“生き残り”をかけた選手のリアル 泉田琴菜が「誇りに思う試合」で見せる鋭い眼差し
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目◇9日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>
ツアー未勝利の泉田琴菜にとって、2年ぶり2度目の出場。最終9番パー5で3打目を乗せてグリーンに上がると、鋭い眼差しでリーダーボードをじっと見つめた。慎重にラインを読み、バーディパットを沈めてキャディとグータッチ。長時間“にらめっこ”した姿の、胸のうちに迫る。
グリーンスピード14フィートとメジャーならではの高速グリーンに、多くの選手が苦しんだ。初日に4オーバー・87位と出遅れた泉田もそのひとり。そして最終ホールを迎えたとき、暫定カットラインの位置につけていた。
「ティショットを打つ前から(カットラインを)気にしていた。3打目を打つ前にリーダーボードが見えたので、キャディさんとカットラインがいくつかというのを確認しながら、狙いどころを考えていました」。自身がギリギリの位置にいることを知り、さらに気持ちを引き締めた。
ピン位置は奥。さらにグリーン奥に外せば、ボギーの可能性だってあり得る。「絶対に奥に外すのはやめようね」と打ち合せをしたが、「がっついてしまった」と、攻めの一打はピン横にキャリーして奥のエッジにこぼれた。「予選通過のために、ボギーは絶対にダメだなと思っていた。あす、あさってのために、一打良ければまだチャンスはある。とにかくボギーを打たない」。そんなプレッシャーを科しながら、パターを握った。
ラインを読むとあとは、同組の選手がパッティングをしているときも目を離さず、リーダーボードをずっと見つめた。そして迎えたパットはカップイン。「終わってみればバーディだった」と表情は緩み、「71」でホールアウト。最終的にはカットラインに1打の余裕がある50位タイ。予選通過の瀬戸際でバーディを決めた姿に、胸が打たれた。
今大会にかける想いは、他の試合とは異なる。「プロとしてやっている中で、メジャー大会は絶対に出たい試合。今年一戦目のメジャーなので、自分の中ではキーポイントになる。まずは出られることがすごく光栄ですし、そこで予選通過をして4日間プレーできるのは、プロとしてすごく誇りに思う」と心の内を語り、安どの表情を浮かべた。
同組にはプロ14年目でこの日2位に浮上した、葭葉ルミがいた。「(距離が長くても)ドライバーばかりを握っているわけではなく、マネジメントをしっかり行っていた。そういう人が常に上位にいる。守りと攻めをしっかりしないとスコアにつながらない。足りないものが改めて分かった一日」。学びもある、濃い予選ラウンドになった。
今季はQT33位で迎え、「試合に出ている以上優勝はしたいけれど、まずはシード獲得」と目標を持って戦っている。3月「アクサレディス」では自己最高の4位で終え、ここまでの7試合で予選落ちはゼロ。メルセデス・ランキングは23位につけている。「通ったからには上位を目指して。守りも大事ですけど、攻める時は攻めないといけない。しっかり切り替えながら、あと2日間やりたい」と意気込んだ。
この気持ちがバーディ締めにつながったに違いない。一時は予選通過が危うかったが、メジャー大会でビッグポイント獲得のチャンスをつかんだ。最後まで気持ちを切らさずに上位を狙っていく。(文・高木彩音)
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