兼本貴司は1差2位で最終日へ 「僕にとっては守り神」の中嶋常幸が見守る中で逆転Vなるか
<ファンケルクラシック 2日目◇18日◇裾野カンツリー倶楽部(静岡県)◇6986ヤード・パー72>
トップと2打差の5アンダー・3位タイから2日目をスタートした兼本貴司は、5バーディ・3ボギーの「70」をマーク。トータル7アンダー・2位で順位を1つ上げ、1打差を追って残り18ホールを戦う。
前半はボギーなしの展開で2つスコアを伸ばし、単独首位で折り返す。後半最初の10番パー5で2オンに成功するも3パットのパー。続く11番パー4では「左からのアゲインストだと思って大きいクラブで打った。風を間違えた部分もあって」と8番で放ったショットはグリーンの左に外れるも、ラフからおよそ20ヤードのアプローチをチップインさせてバーディを奪った。
前半からの良い流れが続くものかと思った矢先、13番から3連続ボギー。一時は4位まで後退するも、17番、18番と連続バーディで締めて、優勝戦線に踏みとどまった。
3連続ボギーの後、16番のティショットではビッグドライブを見せた。その場面を中継の放送席で観ていたのは、兼本が信頼を寄せるレギュラーツアー通算48勝のレジェンド、中嶋常幸。「アドレナリンじゃなくて怒りのショットだな」と解説する。それを知った兼本は「まさしくおっしゃるとおり。どこでもいいから行けっていうそんな感じです」と振り返る。
「怒りもありますし、ここで引いたらヤバいなと思って、ドライバーを取りました。スコアが良かったら多分アイアンで打っていた。左の奥のピンなので長いクラブでも止まりますから。だけどあそこで引いたら上位はないなと思って。そういう気持ちも半分ありました。だから怒りだけに任せているわけではないです」と、怒りが入り混じりながらも、慎重にマネジメントを組み直し、果敢に攻めていった。
16番はパーオンを成功させるも、「ファーストパターを打ち過ぎて」と2.5メートルオーバー。プレッシャーがかかる一打を迎えたが、「あれが入って、落ち着いた」とパーセーブし17番パー3に向かった。「(ティショットは)3番手だったので、風の影響が前の2人が打ってくれて分かったので、8番アイアンで迷いなく打てました。風は、上は左から、下は右からっていう巻き込みの風なので難しい。1.25メートルくらいにつきました。入って良かった」と風を読み切ってつけたチャンスをものにした。
最終18番パー5では、またもや“武器”を見せつけた。解説の中嶋が言うには、ティショットで320ヤードを超えるパワーショットを披露。「よく飛んだね。(ラウンドレポーターの)金谷(多一郎)さんが寄ってきて、中嶋さんが325ヤード飛んだぞって」。54歳にして平均飛距離300ヤード超えとなるパフォーマンスにギャラリーも驚いた。
囲み取材に応えているとき、報道陣の背後に解説を終わらせた中嶋が登場。「17番、18番で良かったな。全然表情が違うから。頑張ってな」とエールが贈られた。「お疲れ様です! ありがとうございます」と兼本は笑顔を見せた。
中嶋が解説で、11番パー4でグリーン左に外した2打目を見たとき、「旗が右に動いているのが気になったのかな」と言っていたが「そうです。意識しました。あそこら辺で8番アイアンとかロフトのあるクラブで、少し引っかかる。そのぶんちょっと左に」と、16番のティショットも含め、「考えていることが、やりたいことが分かっていると思う」と話す。
レギュラーツアー時代は、中嶋と練習ラウンドを回ったり、自身でどうすることもできなくなるほど悩んだときは相談していたという。「レクサス(2010年のレギュラーツアー「The Championship by LEXUS」)の最終日最終組で勝ったときも助言をもらっていた。今はもう“父離れ”をしないと、と思っているので(笑)。自分のできることは自分で解決して、どうにもならなかったら頼らせていただいている」と大信頼を置いている。
そんな中嶋に見守られながらの最終日に狙うは逆転優勝。「解説で見てくれているから、僕にとっては守り神です。優勝っていうのはまだ先だろうと思うんですけど、頑張れればいいかなと思います」と意気込みを示した。昨年の「ノジマチャンピオンカップ箱根 シニアプロゴルフトーナメント」以来となるシニアツアー通算3勝目に挑む。(文・高木彩音)
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