「高いのに満席ってどういうこと?」西武鉄道「52席の至福」に実際乗ってみたら納得だった
最近、JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」やJR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(MIZUKAZE)」など、趣向を凝らした豪華列車が大人気ですが、今回、乗り鉄の筆者は西武鉄道の「旅するレストラン 52席の至福」に乗車してきました。ディナーコースは1万8,000円もするのに、なぜ、そこまでの人気があるのか? 実際に体験して確かめてみました。

西武鉄道の「旅するレストラン 52席の至福」は豪華な食事が楽しめる“旅するレストラン”
西武鉄道「旅するレストラン 52席の至福」(以下:52席の至福)は、西武鉄道が運行する全席指定の臨時列車。その名のとおり、走る列車内で豪華な食事が楽しめる“旅するレストラン”であり、贅沢な鉄道体験ができる列車として話題を呼んでいます。
●西武鉄道「旅するレストラン 52席の至福」公式サイトは→こちら

運行ルートは「西武新宿 ⇔ 西武秩父」と「池袋 ⇔ 西武秩父」を往復する2つのコースがあります。
2025年の運行日は基本的に土日祝日のみ。午前発の「西武秩父行き」が〈ブランチコース〉、午後発の〈ディナーコース〉は池袋または新宿へと向かいます。ディナーコースの発車時間は夕方の風景が計算されているようで、夏と冬で異なります。
途中駅の乗降はブランチコースのみ「芦ヶ久保駅」で可能。ディナーコースでは途中下車できません。所要時間はどちらも約2時間半~3時間で、まさに食事を楽しむための列車なんですね。
価格はブランチコースが1万5,000円、ディナーコースが1万8,000円。これには、乗車券(最終旅行案内書)、西武線1日フリーきっぷ(※西武多摩川線を除く)、コース料理、諸税、おみやげなどが含まれています。ただし、1名では利用できず、2~4名での予約が必要になりますので、筆者は乗り鉄仲間と一緒に乗車しました。
列車名の由来は定員52名から。“52”はトランプの枚数にちなんでおり、ロゴもそこからインスパイアされたデザインとのことです。

西武鉄道「旅するレストラン 52席の至福」の車両はどんな感じ?
今回、筆者は西武秩父駅から西武新宿駅までのディナーコースを体験してきましたが、そのレポートの前に「52席の至福」の車両についてチェックしておきましょう。
52席の至福は、西武4000系4両1編成を改造したもので、2016年4月17日から運行を開始しました。全車両が特別仕様で、1号車は多目的スペース、2号車と4号車が客席車両、3号車がキッチン車両となっています。
西武秩父駅に入線した52席の至福は、外装には四季をテーマとしたラッピングが施されており、1号車が春(芝桜や長瀞の桜)、2号車が夏(秩父の緑)、3号車が秋(紅葉)、4号車が冬(あしがくぼの氷柱)を表現しています。

乗車時はチケットの確認ではなく、ホテルのように予約者の名前を伝えるだけで、席までアテンドされてスムーズに乗車できました。
内装も見事で、沿線の伝統工芸品や地元産の木材を使用した和モダンなデザインです。天井が高く、列車に乗っていることを忘れてしまいそうな開放感が気持ちいいですね。
3号車はオープンキッチンで、調理の様子を間近で見ることができます。さらに、バーカウンターもあるのでお酒を楽しむことも可能です。


「52席の至福」ディナーコースの食事は超豪華!
52席の至福は“旅するレストラン”と銘打っているだけに、食事は本格的なコース料理。有名店や著名なシェフが監修し、3カ月ごとの季節替わりのメニューが提供されるとのこと。これなら、何度乗っても楽しめますね。
2025年7月のディナーコースは、季節の一皿、前菜、パスタ、メイン、デザート、ドリンクの全6品。コースによってメニューが異なるため、事前に公式サイトでチェックしておくことをおすすめします。
料理は1品ずつ丁寧に提供され、スタッフが産地や調理法を丁寧に説明してくれます。もちろん、どれも美味しかったのですが、とくにメインの肉料理はやわらかく、バジルの香りが爽やかで印象的でした。


ソフトドリンクは無料で、アルコールは別料金になりますが、ビール、日本酒、赤ワインなど10種類以上が用意されており、秩父産のお酒も楽しめます。
食事中に感心したのが、使用されているカトラリーやコースターがすべてオリジナルデザインだったこと。細部にまで「52席の至福」のロゴが施されており、西武鉄道のこだわりが伝わってきました。

まとめ
いかがでしょうか? 今回は、西武鉄道「旅するレストラン 52席の至福」のディナーコースを、実際に筆者が体験してきました。
ディナーコースは1万8,000円もしますが、料理のクオリティはもちろん、バイオリンの生演奏やホスピタリティを含め、価格に見合った価値がありました。
とくに印象的だったのは1両あたり6人ものアテンダントが乗車しており、細やかなサービスでもてなしてくれたので、とても快適に過ごせたこと。
また、乗車特典として秩父の提携施設で使える割引券も付いており、西武鉄道の地域振興への本気度も感じられました。秩父エリアは自然豊かで、トレッキングやライン下りなども楽しめるため、避暑地として訪れるのもいいでしょう。
なお、乗り鉄の筆者としては2回のスイッチバックや、夜の西武池袋線から西武新宿線への転線といった、普段は味わえない運行が魅力的。所沢駅ではホームのない場所に停車し、スイッチバックする様子がなかなか興味深かったです。

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※記事中の内容は筆者(編集部)が購入時点のものです(2025年7月)。時期によっては内容が異なる場合もありますのでご了承ください。
記事提供元:スマホライフPLUS
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