「重心距離をちょっと変えることで…」メジャー覇者・西郷真央と五輪金メダリストのパターへのこだわり【カメラマン南しずかの米ツアー小話】
畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子らに加え、2025年は過去最多となる日本勢13人が出場する米国女子ツアー。その動向にも注目だが、試合以外や海外勢のこぼれ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材しているカメラマン・南しずか氏が気になるネタをピックアップ。これを見れば“米女子ツアー通”になれるかも!?
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米国女子ツアーでは、毎週のように異なる芝やコースコンディションのコースで試合が行われる。たとえば、ポアナ芝のグリーンは不規則に転がる。もし芝質によって打ち方を変えていたら、パットの安定性を欠く可能性がある。そこで、いつでも同じ構え、同じストロークでパッティングをするために、エースパターの“重心位置を変えた”パターを予備に持っている選手がいる。
(8月13日時点)世界ランキング12位で、海外メジャー「シェブロン選手権」を制した西郷真央もそのひとりだ。「エースパターの感覚は体が覚えているので、重心距離をちょっと変えることで、同じストロークでも(異なる芝の対応を)パターが手伝ってくれる感じ」と、パターを使い分ける理由を教えてくれた。
昨年、最年少で殿堂入りを決めたリディア・コ(ニュージーランド)もエースパターと異なる重心位置のパターを持っている。だが、「実は、あんまりしっくりこなかったんですよ。だから結局、エースパターの方ばかり使っています」と、2021年に製造されたスコッティ・キャメロン『P5 GSS ツアープロトタイプ』を愛用。重心を変えることが、必ずしも良い効果をもたらすとは限らない。
パッティングはスコアを左右する重要な要素。だからこそ、芝質によって使い分けたり、気分転換で別のものを試したり、エースパターにトラブルが発生したときのために予備を持つなど、プロゴルファーは試行錯誤を続ける。
余談になるが、タイガー・ウッズ(米国)が02年シーズンに愛用していた予備パター、スコッティ・キャメロン『ニューポート2 GSSプロトタイプ』は、21年のオークションで39万3000ドル(当時価格で約4300万円)で落札されたという記事を見かけたことがある。賞金を稼ぐ商売道具そのものが、とんでもない価格になるとは、さすがタイガーと言わざるをえない。(取材・文/南しずか)
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