【JMS 2025】SCSK:IT企業が描く未来のクルマ ソフトウェアと「共創」で挑む新時代のモビリティ
            イチオシスト
        SCSKがEVコンセプトカーを初公開。ソフトウェアを核に、業界の垣根を越えた「共創」で実現する未来のモビリティ社会をJMSで提案した。
ITサービス企業のSCSKが、東京ビッグサイトで開催された「Japan Mobility Show 2025(JMS2025)」に初出展し、ソフトウェア起点の思想で開発したオリジナルコンセプトカー「SCSK-Car」を初披露した。100年に一度の大変革期を迎えるモビリティ業界において、IT企業が描く未来のクルマ社会とはどのようなものか。その答えの一端が、同社のブースで示された。コンセプトカーの公開に先立ち、SCSK株式会社モビリティ事業部 SDM事業開発センター SDV企画部 部長の中丸和之氏に、今回の出展に込めた狙いを伺った。
ソフトウェアが主役の時代、IT企業が乗り出す必然
自動車産業は今、SDV(Software Defined Vehicle)化の潮流にある。クルマの価値がハードウェアからソフトウェアへと移行し、OTA(Over-The-Air)による機能アップデートが前提となる時代だ。中丸氏は、この構造変化こそが、IT企業であるSCSKにとって大きな好機だと語る。
「クルマづくりが“一社完結”の時代から、各社の得意分野を持ち寄るネットワーク型へと変化しています。まさにソフトウェアが主役となり、産業が“横につながる”時代が到来したのです。我々の強みであるソフトウェア開発のスピード感と、多様なITサービスで培った知見を活かし、新しい価値を創造できると考えています」
SCSKは、単に自動車を製造することを目指しているのではない。同社が掲げるテーマは「水平分業的なプラットフォームで他業種と“共創”」すること。コンセプトカー「SCSK-Car」は、そのビジョンを具現化した象徴なのだ。
わずか9ヶ月で具現化されたコンセプト
「SCSK-Car」の最大の特徴は、その開発スピードにある。企画から車両完成までにかかった期間は、わずか約9ヶ月。これは、SCSKが企画とソフトウェア開発に注力し、EVプラットフォームは中国メーカーと、内外装デザインは外部パートナーと協業する「水平分業」モデルによって実現されたものだ。
ターゲット層は20代から30代前半のデジタルネイティブ世代で、「没入体験」と「快適な車室内」をコンセプトに据えている。
核となるインテリジェントコックピット技術
SCSKが特に注力したのが、SDV(Software Defined Vehicle)の中核をなすコックピット技術だ。運転席には、ダッシュボード全面に広がるピラー・トゥ・ピラーの44.6インチ8Kディスプレイを搭載。この巨大な平面ディスプレイは、運転時にはメーターやナビゲーションを表示する一方、停車時には全画面でゲームや動画などのエンターテイメントを楽しむことができ、まさに移動するパーソナル空間を実現する。後部座席にも個別のディスプレイが備えられ、乗員それぞれが好きなアプリケーションを利用可能だ。
操作性は、階層を浅くすることでスマホライクな直感性を追求。さらに、AI音声認識機能がその体験をより深化させる。
「AIコンシェルジュのような存在を目指しています。例えば『好みの壁紙に変えて』といった自然な言葉での指示が可能です」
と開発担当者は語る。クラウド上のLLM(大規模言語モデル)と連携することで、「暑い」「肌寒い」といった曖昧な表現を理解し、空調などを自動で最適化する。音声認識エンジンには、日本語認識能力に定評のあるiFLYTEKの技術を採用。将来的には、タッチ操作を排し、バーチャルアシスタントとの対話を通じてあらゆる操作が完結する世界の実現を目指しているという。
「共創」を呼びかけるプラットフォーマーへ
SCSKのルーツであるCSKは、50年以上にわたり車載事業に携わってきた歴史を持つ。約10年前には車載OS製品「QUEENS」をリリースするなど、自動車業界との関わりは深い。現在、同社の事業全体に占めるモビリティ部門の割合は2〜3割だが、今後、大きな成長を見込んでいるという。
今回のJMS2025への出展は、自社技術をアピールするだけでなく、未来のモビリティ社会を共に創り上げるパートナーを募るためのメッセージでもある。
「開発したコックピット技術を広く公開し、自動車メーカーはもちろん、最新技術を持つベンチャー企業やサービス事業者など、様々な方々からフィードバックをいただきたい。一緒に作り込んでいけるパートナーを求めています」
SCSKは、ハードウェアを製造する完成車メーカーを目指すのではなく、ソフトウェアを起点としたプラットフォームを提供し、業界や業種の垣根を越えた「共創」をオーケストレーションする役割を担おうとしている。「SCSK-Car」は、その未来に向けた、具体的な招待状なのである。
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
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