賛否両論…“マキロイ・ルール”策定を米男子ツアーで検討? 新方式で初戦休んでも年間王者争いに影響少
<フェデックス・セントジュード選手権 事前情報◇5日◇TPCサウスウインド(米テネシー州)◇7288ヤード・パー70>
PGAツアーは今週7日(木)からプレーオフシリーズが開幕する。初戦はランキング70位までの選手が集結する“はず”。だがエントリーリストには、ランキング2位で、今年の「マスターズ」では生涯グランドスラムを達成したローリー・マキロイ(北アイルランド)の名前がない。
すでに欠場を表明していたのだが、PGAツアーのポリシーボードメンバーの一人、ピーター・マルナティ(米国)は「非常に懸念している」とトップ選手の不在を問題視した。大会名にもある『フェデックス』は、米男子ツアーにとっては年間ランキングポイント、年間王者とシーズン通しての冠スポンサーとあって、その“冷や汗”は尋常ではない。
とくに今季はシーズンが開幕してから、最終戦「ツアー選手権」のフォーマット変更が決定するなど、プレーオフの改革が進んでいる。上位30位のみが進めるこの最終戦は、これまではランキングに応じてスタート時に打数差がつけられてきたが、今年からは全員ゼロの状態で72ホールを戦う。つまりハンデを解消し、純粋にここで勝利した選手が「フェデックスカップ・チャンピオン(年間王者)」に輝く。
ただ、このプレーオフ改革は“30位以内に留まればチャンスはみな平等”というもので、初戦、第2戦を欠場しても年間王者の座を狙えるという問題を残してしまった。当然、そのランクより下の選手は、必死にシリーズ中ランキングを上げ、最終戦進出を目指すが、安全圏にいる選手にとっては“消化試合”になってしまうという側面も持つ。
ちなみにマキロイは先週の「ウィンダム選手権」にも出場しなかったが、フェデックスカップ・ランキング2位とコムキャスト・ビジネスのボーナスでトータル1000万ドル(約15億円)ものビッグマネーを手にしている。マルナティは、今後「プレーオフを欠場できない」という新ルールをつくるべきかと問われると、「ツアーには規則を作るスタッフがいるので、彼らに任せたい」とだけ話した。
一方、同じく選手理事を務めるウェブ・シンプソン(米国)は「マキロイの決断は問題ない」と、その選択に同意した。「我々のスポーツはプレーしたいときにするべき」とシンプソンは持論を展開。自身も2020年に最終戦に備えて第2戦を欠場した経験を持つ。
またタイガー・ウッズ(米国)も、2007年にプレーオフ直前の「WGC-ブリヂストン招待」、「全米プロ選手権」と勝利しながら、この年から始まったフェデックスカップ・プレーオフの初戦を欠場している。この後は、第2戦の「ドイツバンク選手権」で2位、さらに「BMW選手権」と「ツアー選手権」で連勝し、初代フェデックスカップ・チャンピオンに輝いている。
今週トップ70で欠場するのはマキロイだけ。69選手で大会は開催されるが、今後はトップ選手が集まるべきプレーオフは欠場できないという“マキロイ・ルール”が策定されることになるのか? PGAツアーの対応に注目が集まっている。(文・武川玲子=米国在住)
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