アイアンにもバンスがあるらしい……外ブラの方が多いのはなぜ?【ギアの疑問を解決!】
ギアのいろいろな疑問に答える新シリーズ。今回は、アイアンのバンスについて。バンスはウェッジに備えられていることは知られているが、実はアイアンにもバンスがある。なぜだろうか?
【アイアンのバンスとは何か?】
バンスとは、クラブのソールがリーディングエッジからどの程度出っ張っているかを示す角度のことである。ソール下部の膨らんだ部分が、インパクト時にクラブが地面に刺さるのを防ぎ、滑るように抜けるのを助ける機能を果たす。
バンスはもともと、ジーン・サラゼン(米国)が苦手としていたバンカーショットを克服するために開発したものであり、ウェッジ選びにおいては非常に重要な要素とされる。そして、あまり注目されないが、アイアンにもバンスは存在し、ウェッジ同様に重要な役割を担っている。
「海外メーカーのアイアンはバンス角が大きく、国内メーカーは小さい」という話を耳にしたことがある人も多いだろう。この定説は、ある程度事実である。
例えば、7番アイアンで比較すると、海外メーカーであるピンの『i230』アイアンはバンス角が9度であるのに対し、国内メーカーのミズノ『ミズノプロ243』は5度である。同じ中上級者向けモデルであっても、両者には明確な差が存在する。
この違いが生じる理由の一つが、芝質の違いである。海外のゴルフ場では、日本の高麗芝や野芝に比べ、ボールが沈みやすい洋芝(ベント芝など)が多く採用されている。沈んだボールを打つためには、入射角をダウンブローにして上から入れやすくする必要がある。そのため、バンス角を大きめに設定し、地面に刺さりにくくしているのである。
一方、日本の芝はボールが浮きやすいため、バンス角は小さめの方が適している。かつては、スクープソールと呼ばれるリーディングエッジが下に出たソール形状も存在していた。これは、日本の芝質や、すくい打ちをするゴルファーに適した設計だったが、現在ではあまり採用されなくなっている。
とはいえ、すべてのモデルが上記の傾向に当てはまるわけではない。現代では、海外モデルの使用者にも対応するため、国内メーカーもバンス角を大きくしたアイアンをラインナップに加えている。例えば、ミズノの最新アイアン『S-3』は、7番でバンス角6度となっている。
今後は、番手の数字に近いバンス角を持つモデルも増加していくと考えられる。これらのアイアンは、適切なダウンブローで打つことで、本来の性能を十分に発揮することができる。
バンス角の大きなアイアンは、地面に接触した際にクラブが潜らず、前方へ滑るように動く。入射角が鋭角なゴルファーに適しており、仮に手前をダフってもソールが滑ってヘッドが前に進むため、ミスを軽減してくれるという利点がある。この性能は、ダウンブローで打つ場合により効果を発揮し、すくい打ちではバンスが跳ねてしまう可能性がある。
インドア練習場のような人工芝では、地面に潜らない分、バンス角の大きなソールはかえって邪魔に感じられるかもしれない。人工芝においても、ソールの滑る機能自体は活かされるが、入射角が適正でなければバンスが跳ねやすくなる点は、天然芝と同様である。
そのため、インドアで試打する場合には、バンス角の少ないモデルの方がバンスが跳ねたり、突っかかったりすることが少なく、好結果が得られるケースが多い。実際のラウンドで芝の上から打つ状況では、バンス角の大きいモデルの方がミスに強く、逆にバンス角の小さいモデルは地面に刺さりやすくなる傾向にあるので注意したいところだ。
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