「ラストタンゴ・イン・パリ」の裏側で何が起きたのか? 社会に問う話題作「タンゴの後で」
19歳の女優マリア・シュナイダーは気鋭の監督ベルナルド・ベルトルッチと出会い、「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972)で一夜にしてトップスターとなる。しかし、48歳のマーロン・ブランドとのスキャンダラスな性交シーンは彼女にトラウマを植え付け、その後の人生を狂わせる──。マリア・シュナイダーの波乱に満ちた人生を描き、映画業界での搾取を鋭く見つめた「タンゴの後で」が、9月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。キービジュアルと予告編が到着した。
ベルトルッチ作品「ドリーマーズ」(2003)にインターンとして参加した過去を持つ俊英ジェシカ・パルー監督が、マリアのいとこであるジャーナリストの著書『あなたの名はマリア・シュナイダー ―「悲劇の女優」の素顔』を映画化し、第77回カンヌ国際映画祭に出品された本作。マリア役を「あのこと」のアナマリア・ヴァルトロメイ、マーロン・ブランド役をマット・ディロンが務める。
「ラストタンゴ・イン・パリ」は《芸術か猥褻か》の論争を巻き起こした。「タンゴの後で」は《芸術か暴力か》を問いかける。
ジェシカ・パルー監督のコメント(インタビューより抜粋)
マリア・シュナイダーの物語は私にとって特別でした。私は誰かを責めたり裁いたりするのではなく、この出来事の「遺産」に向き合いたい。そして、彼女の視点を通してこの社会を新たな角度から描き出したいのです。
まずは「異常だったこと」を認識すること。それが最初の一歩です。
浅田智穂氏(インティマシー・コーディネーター)コメント(抜粋)
マリアからの「視線」に、私たち観客は何を思うのか。私たち作り手は彼女に何を問われ、どう自問すべきなのか。かつてマリアに向けられた様々な「視線」の中で、彼女が戦い、傷つき、それでも生きてきた姿を目にした今、私たちは彼女の「視線」から目を逸らすことなどできないのだ。
「タンゴの後で」
監督・脚本:ジェシカ・パルー
出演:アナマリア・ヴァルトロメイ、マット・ディロン、ジュゼッペ・マッジョ、イヴァン・アタル、マリー・ジラン
2024年/フランス/フランス語/102分/カラー/5.1ch/PG-12
原題: Maria 英題:Being Maria 日本語字幕:岩辺いずみ
原作:「あなたの名はマリア・シュナイダー ―「悲劇の女優」の素顔」(早川書房・刊)
協力:CHANEL 配給:トランスフォーマー
2024 © LES FILMS DE MINA / STUDIO CANAL / MOTEUR S’IL VOUS PLAIT / FIN AOUT
公式サイト:transformer.co.jp/m/afterthetango
記事提供元:キネマ旬報WEB
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