4400万円の“初任給”で欲しいものは車 元世界アマ1位がプロデビュー戦V
<ISPS HANDA スコットランド女子オープン 最終日◇27日◇ダンドナルド・リンクス(スコットランド)◇6538ヤード・パー72>
元世界NO.1アマチュアが、衝撃的な優勝を果たした。先週プロ転向し、これがツアーデビュー戦だった21歳のロティ・ウォード(イングランド)が、古江彩佳が持つトータル21アンダーの大会コースレコードに並び、初優勝を挙げた。
初日に首位と1打差の2位発進。2日目に「65」をマークして単独首位に立つと、決勝は「67」「68」でトップの座を明け渡さず、72ホールを駆け抜けた。2打リードで迎えた最終18番パー5では、残り170ヤードほどから手堅くレイアップ。60センチのバーディパットを決めると、控えめに手を挙げてギャラリーからの拍手に応えた。
「18番を歩いているときは、いい気分だった。初めての大会で優勝できたのは本当に特別。きょうはみんなが私を追いかけていた。首位をキープして、最後までいいショットが打てた」
2022年に米フロリダ州立大に入学。24年には、海外男子メジャー「マスターズ」の会場・オーガスタを舞台に行われる「オーガスタナショナル女子アマ」で優勝を果たした。同年6月から世界アマランク1位に立ち、今年7月には欧州女子ツアーで優勝。2週間前の海外メジャー「アムンディ・エビアン選手権」では優勝争いの末3位に入った。
今季から米ツアーでは、アマチュアの参戦を後押しする『LPGAエリートアマチュアパスウェイ』(LEAP)を導入。条件をクリアしたアマチュアのツアーメンバー入りを認めるもので、エビアンを3位で終えたウォードが同制度の第1号選手になった。
ツアーメンバー初戦での優勝は、18年のコ・ジンヨン(韓国)以来となる史上3人目。プロ転向後初戦での優勝は、23年のローズ・チャン(米国)以来9人目という快挙となった。
「オーガスタは当時、私がプレーしたなかで一番大きなトーナメントで、とても大きな勝利だった。そのときのプレッシャーは、きょうよりもあった。これまでも多くのメジャー大会やプロの試合に出場してきたから、全てが初めてというわけではなかった。経験を重ねるほど、より良い結果が得られると思う」
7月は欧州ツアー勝利、エビアン3位、米ツアー勝利という快進撃。本人も「どう説明したらいいか分からないけれど…」と言葉に詰まるほど、怒とうの1カ月だった。来週は前年大会10位以内の資格で出場する海外メジャー「AIG女子オープン」(全英)。「ただ、この勢いを維持したいだけ」と、メジャー初制覇も視野に入れている。
アマチュアとして出場したエビアンでは賞金をゲットできなかったが、今大会では優勝賞金30万ドル(約4400万円)を“初任給”として手にした。その使い道は決まっている。「アメリカで(免許取得の)試験を受けて、車を手に入れないといけない。車種はまだ決まっていないけど」。超大型新人のプロゴルファー生活は、まだ始まったばかりだ。(文・笠井あかり)
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