自分に合うアイアンの見極めは「顔」と「ソールの厚さ」がカギ【ゴルフクラブアドバイザーに聞いてみた】
コース内で、さまざまな距離・ライからピンを狙い打つアイアンは、スコアメイクに欠かせない重要なクラブだ。バッグインする本数も多いだけに、自分のスイングや技術、パワーにあったモデルを選ぶ必要がある。
一方で、重要なクラブだけに、メーカー各社はアイアンで多種多様なモデルをラインナップしている。ゴルファーの意思で自在に弾道をコントロールできるシャープなモデルもあれば、ヘッド構造や素材の工夫で楽に飛ばすことに特化したモデルもあり、自分に合うモデルをどう選べばいいのか、迷った経験のある人も多いだろう。
そこで今回は、最新クラブの性能に精通し、さまざまなフィッター資格を保持する「ゴルフクラブアドバイザー」の内山和則さんに、アイアンで自分に合ったモデルを選ぶポイントについて聞いてみた。
「さまざまなタイプのモデルが用意されたアイアンですが、軟鉄鍛造などの単一素材で作られた『アスリート系』と複合素材でヘッド構造に工夫が見られる『アベレージ系』の2つに大別することができます。例えばHONMAの『T//WORLD IRON』シリーズならシャープな『TOUR V』と『Vx』は『アスリート系』で、飛距離性能の高い『Px』と『Hx』が『アベレージ系』のモデルになります。まずは2つのタイプの内、どちらの性能が自分に必要なのか考えることで、候補となるモデルを絞ることができます」
『アスリート系』と『アベレージ系』のどちらが合っているか判断する上で、「顔」をチェックすることが大切と内山さん。
「使用する頻度の多いアイアンは、構えたときに良いと感じる『顔』かどうかがとても大切です。まずはレベルに関係なく、さまざまなタイプのアイアンを構えてみて、自分が良いと感じる『顔』が何か考えてみてください。例えばシャープな『アスリート系』を構えて、“ヘッドが小さくて当たらなそう”とネガティブに感じたら『アベレージ系』を選ぶべきですし、逆に“カッコいいし、集中できる”とポジティブに感じたら『アスリート系』を選ぶと良いでしょう」
自分の技術でクラブを操作したいゴルファーには『アスリート系』のアイアンが好相性だ。
「基本的に『アスリート系』のアイアンはヘッドが小ぶりで、操作性が高くなっています。フェース開閉をコントロールして、球筋を打ち分けたいなら第一の選択肢になります。また、7番で32〜34度といった具合に番手ごとのロフト角が多めに設計されていますので、しっかりスピンの利いたグリーンに“止まる球”が打てることが最大のメリットです」
一般的に『アスリート系』は上級者向けというイメージがある。しかし、内山さんは、レベルに関係なく『アスリート系』が合う場合があると話す。
「スポーツ経験のある方など、パワーのあるゴルファーは『アスリート系』を使うとタテ距離が合いやすくなるのでおすすめしたいです。今、技術的に扱うのが難しいと感じていても、しっかり目標を持って練習に取り組んでいる方なら、将来的に使いこなせるようになるはずです。また、『アスリート系』の中でもヘッドサイズがやや大きめで、キャビティ構造のモデルなら適度な寛容性も備わっていますので、かなり使いこなしやすくなっています」
「まだスイングが定まらずミスの多い人やクラブに仕事をしてもらってやさしく飛ばしたい人には『アベレージ系』が合うでしょう。7番で26〜29度とロフトが立った設定でボール初速を出し、ヘッド構造で高さが出るようになっていますので、パワー以上に飛ばすことが可能になります。ヘッドスピードが低下して、ボールの高さが出なくなり、キャリーが落ちてしまった方が使えば、飛距離を伸ばせる可能性があります。また、上級者であっても、シャフトなどを替えることで適度な操作性を付加すれば、『アベレージ系』の飛びが得やすくなります。飛距離を重視するゴルファーの最適な選択肢だと言えます」
最新モデルの『アベレージ系』には主に2つの構造が存在する。
「まず1つ目は、ヘッド形状は『アスリート系』に近いシャープさを出しつつ、フェースに反発力の強い素材を使って飛びを強化した構造です。HONMAで言えば『Px』がそのタイプになります。2つ目はヘッド内部が空洞になった中空構造のアイアンです。フェースがトランポリンのようにたわむので反発する力が強くなります。また、タングステンウェイトを内蔵することで重心位置の調整が可能になりますので、高打ち出しでスピンの少ない強弾道が打ちやすくなります。構造による弾道傾向の違いを理解しておくと、自分に合ったモデルが選びやすくなります」
同じタイプのアイアンで迷ったときは『ソール幅』を見比べるのもおすすめと内山さん。
「アイアンでは、モデルによって『ソール幅』が異なります。『ソール幅』は狭いほど抜けが良くなり、ラフなどで操作性が上がりますが、ミスにシビアになります。一方で広くなると多少ダフッてもヘッドが潜らずボールを拾ってくれるなど、寛容性が高くなります。今、使っているアイアンよりも少しだけミスに強いモデルが欲しいといった要望がある場合は、『ソール幅』を比較して、少しだけ広いものを選ぶと良いでしょう」
アイアンショットの精度が上がれば、バーディチャンスが増えて、自ずとスコアアップにつながる。ぜひアイアンの『顔』と『ソール幅』をしっかりチェックして、自分に合った最高のモデルを見つけてほしい。
◇ ◇ ◇
女子プロの使用アイアンを調査。関連記事【女子プロでは軟鉄鍛造アイアンが流行中! 最新34モデルのどのタイプを彼女たちは使っている?】を読めば、その秘密がわかります。
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。