軽ければいい、ではなかった。35年山を歩いて辿り着いた“財布の答え”。シートゥサミット『トラベルウォレットRFID』|定番道具のモノ語り#23
アイキャッチ画像:ポンチョ U.L.化した山&アウトドア財布について 山の財布、またはアウトドアな旅に携帯する財布。この20年余はU.L.なギア開発が促進。自らギアをつくるMYOGの普及、そしてガレージブランドが多く登場 […]
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イチオシスト
アイキャッチ画像:ポンチョ
U.L.化した山&アウトドア財布について

山の財布、またはアウトドアな旅に携帯する財布。この20年余はU.L.なギア開発が促進。自らギアをつくるMYOGの普及、そしてガレージブランドが多く登場。軽く、薄く、強度のある素材も多く生まれ、フィールドで培ったアイデアが盛り込まれた超軽量コンパクトな財布が増えました。
私は、それらの山財布、アウトドア財布を集めたカタログページを手掛けることもあり、たくさんのモデルを実際に手に取り、使いました。
その中で感じたのは、それらは山やアウトドアフィールドに携帯するのに、確かに軽く、コンパクトで機能的なのですが、しかし日常で、街で使うには、ちょっと不便を感じるものが多いということ。
小銭やお札の取り出しやすさやカードの収納方法にこれまでにないギミックを用いて、軽さや薄さを実現しているのは間違いありません。でも、街で使うとなると、お札がいくらあったのかを取り出さなくては確認できなかったり、デジタル化されてもなお、たくさんあるショップのポイントカードまでも収納しようとすると、入りきらないんです。

近年は電子マネーが普及。スマホがあれば、街ではお札も小銭も多く持つ必要はなくなりました。だから山でも街でも必要最低限の収納力で軽量コンパクトな山財布、アウトドア財布で問題ないはず……という感覚で、山に向かうと、山小屋での支払いは現金のみ、地方のバスは現金のみがまだあったり、お札は千円札しか使えません。
ロープウェイは、山麓駅では電子マネーの利用可だけれども、山頂駅は不可な場合が結構あります。山小屋で手ぬぐいやTシャツなどのお土産を買い、小屋の名物料理を味わい、さらにはビールやお酒まで楽しむと、山小屋価格ということもあり、バスやロープウェイに乗る際に、「千円札がない」「小銭は全部使っちゃった……」となりがちです。
だから、今や街よりも、むしろ山の方が現金を使う機会が多く、お札と小銭をしっかり収納でき、確認でき、取り出しやすい財布のほうが、便利に思えます。
私が使ってきた山での財布
さて、私が登山をはじめた頃、35年くらい前は普段使いの「ポールスミス」の革財布を、そのまま山に持って行っていました。その財布は高校生の頃から愛用していて、コの字型にジッパーが配された二つ折り形状。コンパクトながら大きく開き、小銭やカードへのアクセス性、収納性のよさは、とても機能的でした。
でも山で雨に降られて、レインカバーを掛けた雨蓋のポケット内に仕舞っておいたものの、ショルダーハーネス側から浸水した雨に財布もお札も濡れてしまいました。

そこで、山では水濡れに強い財布でないとダメなんだと、防水機能を装備したコンパクトな財布に変えました。ですが、防水性を高めるダブルファスナーの開口部は固くて開閉が面倒。口も狭くて小銭や折り畳んだお札を出すのも大変。山でもちょっと難儀な使い勝手でしたが、それでも数年の間、劣化するまで使い続けました。
その後、アウトドア雑誌に載っていた登山好きな方の装備の真似をして、山では小さめのジップロックにお札、小銭、必要なカードと保険証、2000年代以降はSuicaを入れて、携帯することにしました。
それは、山っぽい、アウトドアっぽいスタイルといえます。

でも山帰りや、島旅中に立ち寄った居酒屋やバーで、ジップロックからお金やカードを出して支払うのは、なんだか気恥ずかしさがありました。お店の人やお客さんから「アウトドアの人って、そういう感じなんですね!」とも言われたりして、「軽量化と水濡れ防止たのめなんですよ」と返答しながら、苦笑いしたことが何度かありました。
それにSuicaをお金の入ったジップロックに入れたままタッチするのもビミョーに思え、Suicaだけを取り出してポケットやサコッシュに入れて使っていると、改札前で「あれ、どこ行った?」ということが間々ありました。
中身を戻し忘れて、ジップロック財布を卒業
ジップロック財布を使うことをやめようと決心したのは、10年近く続けた後。山から街に戻ってきた翌日のことでした。
ジップロックからお金やカード類を財布に戻し忘れて、ほぼ空の財布で出掛けてしまったのです。Suicaもなく、キャッシュカードもないので、電車にも乗れず、駅から徒歩30分の自宅までもう一度戻りながら、やはり、「山でも街でも両方使える、使いたいと思える財布を見つけなくては!」と思いました。

それは2010年頃。U.L.財布が、いろいろと登場してきた時期です。たくさんのカタログを見て、ネット検索をして、アウトドアショップを訪れて見つけたのが、シートゥサミットの『トラベルウォレット』です。
ちなみに、上画像は現在使用している『トラベルウォレットRFID』のSサイズ。使いははじめて約10年の私史上三代目。三代目なので、それ以前に同じトラベルウォレットを2つ使ってきました。現行モデルはスキミング防止機能が追加されていますが、その基本仕様は変わっていません。
『トラベルウォレット』を選んだ理由

