6ホールプレーの導入など新スタイルがゴルフ場の閉鎖を止める? 一方でゴルフ場利用税の問題も……
残暑の続く日本列島で、ゴルフ場の閉鎖やソーラー転用へのニュースが続いている。北海道・女満別ゴルフコースに続き、栃木・那須伊王野CC、広島・吉和の森GCといったゴルフ場が、猛暑による入場者低迷のニュースと呼応するかのように営業終了への動きが表面化した(一季出版・ゴルフ特信)。いずれもメガソーラーへの転用が計画されており、ゴルフ場の経営が深刻さを増していることを証明している。
日本ゴルフ場経営者協会(NGK)のホームページによると、今年5月のゴルフ場数(全国)は2,154。昨年の5月が2,174だったから、この1年で20コース減ったことになる。いったいどこまでいくのか。NGKの大石順一専務理事は、この傾向がまだまだ続くと見る。
「2030年から35年の間には日本全体の総支出額が減ってくる、あるいは人口が減ることを考えると、バブル前の1,800程度までは減ると見ています」
ゴルフ場業界は、まさにサバイバルレースの様相が続きそうなのだ。そんな中、生き残るためにはどうしたらいいのか。まず、デジタルの活用などによるコストカットは当然のことながら、そのカットした分を各々のゴルフ場に合った形のサービスに転換させていくことが重要だと大石氏はいう。
「今までのゴルフ場は、値下げをするためにコストを下げる考え方でした。でもそれはもう無理がある。コストを下げた分を原資に使って、ゴルフ場本来のあるべきものを、きちんとお客さんに提供できるものに変えていく。富裕層を意識するコースは、色んなものにお金をかける。中間層は目をつぶるところはつぶりつつ、『ある程度満足できる』ところを狙う。『コースもレストランもまあ普通で満足』っていう人だっていますから」
そこで改善されるべきは、ゴルフ場利用税(地方税の一種で、ゴルフ場の所在する都道府県がゴルフ場を利用したゴルファーに課す税金。各都道府県がいったんまとめ、都道府県に3割、市町村に7割が交付される)だと、大石氏は指摘する。
「そろそろ夏は3ホールとか6ホールとか9ホールとか、ゴルファー側が選べるスタイルにしないと、もうもたない。そのためには(行政に)ゴルフ場利用税を1回プレーしたら1日分という考え方を改めてもらう必要があるでしょう」
東京都の場合、早朝や薄暮のハーフプレーの利用税は、18ホールの半額となっている。だが6ホールや3ホールというサービスに応じた利用税の割引について、東京都主税局のウェブサイトでは触れていない。そこで直接電話で問い合わせたところ「ゴルフ場側が早朝や薄暮の時間帯によって軽減される利用税の額を踏まえて3ホールなどの使用料を決め、それに基づいて納入した場合は問題なし」という見解だった。
スポーツ庁もこうした“時短ゴルフ”に適応した利用税の変更については「ゴルフ関連の各団体の意見がまとまっていて、自治体の賛同を得られていれば」と肯定的だった。
ゴルフ場がなくなれば、利用税の収入も入ってこなくなる。その大前提を行政とも共有し、ゴルファーの多様なニーズに対応できる柔軟なプレースタイルを提案する。ゴルフ場の存続は、それができるかどうかにかかっている。(取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗)
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