【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】番外編 移籍報道で注目の サッカー日本代表・板倉 滉が京都&兵庫で "進化した"社会貢献活動KCPを開催!
板倉 滉が京都&兵庫で社会貢献活動KCPを開催!
欧州の名門クラブに移籍⁉ との報道で連日話題となっている、DFリーダー・板倉 滉。そんな彼がつかの間のオフをフルに使って、22年より自身が主宰する社会貢献活動『KCP(Ko creation project)』を今年も開催。
京都の名刹で、そして阪神淡路大震災から30年の節目を迎えた神戸で、子供たちやファンと交流。単なるサッカー教室ではない、ユニークなイベントの中身を徹底リポート!
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6月14日、京都・清水寺。土砂降りの雨にもかかわらず、大講堂圓通殿の外には長蛇の列ができていた。開創778年、およそ1250年の歴史を持つ世界遺産にて板倉 滉が『KCP』を開催。もちろん、アスリートとしては初。前例のないイベントに人々が殺到した。
「このKCPは、3本の軸(社会貢献・子供に夢を与える・日本食文化を広げる)をもとに47都道府県を巡る活動です。22年の終わりにローンチイベントを開催、23年6月から僕の地元である横浜を皮切りに今年で4年目を迎えます。
単なるサッカー教室にとどまらず、常に今まで誰もやったことのないユニークなイベントをスタッフとともに考え、実施してきました。
今回ご協力頂いた清水寺では、京都府内在住の小中学生60人を招いて、執事の大西英玄(おおにし・えいげん)さんとともに、"生きていくうえで壁に当たってしまったとき、どう乗り越えていくのか"をテーマに、電子機器を使ったコミュニケーションに頼るのではなく、対面でグループトークするというメンタルに特化したワークショップを開くことにしました」
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人生初という着物姿で登場。ワークショップでは子供たちに寄り添いながら、それぞれが抱える悩みに耳を傾けた。サッカーをしている子が多いこともあり、板倉は自身の中学時代の苦い記憶を包み隠さず話した。
「僕も中学時代は、成長期が遅いこともあって取り残されてしまったから、本当にキツかった。一時は本気でサッカーをやめようとしていましたからね。悩みを抱えた子供たちの気持ちは痛いほどよくわかります」
ワークショップに続き、大西さんとトークイベントを実施。「成功か、成長か」、「誰でもできることを誰もできないぐらい練習する」......。清水寺の高僧から発せられる、含蓄ある言葉の数々。板倉もいたく感銘を受けていたようだ。
「僕自身、生きていく上で、すごく心に刺さる言葉を数多く頂きましたね。サッカーって技術やフィジカルが重要視されますけど、結局はメンタル・スポーツだと思うんです。だから、心に寄り添ったワークショップというのは、ここから先もっと必要になってくると思います」
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6月22日、時折日差しが強く照り付ける兵庫県・六甲アイランドに、板倉の姿はあった。"6都道府県目"の開催地。板倉にとっては、ゆかりの場所でもある。
「僕は、生まれは神奈川ですけど、父の転勤で小さい頃はずっと兵庫県の西宮市に住んでいたんです。小1の時、入学してすぐGWの時、高木小学校でのサッカー大会に出て、賞状をもらって帰ってきて。
それまで野球とか水泳ばっかりだったけど、サッカー面白い!やりたい!と思い始めたんです。ここ兵庫県でサッカーと出会ったわけですから、いわば僕の原点なんですよ。今回、西宮までは帰れなかったけど、たくさんの方々が集まってくれて、ありがたいなって思いました」
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この日のトークイベントのゲストは、盟友である日本代表MF堂安 律。やはり兵庫県出身である彼と、板倉は即興に近い形で進行。子供をひとりずつステージに呼び、二人で軽妙な掛け合いをしながら場を盛り上げた。堂安は「いいなぁ、このイベントの空気感。滉くんならでは」と絶賛した。
「なんていうか、故郷に帰ってきたような感覚なんですよね。うれしいです。兵庫県出身である律と話していても、やっぱり関西っていいなぁって。U-18日本代表で僕が18歳、律が16歳のときに出会ってからもう10年になりますけど、こうやって兵庫県で律を招いてイベントができたことは感慨深いものがあります」
午後に入ると、気温はぐんぐん上昇。まさしく炎天下。が、板倉は小中学生計200人を相手にミニゲーム、そしてフルコートで試合を行なった。助っ人は、"弟分"とも言うべきFW福田師王、女子サッカーINAC神戸の5人の選手たちだった。
「いやぁ、暑かったですね。全然、体が動かなかった(苦笑)。でも、参加してくれた皆さんには感謝しかないです。師王は、去年に続いて参加してくれましたしね。子供たちも、熱中症が心配だったけど、本当によく頑張ってくれていました」
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阪神淡路大震災から30年。8時間にわたって、六甲アイランドの一角をジャックして大成功を収めた板倉は、イベント内での募金を神戸市に全額寄付し、このように語った。
「やっぱりKCPですから、こうした社会貢献活動はしっかりやっていかないといけないです。去年の1月の能登半島地震の後、僕らは6月に石川県でも活動を行いましたが、とにかく僕らでできることを継続していくのが大切だと思います。忘れるということをしてはいけません」
じつは、この日のKCPにはもうひとつの新しい試みがなされていた。デフサッカー日本代表・湯野琉世、中村功太郎の参加である。
聴覚障がいのある選手がプレー、競技中は補聴器を外すことが義務付けられているため、"音のないサッカー"とも呼ばれるデフサッカーは、今年11月に東京2025デフリンピックのひとつとして開催(デフサッカーは福島県にて)。それを見越しての招待だ。
湯野、中村はともに板倉に対して「デフサッカーへの理解、普及、そして伝播について、板倉選手は真剣に耳を傾け、向き合ってくれています。うれしいです」と、コメント。板倉はじめKCPの運営スタッフの真摯な姿勢が見て取れる。
「僕がやりたいと思ったことをやる。でも、単なる子供向けサッカークリニックだけじゃ進歩がない。ありきたりじゃダメなんです。僕が目指すのは今まで誰もやったことのない、社会貢献活動なんです。
ありがたいことに、KCPイベントに出たいと言ってくれる選手も多いし、なによりも支えて下さるたくさんの方々に恵まれています。次回もまたユニークなイベントを開きたいと思っていますので、楽しみにしていてください!」
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●板倉 滉(Kou ITAKURA)
1997年1月27日生まれ、神奈川県出身 DF 身長188cm
川崎Fで育ち、19年1月、マンチェスターCに移籍。 レンタルで蘭1部フローニンゲンへ移り、20-21年シーズンに年間最優秀選手賞。 21年-22年シーズンからは独2部のシャルケで、22年よりブンデスリーガのボルシアMGでプレー。 日本代表でも26年北中米W杯最終予選で大活躍、出場権獲得に貢献。 今や欧州各国の名門クラブから注目され、移籍市場で話題の的に。
公式X【@kougogo1270】
公式Instagram【@kouitakura】
構成・文/高橋史門 写真/Taisei Iwamoto
記事提供元:週プレNEWS
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