メジャー制覇を果たした西郷真央 体をねじってヒザの高さを変えないから安定感抜群だった【優勝者のスイング】
西郷真央が米ツアーでの初優勝をメジャーの舞台で飾ってみせた。日本勢5人目となる快挙にプロコーチの南秀樹は、「最終日は納得のいくゴルフではなかったかもしれませんが、メジャーの舞台で、最後まで自分のプレーをする姿は本当に素晴らしい」と、日本選手のレベルの高さを改めて感じているという。
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西郷のスイングについてはバックスイングの体のねじれを上手く使っているという。「上半身をタテ回転させながらねじり上げてパワーを溜めています。タテにねじり上げれば、左足がボール方向に動いたり、ギッタンバッコンになってダウンスイングでクラブが下から入りやすかったりすることがありますが、西郷さんにそうした動きは見られません。左サイドをねじりクラブをワイドに上げつつも、頭が動かず前傾をキープ。トップでは、両腕の間にヘッドが見える完全なオンプレーン、懐にもスペースがある理想の形です」。
ダウンスイングからはヒザが伸びずに回転しているのが高い再現性を生んでいると話を続ける。「切り返しから若干沈み込み、右ヒザを送りながら、左ヒザは伸びずに回転していきます。右サイドが綺麗に回って、インパクト後にやや左足を伸ばして地面反力を使っているように見えます。インパクト後に左腕とシャフトが一直線になるのは、理想的なトップからオンプレーンに振り、手元が体の近くを通っているから。調子を落としていた2023年3月のスイングとの大きな相違点です」。
西郷のようにヒザの高さを変えずにスイングできれば、再現性が高まりショット力が大きく向上するきっかけになるだろう。「ヒザを伸ばし、地面反力を使って飛ばそうと考えている人も、まずはヒザの高さをキープすることで手元が浮きにくくなり安定感が増します。切り返しから左足体重で左ヒザの高さを変えずに腰を回していくこと。ヘソからクラブが生えているようなイメージで、お腹は下に向けたまま。前傾をキープしたまま、左のお尻に力が入るようにターンしていきます」。
ヒザを曲げたままだと腰が回転しにくいなら、アドレスの姿勢を確認したい。「お尻が落ちてヒザがボール方向に出たアドレスだと、腰は回転しにくくなります。無理に回そうとすれば、腰が引けたり、ジャンプしたり、どちらもボールに力が伝わりません。アドレスでは、後方から見て腰のラインが傾くように前傾させること。スッとお尻を高い位置に持っていき、懐のスペースを作ってください」。
イメージはツマ先下がりからのショットに似ている。「ツマ先下がりはアドレスでヒザが前(ボール方向)に出ると、手の通り道がなくなり打てません。お尻が高いまま、前傾を深く取ることで、懐にスペースができます。スイングは伸び上がればボールに届かないので、ヒザの高さがキープされ、重心もツマ先側にあるので前傾もキープしやすいなど、再現性を高めるにはメリットの多いライなんです」。
ヒザが伸びる、体が伸び上がる、そんなミスに悩んでいるならツマ先下りをイメージした練習を取り入れてみよう。
■西郷真央
さいごう・まお/ 2001年生まれ、千葉県出身。日本ツアーで通算6勝を挙げ、2024年から米ツアーに参戦。「CPKC女子オープン」で2位に入るなどの活躍を見せ、最も活躍したルーキーに贈られる「ルイーズ・サグス・ロレックス・ルーキー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。「シェブロン選手権」にて米ツアー初優勝を挙げた。島津製作所所属。
■南秀樹
みなみ・ひでき/プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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