“スマイリング・シンデレラ”渋野日向子が6年ぶりに取り戻したいもの「とりあえず楽しみたい」
<AIG女子オープン 事前情報◇29日◇ロイヤル・ポースコールGC(ウェールズ)◇6748ヤード・パー72>
2019年覇者として、今年も全英に帰ってきた。6年前にロンドン郊外のウォーバーンGCで行われた全英で、渋野日向子はメジャー制覇を成し遂げ、その眩しい笑顔から“スマイリング・シンデレラ”とも名付けられた。
最終18番でウイニングパットを決めた瞬間よりも、フェアウェイを堂々と歩いてグリーンに向かっているときに浴びた声援のほうが、より鮮明に思い出せる。だが、6年も経過すれば、「年々記憶はなくなっていくもので、ほぼ覚えていない。歳もとる、いろいろ変わる」とキッパリ。優勝カップを掲げる20歳の渋野の写真が、コースや街に掲示されているが、「なにも考えてねえんだろうな、みたいな顔をしている。あれを見るのすら恥ずかしいです」と自虐的に笑う。
先週スコットランドで行われた“前哨戦”では、5試合ぶりに週末に進んだ。悔し涙を流しながらも、カットライン上でギリギリの通過。決勝は伸ばしあぐねたが、4日間を50位で戦い抜いた。「(いまは)ここに来るときほど不安ではないかもしれない」と話し、その進度を「0.3歩くらい」と表現。笑顔を見せる回数も、最近よりも多く感じられた。
19年以降は、3度の予選落ち。直近は2年連続で喫している。「もっといい状態で入りたかったと毎年思っている。気がより一層引き締まる試合。結果を残したい気持ちもありながらも、焦りたくないというのもある。とりあえず楽しみたいと思っています」。これが、全英覇者としての、いまの心境だ。
海外メジャーはこれが今季最後で、シーズンも終盤戦にさしかかる。ランキング上位が出られる日米共催「TOTOジャパンクラシック」を含む秋のアジアシリーズに出場するためにも、メジャーで大きなポイントを獲得したい。「なかなか安定した成績も出せていないし、毎週言っているけれど、きっかけをつかみたい。1年のなかで本当に大事にしている試合」。先週のスコットランドでは“連敗”をストップできた。今週は、次のステップに進みたい。
会場は、2週間前、欧州連戦のオープンウィークで下見済み。今週は月曜日、火曜日とそれぞれハーフを回り、コースを確認した。移り変わりの激しい天気で、渋野がラウンドした昼ころは、雨、風、寒さ、晴れと目まぐるしく変わった。「前に来た時は風があんまりなかった。全然違うし、グリーンもちょっと速くなっているとは思う。これ以上(風が)吹かないことを願いたいです(笑)」。リンクスにも関わらず、激しいアップダウンもあり、アゲンストなのに手前から攻めるホールもあるという。
6年前は、ただ純粋に、大会を楽しんでいた。いまは試行錯誤を繰り返し、不調からの脱出を求めている。「あの時は何も知らないし、その時とは違う心境。本当にターニングポイントになるように、今週頑張らないとなと思います」。開幕前日は、プロアマで18ホールを回る予定。調子を整えて、初日の開幕を待つ。(文・笠井あかり)
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