単独首位での全英最終日入りは渋野日向子以来 山下美夢有が1打リードでV王手「風に負けない」
<AIG女子オープン 3日目◇2日◇ロイヤル・ポースコールGC(ウェールズ)◇6748ヤード・パー72>
山下美夢有は苦しみながらも、リーダーボードの頂点を死守した。2位と3打差の単独首位で決勝ラウンドに入り、3日目は2バーディ・4ボギーの「74」。スコアを2つ落としたが、トータル9アンダーでその座をキープした。日本勢が全英最終日を単独首位で迎えるのは、2019年の渋野日向子以来。日本勢2人目となる全英制覇に王手をかけた。
「いい緊張感の中でプレーできました。メジャーで(日本人選手と)一緒に回れる機会はなかなかない。いいリズムで回れました」。予選ラウンドに続き、日本で幾度となく優勝争いを繰り広げてきた竹田麗央との2サムで最終組に臨んだ。だが、先に訪れたのは5番パー3での3パットボギー。2連続バーディで滑り出した前日とは一転、苦しい立ち上がりとなった。
後半ではティショットが不安定になり、ラフに入る回数が増えた。それでもユーティリティなどの長いクラブでカバーし、パーを拾っていく。11番、12番はともに2メートルほどにつけて連続バーディとしたが、難度の高い14番、16番ではともにフェアウェイを外してボギーを喫した。「ショットが曲がっていたし、グリーン上でもかなり苦戦した」と悔しさをにじませた。
17番ではガードバンカーからのショットが大きくオーバーし、ピンから約15メートルのカラーへ。パターを選択し、「入れにいくというよりは、1メートル範囲くらいに残ったらいいなと思った」。カップ2つ分左を狙って転がした球は、ラインに乗ってカップイン。値千金のスーパーセーブにも本人は喜ぶ素振りを全く見せなかったが、これが単独首位を守る大きな一打になった。
初日は「68」で1打差3位発進。2日目にボギーなしの「65」をたたき出し、大きなリードを築いた。だが、風に翻ろうされたムービングデーは「反省」の一日に。「コンディションが難しかったけれど、なんとか耐えたかった。耐えられたところもあるし、もう少し耐えたかったホールもあった。安定したゴルフをしたかった」。初日は10回、2日目は13回だったフェアウェイキープは7回に低下。パーオンは3日連続で14回を記録したが、ラフからではチャンスにつけることが難しく、寄せたとしてもショートパットを外す場面も目立った。
この日(8月2日)は24歳の誕生日。バースデーラウンドは悔しい結果に終わったが、それでも優勝カップに最も近い位置につけている。「風に負けないくらいの気持ちで。目の前の一打に集中して、精一杯頑張りたい」。そう話すと、夕暮れの練習場へと足を向けた。
誕生日を祝うのは、1日くらい遅れても構わない。かねて目標に掲げてきたメジャー制覇へ。ラスト18ホールで逃げ切りを狙う。(文・笠井あかり)
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