメントごとに透明度を個別に切り替えられる『Sky Control』というオプションもご用意しています」
そして、このCLAの真の革新性は、新開発の車載OS「MB.OS」にある。
「MB.OSは、Googleマップと連携した最新のナビゲーション、より高度な運転支援システム、対話型のAIアシスタント、そして3Dグラフィックによる直感的な表示を統合しています。将来的には、車から自宅の家電などを操作する『Home to Car』機能も可能になる予定です」とブルネンバーグ氏はその可能性を語った。
さらに、メルセデス・ベンツとして初めて、運転支援システムに対してもOTA(Over-the-Air)によるアップデートを提供する点も大きな特徴だ。
ドライビングの歓びを再定義する走行性能
新型CLAは、EVならではの新しい走行体験を提供する。
パワートレインには2速ギアボックスが採用されており、1速は発進時の力強い加速と市街地走行を、2速は高速走行時の効率を担う。800Vアーキテクチャに対応したことで充電性能も飛躍的に向上し、急速充電ステーションではわずか15分で最大325km走行分のエネルギーを回復できる。
パワートレインはEVバージョンの他に、1.5リッター4気筒エンジンと1.3kWhのバッテリーを組み合わせたハイブリッドバージョンも用意される。このハイブリッドモデルは、最高110km/hまでモーターのみでの走行が可能だ。足回りには、EVモデル全車にマルチリンク式リアサスペンションが標準装備され、卓越した乗り心地とハンドリング性能を実現している。
ブルネンバーグ氏は最後に、このモデルがユーザーの声に耳を傾けて開発されたことを強調した。
「CLAのオーナー様からは、スポーティさやデザインについて非常に高い評価をいただいていました。その強みは維持・向上させつつ、お客様からご要望の多かった『より広いインテリアスペース』と『インテリジェンス性能の向上』を、この新しいCLAで実現しました」
デザイン、効率、知性の全てにおいて新たな基準を打ち立てた新型CLA with EQ Technology。メルセデス・ベンツが示す未来のエントリーラグジュアリーの姿が、ここにある。
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
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