例えるならアダム・スコット⁉ シャープでバランス良しのアウディS5は洗練さが極まっている!
アウディのなかでもミディアムサイズで日本でも扱いやすいA5。そのスポーツバージョンがS5。さらに上のRS5との味付けの違いが気になるところ。最新のスポーティなワゴンはどんな出来なのか。無類のクルマ&ゴルフ好きとしても有名なアーティスト・松任谷正隆流のジャッジはいかなるものか、注目!
編集部(以下、編):松任谷さん、よく早起きできましたね。
松任谷(以下、松):まあな、早起きというより、おしっこで起きちゃうんだよね。そのまま起きていただけさ。
編:大丈夫ですかねえ。ゴルフ場で亡くなる人、結構いるんですよ。
松:知ってるよ。グリーン上が特に危ないんだろ?
編:下を向いて集中するからですかねえ……。それとも息止めちゃうからかな。
松:まあ、でもおかげでうちのそばの練習場にも来られたし、だから悩みを聞いてくれよ。
編:飛ばないってことでしょ?
松:あら、よく知ってるじゃないか。そうなんだよ。ドライバーで200ヤードいかないの。
編:動画撮ってあげますから、そこで打ってください。
松:いくぞ!
編:どうぞ。
松:えいっ! パチン!
編:はい撮りました。見てください。
松:えっ、これ俺……? おじいさんじゃん。
編:飛ぶわけないってスイングでしょ?
松:確かに、力は抜けているように見えて、クラブを振っている感じはまったくないね。
編:遅いですよね。箒で掃除じゃないんだから。
松:くそお、これは全面的に考え直さないとだめだな。ちょっとのアドバイスで直るような問題ではないことは分かった。
編:そうです。だからここはもう切り上げて、さっさとコースに行きましょう。向こうにだって練習場はあるんだから。
松:いや、もう練習はしない。がっかりした。
編:いいじゃないですか。今日は松任谷さんの好きなクルマなんだから。気持ちを切り替えましょう。
編:さあ、S5です。なんか大きいですよね。
松:というかさあ、奇数はエンジン車、偶数は電気自動車にするってアウディが宣言したの、割合最近だよな?
編:そうですね。
松:でも、もうやめるんだって? また、元に戻すらしいぞ。
編:今までは奇数がクーペで偶数がセダンでしたっけ?
松:まあ、なんとなくそうだったよな。ということは奇数のセダンは今回のA5、S5だけになるのか? 直前に4に戻せば良かったと思わないか?
編:まあ、大人の事情でそうもいかなかったんでしょうね。では乗りましょう。
松:うむ。あっ、ドアハンドルはフラップ型だけどスイッチ式なのね。なんだかなあ……。
編:だめですか?
松:高級車感は出るけど、質実剛健なイメージからは遠くなるよな。
編:今はどんなクルマもエンターテイメントに振れていますよね。
松:シートはよさそうだ。俺、以前2代前だか3代前だかのS4を持っていてさあ、シートに座った感じは良かったんだけど、30分乗ると腰が痛くなっちゃって、本当に合わなかったんだよなあ。それが今でも少しトラウマなんだよ。
編:まあ、シートは合う合わないってありますからね。それより、このガラスルーフ見てください。すごいですよ。いいですか? やりますよ。
松:おっ、部分的にスモークにできる奴か。これ、この前乗ったロータス・エメヤにも付いていたぞ。こんなのも流行なのか?
編:わからないけど、日焼けには敏感な時代だから、空が見えたい人、見えたくない人が同乗した時には便利ですよね。
松:こんな仕組みをこのクラスのクルマに付けるっていう発想、昔は考えられなかったよな。せいぜいA8とかS8とかだろ。
編:時代はどんどん変わってるってことですよ。
松:そして、ギアセレクトレバーはこんなに小さい、と。
編:これはもう、どんなクルマもそうですよね。とくにこれは松任谷さんの好きなパドルも付いているし、問題ないでしょ?
