引退は多数決で決定? 600試合出場の藤田さいきに後輩たちが“手作りセレモニー”「700試合…目指します」
<ニチレイレディス 事前情報◇18日◇袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県)◇6594ヤード・パー72>
開幕2日前の昼下がり。クラブハウスの一角には、『600』の数字が目を引くバルーンが用意されていた。おそろいのTシャツを着た選手たちが、“主役”の登場を待ちわびている。この主役というのが、39歳の藤田さいき。今週が節目となるレギュラーツアー600試合出場であり、後輩たちによるサプライズセレモニーが行われた。
青木瀬令奈、佐久間朱莉、安田祐香ら参加した選手たちは、プロ20年目の先輩が驚いた表情を浮かべながら登場すると、『600試合出場おめでとうございます!』と言って、クラッカーを鳴らす。『1000試合目指してください!』などの歓声も飛んだ。
大会からは花束、契約先の日本シャフトからはケーキのプレゼントも。記念撮影をするなど、それぞれが大台到達を祝福した。藤田は「盛大なセレモニーをしていただいた。オフに話があって『やらなくていいよ~』と言っていたんですけど、こんなに盛大にやっていただいてびっくり」と感激した様子。そして「これで心置きなく…ね(笑)」という冗談も忘れなかった。
600試合に出場するには、年間30試合に出続けても20年はかかる計算。しかも、これはレギュラーツアーでの記録のため、第一線でプレーし続けるというのが条件だ。ちなみに『生涯出場試合ランキング』の1位は岡田美智子の813試合で、600試合は歴代18位。
感無量といった様子の藤田は、「できるかぎり長くやりたい。700(試合出場を)目指して頑張ります」と決意を表明。慕われる理由について聞かれた青木は、「表裏がない。元気だし、すごく気をつかってくれるから、選手みんなに愛されています。多くは語らないけど、背中で魅せてくれるかっこいい先輩」と称賛。それに対して藤田は、「みんな(私に)“キラキラフィルター”をかけてくれているので、そのままで」と、ちょっぴり照れくさそうな表情を浮かべながらも、素直に喜んだ。
そこからの“かけあい”もじょう舌。目標を聞かれると、青木から「1000(試合)!」とうながす一幕も。本人は「みんなを見守りながら、みんなが知らないところでスルッとフェードアウトするのが目標。知らないうちにいなくなってるけど、できるところまで。あ~、もう(いつでも)引退できます」と言って笑う。1位の813試合超えについては、「無理! そこには追いつけない。700(試合)が限界かな…。そこまで行ったら考えます」とリアクションした。
引退時期について藤田は、「プレーヤーズ委員会にかけてもらうので、多数決で決めてください」という“提案”も。今季はこれが13試合目で、5月のメジャー大会「ワールドレディスサロンパスカップ」では、申ジエ(韓国)とのプレーオフで敗れたものの、2位に入っている。この時はラウンド後に救急搬送されるアクシデントも発生したが、メルセデス・ランキング14位につけるなど、変わらぬ元気な姿を見せている。
仮に年間30試合ペースで続けるなら、1000試合達成にはあと13年強かかる。ただ、今月15日にはサッカーの“キング・カズ”こと三浦知良が、58歳109日でJFLの最年長出場記録を更新するなど、スポーツ界には多くの“レジェンド”が存在。2006年7月のプロテスト合格から、ここまでメジャー1勝を含む通算6勝を挙げてきた藤田が、52歳で金字塔を樹立するというのも、夢がある話で楽しみだ。(文・間宮輝憲)
【生涯出場試合ランキング】(6月18日現在)
1位:813試合 岡田美智子
2位:767試合 吉川なよ子
3位:733試合 ト阿玉
4位:714試合 木村敏美
5位:705試合 塩谷育代
6位:699試合 ※永田富佐子
7位:698試合 高村博美
8位:678試合 高須愛子
9位:677試合 谷福美
10位:666試合 今堀りつ
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18位:599試合 藤田さいき
※は退会者
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