PGA選手がバーディ量産できるのは丁寧な練習にアリ! アマチュアもマネすべきポイントは?【四の五の言わず振り氣れ】
昨年でツアーから撤退した上田桃子やルーキー・六車日那乃などを輩出する「チーム辻村」を率いるプロコーチの辻村明志氏。米国男子ツアーでバーディが量産される理由は、飛距離が伸びたこと以外にもあるという。
◇ ◇ ◇
バーディが量産される米国男子ツアー。先日開催された「全英オープン」でスコッティ・シェフラー(米国)がトータル17アンダーで圧勝したのも記憶に新しいことでしょう。
では、なぜ米国男子ツアーでこれだけバーディが量産されるのか。そこに、飛距離の伸びがあることは間違いありません。しかしそれだけではないと思います。以前、ZOZOチャンピオンシップで衝撃を受けたのが、スタート前の練習グリーンでした。たとえば米ツアー3勝のトム・キム。愛らしい笑顔の韓国人選手ですが、練習グリーンでは1球1球真剣にボールを打つ、いやパッティングに向き合う姿が印象的でした。というのもスマホの時計で計ると、10球打つのに大げさではなく約5分の時間をかけるのです。1球につき約30秒ですから、これはかなりの時間です。
往々にして日本ツアーのスタート前の練習グリーンでは、適当と言っては失礼ですが、ポンポンポンと3球のボールを打つのが一般的。もちろん、グリーンの速さや距離感を確かめているのでしょう。それを否定するものではありません。ただ、トム・キムを例に出せば、ボールの表面に引いたマジックのラインを、後方からターゲットに向かって合わせて丁寧に置き、1球1球丁寧に構え、そして時間をかけて打つのです。そうした観点から練習グリーンを眺めていると、適当にボールをコロがしている選手がまずいないことに気が付きます。
ボクの感覚では、9割以上の選手がボールにラインを引いています。そしてターゲットに向かって自分で丁寧にボールを置くのです。日本ツアーでは、練習のときはキャディにボールを置いてもらい、打つことだけに一生懸命の選手が多いもの。しかし、試合では自分でボールを置くのですから、こんなところでもより実戦的な練習になっているわけです。
ところで皆さんは、ボールにラインを引いているでしょうか。必ずしも引けとは言いません。しかしラインを引き、それを目標に合わせるのは技術だし、パッティングが上達するより有効な方法とボクは信じて疑いません。その利点はまず目標が明確になること。そしてボールを打ち出す方向とスピードがイメージしやすくなること。それがイメージできれば、よりラインの読みの精度が高まります。ラインを引いておくと、順回転の球が打てているかどうかも確認できるメリットがあります。同時にラインに合わせて構えることで、目線に始まりアライメントも良くなることも間違いありません。ラインが一直線に見えるようにコロがれば、いいストロークの証明にもなります。
なにより練習グリーンから実戦に合わせた一球入魂の真剣なパッティングができます。狙ったところに真っすぐ構えて、真っすぐ打つ技術こそカップインが高まる有効な技術なのです。
アマチュアの皆さんには、ボールを丁寧にセットしたら、割り箸の距離約20㎝を真っすぐ打ち出す練習をオススメします。20㎝先にコインを置いて練習するのもいいかもしれません。せっかく正確に構えても打ち出しが狂っては意味がありませんから。その際に注意したいのが、目線のズレです。目線がズレてしまうとヘッド軌道も狂うので、アライメントに対して目線がズレないように注意してください。
パッティングは唯一、プロに勝てる可能性のある領域です。そのためにまずボールにラインを引くことから始めませんか?
■辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子、六車日那乃らのコーチを務め、プロを目指すアマチュアも教えている。読売ジャイアンツの打撃コーチとして王貞治に「一本足打法」を指導した荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。
※『アルバトロス・ビュー』858号より抜粋し、加筆・修正しています
◇ ◇ ◇
●1位~10位にランクインしたのは? 関連記事【女子プロの”スイング完成度”ランキング 岩井姉妹、小祝さくら、竹田麗央……No.1は一体誰?】をチェック!
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。