ドローン、世界のへそ、群れ アートピースのようなラインナップ 「ムガリッツ」メニュー紹介
2025年9月19日より劇場公開される、第72回サン・セバスティアン国際映画祭のカリナリーシネマ部門でベストフィルムを受賞したドキュメンタリー映画「ムガリッツ」から、本作に登場するメニューの一部を紹介する。料理の多くが手で直接食べるもので、古典的な順序には従わず<ルールを破ることほど好きなものはない>というシェフの概念にふれることのできる、アートピースのようなラインナップとなっている。
■「Drones(ドローン)」
蜂の巣や群れのように、集団システムを構成する私たち一人ひとりが果たす役割を、ドローンの貢献も含めて擁護している。

■「... or starve to death(…さもなくば飢え死にせよ)」
コンセプトは、お客様自身がその骨を割って中に入っているものを取り出すというもの。お客様は「骨」(マンニトールで作られた)と石を受け取る。中には、「骨髄」(私たちの“メタ”骨髄)が入っていて、牛のブロス(出汁)とスジで作られている。

■「Suspension, flower fingers (時を止める、花の指)」
くるみ材で作られた二つに分かれた木の器。一方にはアプリコットオイルが注がれ、もう一方には花々が入っている。指をオイルに浸し、その指で花をすくい取って口に運ぶという体験型の料理。コンセプトは、食べ手が風景の一部となり、遊び心を持って参加すること。指を汚し、花を手でつかみ、指をなめるという行為を通じて、自然との一体感を味わってもらうこと。

■「The world's navel(世界のへそ)」
「ミシュラン」(スペイン語の表現で、腰回りの脂肪のふくらみ、英語でいう”spare tire” のような意味)の形をしており、ホエイ(乳清)/バターミルクとクルミ油の少量の上に置かれ、口を直接つけてすするように食べる。

■「rebaño(群れ)」
グリルしたラムチョップと、羊の毛を使ったインフュージョン(抽出液)で作られている。複雑な比喩で、「神の群れ」を表現している。

「ムガリッツ」は、世界屈指の“異端の名門“との呼び声も高い、スペインの有名店ムガリッツの、革新的な料理の誕生プロセスを追ったドキュメンタリー。ガストロノミー(食の芸術・哲学)の中心地であるスペイン・バスク地方にあり、ミシュランガイドに「レストランを超えた存在」と評され、2つ星を獲得した名門ムガリッツ。グラスなどを並べず、アーティスティックなオブジェだけを載せたテーブルに、ナイフやフォークなどを排して、手や舌を直接使って味わう料理を提供するなど、従来のレストランコードを崩し、ゲストの好奇心を誘い、五感を研ぎ澄まさせ、独自の世界観で今までになかった食空間を生み出してきた。
ムガリッツは、毎年11~4月の6カ月間は休業し、この期間はスタッフ総出で、メニュー開発に専念する。その年に誕生した料理が翌年以降に提供されることはなく、革新的なメニューはつねに更新され続ける。そんな異端の名門ムガリッツの研究開発チームに密着した作品となっている。監督を務めたのは、「REC」シリーズなどのホラー作品で知られるパコ・プラサ。もともとムガリッツの熱心なファンだったプラサ監督が、創造の秘密に迫る。
【作品情報】
ムガリッツ
2025年9月19日(金)よりシネスイッチ銀座ほか順次ロードショー
配給:ギャガ
©2024 TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.
記事提供元:映画スクエア
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