土井敏邦監督が祖国の危機に声を上げた人々を追う「在日ミャンマー人 —わたしたちの自由—」
イチオシスト
「異国に生きる-日本の中のビルマ人-」から13年。映像ジャーナリストの土井敏邦監督が、日本に暮らしながら祖国ミャンマーの危機に対して声を上げた人々に再びカメラを向けた「在日ミャンマー人 —わたしたちの自由—」が、1月30日(金)よりアップリンク吉祥寺、2月14日(土)より新宿K’s cinemaで上映される(以後、全国順次公開)。

2021年2月1日、ミャンマー国軍がクーデターを起こし、ミンアンフライン総司令官が全権を掌握。国軍は非常事態宣言を発し、選挙で勝利した国民民主連盟(NLD)政権のアウンサンスーチー氏らを拘束した。これに対して国民は抗議デモを行うが、武力で鎮圧されて多くの死傷者を出し、推定350万人以上が国内避難民となる。
日本でもクーデター直後から在日ミャンマー人たちが声を上げた。技能実習生たちは休日を返上して東京でのデモに駆けつけ、現地支援のための募金にも奔走する。映画の第1部では、デモに参加した若者たちの思いを捉え、「異国に生きる〜」に登場したチョウにも再び迫る。第2部では、ミャンマーと接するタイの町に避難した子どもたちが通う学校を支援し続ける在日ミャンマー女性を追う。そして第3部では、国軍との繋がりが噂される日本ミャンマー協会にもカメラを向ける。
土井敏邦監督コメント
2021年2月、1人の軍司令官の権力欲のために、やっと歩み始めた「ミャンマーの民主化」が踏みにじられたとき、すでに「自由」を体験した若い在日ミャンマー人たちは抗議に立ち上がった。必死に軍事政権の打倒を訴える彼らの姿は、私たち日本人に「祖国とは何か」「自由とは何か」そして「民主主義とはなにか」を問いかけている。さらに軍事政権と深いつながりを持つ日本は、「他人事」と遠望していていいのかという問いを彼らから突き付けられている。
取材開始から10年、紆余曲折を経て、やっとこの映画は完成した。私のライフワークである“パレスチナ”と“フクシマ”のドキュメンタリー映画作りと同時進行しながらの作業であった。しかし3つの映画作りを進める中で、これらの課題には、それらを貫く普遍的なテーマがあることに私は気づいた。それは「人間が“人間らしく生きる”とはどういうことなのか、そのためには、何が必要なのか」という問いである。3つのテーマの映画作りは、私にとってその答えを探し求めて暗中模索する営為なのかもしれない。

「在日ミャンマー人 —わたしたちの自由—」
監督・撮影・編集・製作:土井敏邦
編集協力:尾尻弘一
整音:川久保直貴
宣伝デザイン:野田雅也
配給:きろくびと
2025年/日本/171分
©DOI Toshikuni
公式サイト:http://doi-toshikuni.net/j/myanmar
記事提供元:キネマ旬報WEB
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