カータン「いくら悩んでも現実は変わらない」50代からの“楽な生き方”ヒントは「好奇心」と「諦め」

2007年にブログ「あたし・主婦の頭の中」を開設、月間800万アクセスを誇る人気主婦ブロガー・カータンが、「ビバ 女の古」(主婦の友社)を出版。
女の健康寿命は75歳まで!? 老後はひたひた近づいてくるけれど、人生は楽しんだもの勝ち! 迷ってる暇なんかない! 「50代は楽しい!」と提唱する元CA・カータンの愉快な日常が、ユーモラスに描かれている。
「テレ東プラス」は、出版記念イベントを終えたカータンを直撃。中年期を健やかに生きるためのヒントを探る。
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“うかうかしていられない!”という焦りがある
――「ビバ 女の古」は、カータンさんやご家族の日常の一コマに笑いが散りばめられていて、50代の身としては共感しかなかったです。特に笑い転げたのは、“寝顔が死に顔に近づいている?”や着心地満点な部屋着(&下着)のネタ。私も毎日、襟や脇の部分が伸びまくった着心地満点のユニクロタンクトップを着ているので。
「(笑)。本当にあるあるなんですよね」
――誰かに止めてほしいんですけど、やっぱり着心地には代えられません!(笑)
ブログを開設して来年で20周年を迎えるカータンさん。出版イベントを拝見し、「ビバ 女の古」を読んでいても思いましたが、カータンさんはとてもパワフルですよね。そのパワーはどこから来るのかなと。
「CAだった頃からエネルギッシュというか、体力はすごくある方だと思います。でもバブルの女って、結構体力ないですか?」
――(笑)。私も50代なんですけど、ここ1年で少し体力が落ちたんですよね。でも「ビバ 女の古」を読んで“女の健康寿命は75歳まで”というワードが響きましたし、“これじゃいけない!”と奮い立つ自分がいました。
本でも登場しますが、エキストラに登録して女囚人になったり、ご夫婦で「ほめ達!検定」に参加したりと、明るく楽しい日常を送る中で、カータンさんが大切にしていることはありますか?
「好奇心かな。50代後半にもなると、健康不安が増えるじゃないですか。耳は遠くなるわ、目はかすむわ、体力的にもどんどん衰えてくる。だからこそ、自分の中に好奇心があるうちは“何でもやりたい”と思う…ただそれだけなんですよね。
バブルの女の特徴かもしれないけど、昔から“これが欲しい!”と思ったら、何が何でも手に入れるという精神があるみたい。“ヒット商品で品切れ”なんて聞くと、すぐにパトロールしたくなっちゃうんです。現場を見ておかないと気が済まない(笑)。
私たちの世代って、若かりし頃はみんな同じブランドものを持っていて、何でも取り合い、今思うとものすごく生きづらかった。楽しくもあり、生きづらかったんですよ。
いつも流行に敏感じゃないと取り残されてしまうようで。
この歳になってもその感覚が残っていて、きっとこれから先も抜けないでしょうね。貪欲さみたいなところは。
あと私の場合、自分の親を間近で見ていて“あの親でさえ、こうなっちゃうの? うかうかしていられない!”みたいな焦りもあります。
親が玉手箱を開けたみたいに老いていくのを目の当たりにしているので、どうしても、そこに自分の姿が重なってしまう。なので何かを心がけるというよりは、焦りの方が近いかもしれません」

――「ビバ 女の古」では、最愛のお父様、お姉様の死についても触れていますが、どのような形で乗り越えたのでしょう。
「周りに共感してもらえる同じような境遇の人がいたので、話を聞いてもらうだけで救われました。あとはブログで発信すると、同じ悩みを持った読者の方からコメントをいただけて、“あーつらいのは、私一人じゃないんだ”と思えたのも大きかったですね」
――私事ではありますが、最愛の母を亡くして七回忌を迎えまして。今振り返ると、母が亡くなった当時の自分はあえて仕事を忙しくして、なるべく考えないようにしていました。月日が流れ、今ようやく向き合えるようになって…。