松:パドルはスポーツドライビングの必需品だよ。ポルシェの電動車も早くパドルを付けて欲しいよ。
編:でもね、電気自動車で強い回生ブレーキが効いて、ブレーキランプが付かないと後続車が追突する恐れがある、というのがポルシェの言い分らしいです。
松:ま、俺はパドルに慣れちゃったから、これは必需品だ。
編:では走りましょう。
松:ねえねえ、これ今コンフォートモードなんだけど、この前乗ったA5とほぼ変わらない柔らかさだぞ。
編:うん、直接乗り比べた人もそう言ってました。むしろこっちの方が乗り心地はいいのでは、なんて……。
松:まあ、それはオーバーだけど、なんだかスポーティな感じというより、ラグジュアリーな感じが強いね。でもやっぱり若干タイヤが大きい感じはするかな。
編:そうかもしれませんね。それでもとても静か。ロードノイズもいい感じでシャットアウトされていますね。
松:この3リッターV6ってこんなにいい音してたっけ?
編:松任谷さんはグオーンとかバオーッとかいう音より、シューッって音が好きですよね。
松:そうだな。たまには歌うようなエンジンもいいけど、やっぱりこの高周波に寄った音の方が洗練された雰囲気が出るよね。なんか繊細な感じがしないか?
編:でもね、ちょっとスポーツモードにしてみてください。
松:あっ……。
編:ね?
松:ブルータス、おまえもか、と言いたくなったぞ。なんでこんな音を足す必要があるんだ? かえって濁るじゃないか。理解できん……。足すならこんなポンプみたいな音ではなく、高揚するような音にすべきだろ。
編:個性的ですよね。普通にスピーカーから出す音とは一線を画しています。
松:でもこのスポーツモード、乗り味はいい感じだぞ。多少硬くはなったけど、その分押さえも効いて、俺的にはかなり好みだね。このあいだ乗ったゴルフRも相当良かったけど、これはさらに上を行く洗練さだ。峠道では敵なし、みたいな気分になると思うよ。
編:そうですよね。しかも涼しい顔をして速いという。
松:このステアリングフィールは、多少昔のアウディとは違うけど、相変わらず俺の好きな感じなんだよね。軽めで、雑味がなくて、しかししっかりと路面状況は伝えてくるだろ? これに近いのはフェラーリだけだと思ってるんだけどね。
編:ちょっとオーバーかもしれないけど、言いたいことは分かります。
松:2世代くらい前から、Sは本当にバランスがいいんだよ。RSになると過激さを演出しようとし過ぎて、どこか無理が感じられるんだよね。速さはたいして変わらないくせにさ。
編:S5は都会の匂いがしますよね。
松:あ、それはそうだ。スマートなんだよ。
編:ライバル達と比べてどうですか?
松:そうだなあ。メルセデスだとCクラスだよね。あれはもっとまったりしているからね。フレッド・カプルスみたいなイメージかなあ。
編:渋いところきましたね。ではBMW3シリーズは?
松:そりゃあ、ローリーに決まってるだろ。
編:マキロイですか? つまり力感がある、と。
松:そうねえ、若いイメージだね。
編:今やそんなに若くないですけど……で、これは?
松:そうだな、アダム・スコット、とか?
編:なーんだ、普通の回答だけど、分かる気もしますね。スマートで、シャープで、バランスがいいですもんね。
松:まあ、俺もああいうのを目指しているんだけど。いや、今目指すべきはフレッド・カプルスの方かな。
編:うーん、松任谷さんはですねえ……。
松:なんだよ、言ってみろ。
編:中村寅吉のNG。
松:……。
Audi S5 Avant
◆全長_全幅_全高:4835×1860×1450mm ◆車両重量:1990kg ◆エンジン形式:V6DOHCターボ+モーター ◆総排気量:2994cc ◆エンジン最高出力:270kW(367ps)/5500-6300rpm ◆エンジン最大トルク:550N・m(56.1kg-m)/1700-4000rpm ◆ミッション:7速DCT ◆JC08モード燃費:13.3km/ℓ ◆定員:5人 ◆価格:1060万円
写真/松任谷正隆&近藤暁史(ラゲッジ)
構成/近藤暁史【MUSHROOM】
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