軽く、薄く、でも収納力のある、アウトドアブランドが手掛けた、山でも街でも使える財布。それが、私の欲しい財布です。トラベルウォレットは、私が求めるモノを具現化してくれていました。
まず、アウトドアブランドの財布は、どれもが軽量にできています。ですが、その形状によって、違いや特長があります。
コンパクトさが際立つ三つ折り形状は、薄さを優先すると収納力が削られ、収納力を持たせると厚く膨らみがち。
だから私が求める財布の形状は、二つ折りでした。
その二つ折りも大きく分けて、ジッパーなし、L字ジッパー、͡コの字ジッパーの3タイプがあります。
軽さ重視ならジッパーなしですが、膨らみを抑えるために収納力も抑えられています。L字ジッパーは薄くなりますが、2辺しか開かないのでアクセス性、収納性がイマイチ。
一方のトラベルウォレットは、コの字ジッパーを採用

ジッパーを開けると、パカッと大きく開きます。10g台も多いU.L.財布と比較すると重めの56g(現行モデル)ですが、街用としては十分に軽いです。
小銭が多めでもジッパーを締めれば薄くなり、街で使うカードもホルダーと札入れ部分に十分に収納できます。現在収納しているカードの枚数を数えてみると、免許証、ポイントカード、診察券、予備の名刺等も含めて、全部で20枚も入っていました。
ちなみに、山に行くとき、デイハイクでは街のままの場合が多いですが、縦走等の宿泊がともなう登山では、必要な分のカードだけを収納しています。
使い勝手のよさは、山財布の最高峰!

札入れは、財布を開いた長辺側にあります。仕切りがあって、領収書とお札を分けて入れらるのが便利です。支払いの際にお札と一緒に領収書を出してしまったり、必要な領収書がどこに行ったのかわからなくなる……なんてことも防げます。
また三つ折りと違って、二つ折りはお札の折り癖が半折りなので、自販機に投入する際にも面倒がありません。先先日も、ロープウェイの乗車券を久しぶりに自販機を使って購入した際に、やはり二つ折りはいいなぁと実感。でも自販機にお札を投入する機会が減っているので、そのよさを実践できるのでは、現金のみのお店でお札を渡す時くらいなのが残念です。

小銭入れは、ジッパー開閉タイプ。下側の青色生地の方が薄手で、適度なマチというか余裕が備わっています。だからジッパーを開けると小銭を確認しやすく、滑りのよいコーデュラ シルナイロン製なので、小銭をスルっと取り出せます。これ、本当に細かいギミックなのですが、よく考えられています。
軽さ、薄さを優先させた財布って、小銭があまり入らない、少ししか入っていないのに取り出しにくいものが結構あります。山の時だけなら、それでも許せますが、街で普段使いをしてみれば、「う~ん……」となってしまいます。
電子マネーが当たり前になって、小銭を使う機会も減りましたが、しかしストレスなく現金の出し入れができる機能性は、山財布、アウトドア財布レベルではなく、普段使いの財布同等です。
思い返せば、10代の頃愛用していたポールスミスの財布とよく似ている

ところで、今回この記事を書いていて、発見がありました。私が約15年使っているシートゥサミットの『トラベルウォレット』の仕様は、高校生の頃から使っていた、山に最初に持って行った、ポールスミスの革財布とよく似ています。
現在、同じモデルはポールスミスにはありませんが、よく似た財布がまだ販売されていました。
二つ折りコの字ジッパータイプ。小銭入れはスナップボタン留めのボックス形状ですが、それをアウトドア仕様にしたら、トラベルウォレットが採用したマチ付きジッパー仕様の小銭入れになるんだと思います。
好きなもののニオイは、昔から変わらない

思い返してみれば、高校生のときに購入したポールスミスの財布は、見つけるまでにたくさんの雑誌を見て、都内のデパートの財布売り場、セレクトショップ、バッグブランドのショップ、もちろんアウトドアショップも含めて、使いやすい財布を求めて、探し回りました。
当時は軽さは求めていませんでしたが、薄さは気にしていて、加えて、お札、小銭、定期券の出し入れがしやすい仕様、形状を研究しました。それがポールスミスの財布だった訳ですが、それとほぼ同じ仕様のシートゥサミット『トラベルウォレット』を使い続けている事実から、10代の頃の私は、当時まったく自覚はありませんでしたが、すでにかなりの道具好き、モノ好きだったのだとわかります。
数多くの財布を見て、使ってきた50代道具ライターの私と同じ機能、仕様を、10代の少年は「これだ!」と見つけているのですから。

それと、当時はまったく知りませんでしたが、デザイナーのポールスミス氏は、自転車好き。昨今はサイクルブランドともコラボをしていますが、私も山だけでなく、自転車好き。
10代の私は、ポールスミスの財布から、同じニオイを感じ取っていたのかもしれません。
進化し続けるクォリティー。だからこそ、長く愛せる相棒になる

使い勝手のいいシートゥサミットの『トラベルウォレット』。しかし、スキミング防止機能が装備される以前に使った2つは、パイピング部分や雨蓋内に備わったキーホルダーを掛けるホール分が切れて、どちらも3年程度で寿命を迎えました。
ですが、現在使っている現行モデルの『トラベルウォレットRFID』になってから、耐久性も向上。約10年使って、少しくたびれてきたなぁというレベルです。
シートゥサミットというブランドは、こうしたマイナーチェンジを行い、道具のクォリティーをしっかりと上げ続けている点で、信頼が置けて、好きです。
それでは皆さん、よい山旅を!
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記事提供元:YAMA HACK
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