続く日本勢の快挙に「自分が忘れているものを持ってる」 渋野日向子が感じる“2勝目”の重み
<全米女子オープン 事前情報◇27日◇エリン・ヒルズGC(ウィスコンシン州)◇6829ヤード・パー72>
昨年大会は優勝した笹生優花に次ぐ2位と好成績をおさめた渋野日向子は、日曜日から練習ラウンドを開始。入念にコースチェックを行っている。
実戦は5月8日から始まった「ミズホ・アメリカズオープン」以来。この後は、日本に一時帰国し、「初めての箱根に行ってきました」とリフレッシュタイムを過ごした。ニューヨークから戻ると、そのまま箱根に一泊し、露天風呂や食べ歩きを楽しむなど、束の間のオフを満喫したという。さらに「東国三社にも行きました」と、関東屈指のパワースポットである鹿島神宮(茨城県)、香取神宮(千葉県)、息栖神社(茨城県)の三社を参拝。しっかりとパワーを授かり、今年の全米女子オープンに臨む。
「楽しみな気持ちでいっぱいですが、コースが難しいので不安もあります」というのが今の心境だ。今年の開催地は、2017年に男子の「全米オープン」が行われたエリン・ヒルズ。全米オープンでは通常、トータルイーブンパー前後が優勝スコアとなるが、その年はブルックス・ケプカ(米国)がトータル16アンダーで優勝している。松山英樹も12アンダーで2位に入るなど、7人もの選手が二桁アンダーを記録する伸ばし合いの展開となった。
そのハイスコア合戦に対し渋野は、「ウソだろ(笑)」と信じられないというリアクション。「風によっては、『こんなに長いホールでアゲンストなの』だったり、グリーン周りも砲台で、傾斜だらけなので、イメージは湧いていないです」と、その難しさを実感している。ただ展開の予想については、「あまりにもLPGAはレベルが高すぎるので、普通に(アンダーの)スコアを出してきそうかなとも思っています」とも。世界中の強豪が揃うこの舞台では、伸ばし合いもあり得ると見ている。
昨年大会では、アンダーパーフィニッシュで終えたのは笹生と渋野の2人のみという難コースにも対応した。「期待は個人の自由ですが、あんまり、期待はせんように(笑)」と冗談交じりに謙遜の言葉も。とにかく今は「アンダーで回れるようにガマンして、チャンスが来たら決め切る」ことに集中している。
19年に「AIG女子オープン」(全英)を制した時、日本勢として史上2人目のメジャーVの快挙だった。しかしそこから時は流れ、今年も西郷真央がメジャー初制覇を遂げるなど、日本勢の優勝は、もはや“特別なこと”ではなくなりつつある。そんな中で渋野は、「先週は、千怜ちゃんも優勝して、誰が勝ってもおかしくない。見習いたいところもたくさんあるし、自分が忘れているものをたくさん持っているので、すごく刺激になります」と若手の台頭も力にしていく。
その“忘れているもの”とは、「勢い」だという。「全英を見ていただけたらわかると思いますが、勢いが違う」と語る。初めての海外メジャーでいきなり手にした勝利は、未知だからこそ可能だった“攻めの姿勢”に支えられていた部分もある。
「それから6年経って、それを知った上で勝つことがどれだけ大きいことか」。米ツアーを戦い続け、多くを“知った”今だからこそ、その2勝目が持つ意味は格別だ。「勝てるように頑張りたい」。6年連続6回目の全米女子オープンの戦いが始まる。(文・齊藤啓介)
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