「すごくよくわかります。私も、姉が亡くなった時はとても忙しかったこともあり、あまり深く考えないようにしていました。亡くなって3年になりますが、今もまだ姉の死は考えないようにしていて、現実逃避と言ったら変ですけど、まだ姉は姉の家にいて“ちょっと会っていないだけだよね”という感覚でいます。今後、時間が解決してくれるのかなと。
一方、最後は姉がものすごく苦しそうだったので“今頃、楽しんでいるだろうな”という思いもあります。
あと、お姉様を亡くされたブログの読者さんから『7年たつと少し向き合えて、心が穏やかになりますよ』とメッセージをいただいたこともあって…それも印象に残っています。だから、本当に向き合うまではもう少し時間がかかるかな」
泣いて朝を迎えようが、笑って朝を迎えようが結果は同じ
――子育てが一段落すると、今度は自分や家族が病に倒れる…中年期に差し掛かると、さまざまな試練が降りかかります。さらには老後の心配も…。どうしたらポジティブな思考に変換することができますか。
「これが答えになっているかどうかわからないんですけど、いくら考えたり不安になったりしたところで、自分が動かないとお金は増えないし、寿命が延びるわけでもない。
私の中でこういう考え方に至ったのには一つエピソードがあって、次女の出産の時、ものすごく苦労したんですよ。妊娠17週の時『お腹の子は諦めてください。育たないかもしれない』と言われて、泣いて泣いてという夜を過ごしたんですけど、私が泣いて朝を迎えようが、笑って朝を迎えようが結果は同じで、子どもの状態が変わるわけではない。そう気づいた時、“今後は眠れない夜を過ごすのはやめよう”と思いました。だからそれ以降、眠れない夜がないんですよ。
例えば家族のことでも、“自分が悩んだところで変わらないのであれば、あれこれ悩んでもしかたがない”と思うようになったら、少し楽になりました」
――悩んでいるだけでは、現実は変わらない――。
「そうです。私、『テレフォン人生相談』をBGMにしていろいろな作業するのが好きなんですけど、そこで悩んでいる方って、ものすごく真面目な人が多いんですよ。
『親が亡くなって、生前“お墓をこうしてほしい”と言っていたんだけど、自分はしてあげられなかった』と。それをものすごく悔やんでいる方がいたんですけど、私は“死んじゃったものはしかたがねぇよ”と思っちゃう。いくら悔やんで考えたところで、結果は変わらないから。
世の中の人は、本当に真面目ですよね。例えば、すごく忙しくてお墓参りに行けない時、ご先祖様が私を突き落とすようなことはしないと思うんですよ。でも真面目な人は、ちょっと転んだら『ご先祖様が怒っていらっしゃる!』とか言うじゃないですか(笑)」
――あぁぁ~まさにそれ、私のことです。今年のお盆、義理の母のお墓参りに行けなかったことを少し気にしていて…。
「大丈夫ですよ。ご先祖様はきっと、“忙しいのね”と思っていますから(笑)」
9月29日(月)午後0時公開の後編では、何でも明るく笑い飛ばすカータンに、編集部員たちの超絶リアルなお悩みをぶつける。▲「ビバ 女の古」
【カータン プロフィール】
人気主婦ブロガー。2007年にブログ「あたし・主婦の頭の中」を開設。コミカルなイラストで日常をユーモアたっぷりに描き主婦層を中心に人気が大爆発。「Japan Blog Award 2008」総合グランプリ受賞、「livedoorブログ OF THE YEAR2015」最優秀グランプリ受賞。以降殿堂入り。月間アクセス数は800万超、ブロガーとして確固たる地位を確立。主な著書に親の介護に体当たりに挑んだ『健康以下、介護未満 親のトリセツ』、『お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム介護ど真ん中!親のトリセツ』(ともにKADOKAWA)など。
(取材・文/蓮池由美子)
記事提供元:テレ東プラス
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