2020年から教えるコーチが解説 木村彩子の3年ぶり2勝目のカギは“外に上げる”ことにあった!【優勝者のスイング】
プロ11年目の木村彩子が、「富士通レディース」で3年ぶりのツアー通算2勝目を飾った。そのスイングを2020年から木村をコーチする南秀樹が解説。我々にも参考になるポイントを挙げてもらった。
◇
最終組の3人がトップに並んだ勝負の最終日にスコアを伸ばし、つかみ取った優勝。付け入る隙がない、強いゴルフは、今後の活躍も期待させるものでした。コマのようにその場でクルッと回転できるのが彼女の強みです。切り返しから左足に乗って体の中心でターンし、効率良くボールに力を伝えています。調子が落ちると、体重が右に残り、インパクトで合わせるように振り切りが悪くなることがありますが、そんなときは軽いクラブを全力で振ったり、早めにルックアップしたり、回転スピードを上げることで修正しています。
コーチを始めた頃は、クラブが下から入り、フックが強く、ラフからのショットに苦戦していました。もっとレベルに振るために着手したのが、クラブを遠くへ上げ、右ヒジを絞らずに打つこと。ドローが安定し初優勝を飾りますが、さらに上のレベルを目指すには、よりクラブを寝かさないことが不可欠。トップを高くすることを提案しました。彼女の場合、身長が低いこともあって、何をしてもクラブが下から入りやすい一方で、外に上げても極端なカット軌道にはならないからです。
また、外にクラブを上げるのは、トップで懐を作る狙いもありました。懐ができれば、体でクラブを引っ張ってもクラブが寝なくなり、スイングの安定につながります。
懐は胸の前にスペースを作ることで、手元が体の正面にある状態です。バックスイングでは前傾を保ちつつ、しっかりと胸を回すこと。このトップができれば、ダウンスイング時に体でクラブを引っ張っても、手元が真下に落ちるのでクラブが寝ることがありません。
反対に、手元が体の後ろ側に、体の回転に比べて腕の運動量が大きくなると、胸の前のスペースが潰れてしまいます。トップが低くなり、クラブが寝やすくなります。バックスイングを上げる際には、左肩をアゴの下ではなく、前に持ってくれば、胸が回りやすくなって懐が作りやすくなります。
懐ができれば、あとは左足に乗って体を回していくだけ。練習ではバックスイングを省き、懐のある高いトップから打っていくことで、理想のトップ位置を把握し、その場で回転する感覚がつかみやすくなります。力の出る、正しく下ろせるトップを体に覚え込ませてから、そこに向かってバックスイングを行えば、効率よくレベルアップができると思います。
■木村彩子
きむら・あやこ/1995年生まれ、大阪府出身。10歳からゴルフを始め、2015年にプロテストに合格。20年から南秀樹に師事し、22年に「アース・モンダミンカップ」でツアー初優勝を挙げた。25年の「富士通レディース」で2勝目を飾っている。コンフェックス所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
◇
●山下美夢有は何位にランクイン?関連記事【女子プロの”スイング完成度”ランキング 岩井姉妹、小祝さくら、竹田麗央……No.1は一体誰?】でトップ10を発表!
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。