不世出の映画作家ネリー・カプランの傑作群、特集上映〈ネリーに気をつけろ!ネリー・カプラン レトロスペクティヴ〉ポスタービジュアル・特報解禁
保守的な価値観に『抵抗』『反抗』する⼥性たちを描きつづけた、ネリー・カプランの日本未公開、不世出の傑作4作品を⼀挙公開する特集上映〈ネリーに気をつけろ!ネリー・カプラン レトロスペクティヴ〉が、12⽉26⽇(⾦)より、Bunkamura ル・シネマ 渋⾕宮下ほかにて全国順次開催されることが決定。ポスタービジュアルと特報が解禁した。
1931年、アルゼンチンに⽣を受けたネリー・カプランは、シュルレアリスム⼩説家、批評家、ドキュメンタリー作家などのキャリアを経て、⻑編劇映画作家の道を歩みはじめる。デビュー作「海賊のフィアンセ」はヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、パブロ・ピカソをして『芸術の域まで⾼められた尊⼤さ……ルイス・ブニュエルの最⾼傑作並みの作⾵だ』と⾔わしめた。しかし、当時、原題や内容とは無縁の「情欲的」な公開題が付され、商業的には「ポルノ映画」として消費されることもしばしばだった。カプランが描く⼥性に認められる、家⽗⻑制社会の権⼒勾配を⼤胆に転覆せしめる奔放さ。それは、今、男性観客の視覚的快楽を充⾜させる志向性ではなく、現代的な⽂脈で再評価する時が来ている。
「海賊のフィアンセ」
Story
保守的な村社会から除け者にされるマリーと⺟。⺟の死をきっかけに、マリーは村⼈たちを相⼿に売春⾏為をはじめる。男たちを利⽤して稼いだ⾦を、必要のない商品の購⼊で浪費し、彼⼥のあばら家はモノであふれていく。トリュフォー「私のように美しい娘」、ユスターシュ「ママと娼婦」などで知られるベルナデット・ラフォン主演。ピカソは本作を『ルイス・ブニュエルの最⾼傑作並みの作⾵だ』と称賛。カプラン⽈く『異端審問官たちを⽕刑にする現代の魔⼥の物語』。
監督:ネリー・カプラン/脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ミシェル・ファブル/撮影:ジャン・バダル/⾳楽:ジョルジュ・ムスタキ/主題歌:バルバラ“Moi, je me balance”/製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
出演:ベルナデット・ラフォン、ジョルジュ・ジェレ、アンリ・ザルニアック、ルイ・マル、クレア・モーリア、ジュリアン・ギオマール、パスカル・マゾッティ、ジャック・マラン、ミシェル・コンスタンタン
1969年/フランス/カラー/107 分/原題:La fiancée du pirate
©1969 Cythère films – Paris
「パパ・プティ・バトー」
Story
マルクとその⼀味は、鈍くさいギャング集団。彼らは⼤富豪の令嬢クッキーを誘拐する。しかし聡明で蠱惑的なクッキーは、ギャングの構成員を次々と誘惑し、彼らを⾻抜きにしていく。そこを付け狙う第三者まで現れ、狂おしいほど滑稽な抗争に発展する。タイトルは童謡 “Mamanles petits bateaux” (ママ、⼩さなお船は)をもじったもの。ミシェル・ブーケ、ミシェル(マイケル)・ロンズデールら名優が脇を固める。
監督:ネリー・カプラン/脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ルネ・ギョネ/原作:ジャン・ラボルド “Bande de raptés”/撮影:リカルド・アロノヴィッチ/⾳楽:アンドレ・ポップ/製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
出演:シーラ・ホワイト、ミシェル・ブーケ、ジュディット・マーレ、ミシェル・ロンズデール(マイケル・ロンズデール)、ピエール・モンディ、シドニー・チャップリン
1971年/フランス/カラー/102 分/原題:Papa les petits bateaux…
©1971 Cythère films – Paris
「シャルルとリュシー」
Story
シャルルとリュシーの年⽼いた夫婦は、それぞれ掃除⼈と無能な⾻董品商として、慎ましく暮らしていた。しかしある⽇、南仏の豪邸を相続したとの知らせを受け、退屈な⽇常は⼀変していく。ふたりはさっそく南仏へ向かうが、⽬当ての豪邸はなかなか⾒つからず!?エリック・ロメールより数年早く”アレ”を画⾯に捉えた、スラップスティック・ロードムービー!カプランが占い師役で出演。
監督:ネリー・カプラン/原案:ジャン・シャポー/脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー/撮影:ジルベール・サンドス/⾳楽:ピエール・ペレ/製作:ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
出演:ダニエル・チェカルディ、ジネット・ガルサン、ジョルジュ・クレース、ネリー・カプラン
1979年/フランス/カラー/98 分/原題:Charles et Lucie
©1979 Cythère films – Paris
「愛の喜びは」
Story
⽂学者ド・ビューラドールは、裕福な⼀族から家庭教師の仕事を得、南国の孤島へ招聘される。雇い主は妖艶な3⼈の⼥。ドー、その娘クロ、クロの娘ジョー。⽣徒はジョーの妹で13歳のフロだが、外国にいるらしい。やがて三世代の⼥たちは各々、この新任家庭教師を誘惑していく。そして、ド・ビューラドールは、まだ出会ってもいないフロに⼼を奪われて……。カプラン、最後の監督作品。
監督:ネリー・カプラン/脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー/撮影:ジャン=フランソワ・ロビン/⾳楽:クロード・ボラン/製作:ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
出演:ピエール・アルディティ、フランソワーズ・ファビアン、ピエール・デュクス、ドミニク・ブラン、セシル・サンス・デ・アルバ、ハインツ・ベネント、ジャン=ジャック・モロー
1991年/フランス/カラー/106 分/原題:Plaisir d’amour
©1991 Cythère films – Les studios de Boulogne – Pathé cinema
〈ネリーに気をつけろ!ネリー・カプラン レトロスペクティヴ〉
提供:東映ビデオ 配給:グッチーズ・フリースクール 宣伝:プンクテ
後援: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
記事提供元:キネマ旬報WEB
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