昭和100年!邦画5社とキネマ旬報が「いま観たい100作品」を厳選!
イチオシスト
「昭和映画」を牽引してきた東宝、松竹、KADOKAWA、東映、日活の邦画5社と大正8年の創刊から映画に伴走してきたキネマ旬報が、来る昭和100年を記念し、昭和映画を代表する100作品を厳選!
6つのジャンルに分け、キネマ旬報誌面では3月号より、短期連載をスタート。
第一弾では【昭和のエグい劇薬映画】5作品が紹介されています。
昭和の日本映画には、時代の空気を吸い込み、観客の価値観を揺さぶる、そんな「劇薬」が確かに存在した!
千葉真一、沢田研二、真田広之、緒形拳の大スターを擁し、あの深作欣二監督によって描かれた、忍法×オカルト、歴史上の傑人が時空間を超えて暗躍するという空前絶後の奇想天外伝奇ロマン『魔界転生』(1981)。これは、エグい!

あまりの殺戮シーンに成人指定を受け話題になった『丑三つの村』(1983)は、昭和13年に岡山県津山市で起きた犯罪史上類例のない凶悪事件「津山三十人殺し」を描く。古尾谷雅人演じる継男の狂気は「劇薬」以外の何者でもない。

今年、生誕100年を迎える今村昌平監督作品『豚と軍艦』(1961)は、タイトルからしてエグいが、横須賀の米軍基地を舞台にその背景に織りなす汚辱と頽廃を描くとともに、今村監督のリアルな眼が、日本人の良心と道義を、観るものに鋭く問いかけてくる―。この皮肉な喜劇に心の震えが止まらない。

『日本のいちばん長い日』(1967)は、東宝創立35周年記念作品。周年記念作品が終戦の日の24時間を描いた作品というチョイスもなかなかな劇薬だが、玉音放送を阻止せんとする青年将校、自刃する陸軍大臣といった、まさにその「史実」をリアルに再現した岡本喜八監督の覚悟と手腕、そしてそれを実現せしめた豪華俳優陣の演技は、まさにエグいのひと言。

イラストレーターとして知られていた和田誠が監督デビュー作に選んだのが、阿佐田哲也原作の『麻雀放浪記』(1984)だった。敗戦直後の焼け跡を舞台に、勝負師たちの生き様を乾いたタッチで描く本作は、全編モノクロで描かれている。「戦後の東京には色がなかった」といわれることがあるが、まさに視覚的にもその時代に取り込まれてしまう劇薬作品だ。

たった5作品に触れただけで、圧倒されてしまう【昭和のエグい劇薬作品】だが、キネマ旬報誌面では、当時の貴重な記事の再録もあり、今回の企画の見どころでもある。
今回の【昭和のエグい劇薬映画】からは、1981年6月号より、『魔界転生』の深作欣二監督と本作の衣裳デザイナーで人形作家の辻村ジュサブロー氏の非常に貴重な対談が掲載されている。
”魔界”の形について語る場面では、人が”魔界”に入ってしまうとき、そこには善も悪もあり、怖くも楽しくもあるのではないか、といった流れで、インタビュアーから「監督の場合だと、映画を撮っている時が、そういう、魔界に入った状態なんでしょうね。」と問われ、「ウーン、とにかく突入してしまったら、それはもちろん予算の制約とか、イメージ上の制約とか、いろいろ難問もでてくるけど、やってるうちにだんだんエスカレートしてきてね(笑)」と答えるシーンも。他にも、日本と西洋の悪魔の概念の違いについてなどなど、この対談から、本作の魅力の背景にある一部を読み解くことができる。
同時代を生き、懐かしさをもって触れてくれるのもよし、その時代を知らない世代の人たちが初めて触れるキッカケになるもよし、映画が人々を熱狂させ、映画館の入場者数が10億人を超えたといわれる昭和の時代を彩った作品との素晴らしい出会いがありますように。
次回は、【ブームを作ったあの映画】。3月下旬に公開予定です。
なお、厳選された100作品すべては、キネマ旬報公式Webサイトに掲載されています。
■名作発掘!昭和100年、いま観たい映画 公式サイト:https://kinejun.jp/showa100
■キネマ旬報3月号の詳細は KINEJUN ONLINE SHOP
記事提供元:キネマ旬報WEB
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