試練のプレーオフ制し“涙の雄たけび”「呪いが解けたような気持ち」 ローリー・マキロイが11度目挑戦で生涯グランドスラム達成
<マスターズ 最終日◇13日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7555ヤード・パー72>
トータル12アンダーの単独トップで迎えた最終18番。バンカーから寄せた1.5メートルのパーパットを外すと、優勝の行方はジャスティン・ローズ(イングランド)とのプレーオフにもつれ込んだ。しかし、その直接対決を1ホール目に制し、ローリー・マキロイ(北アイルランド)が、ようやく念願だったグリーンジャケットに袖を通した。
「素晴らしい気分。17回目のマスターズで、自分が優勝する時は本当に来るのかと疑う時もあった。ここ10年はグランドスラムの重荷も背負ってプレーしていた。(今年も勝てず)また来年の話をしないといけないのかなとも思った。今は光栄。誇りに思う」。快挙達成後には、その第一声を世界中に届けた。
これまで味わってきた試練を象徴するような、マスターズ初制覇だ。「全米オープン」(2011年)、「全米プロ」(2012、14年)、「全英オープン」(2014年)に続くキャリアグランドスラムがかかった試合は、2位に2打差のトップで最終日を迎えた。ハーフターン時点でも、2位のローズらとの差は4打。途中までその旅路は順調そのものだった。
しかし、数々のドラマを生んできたオーガスタの女神が、そんな楽勝ムードを壊すようにいたずらをする。起点は、やはり“アーメンコーナー”だった。13番パー5では3打目がクリークにつかまりダブルボギー。ここで首位の座を奪われ、アーメンコーナーを抜けるころには、再び僅差の熱戦ムードが会場を包み込んだ。
マキロイとマスターズを語るうえで、2011年大会のことは避けては通れない。当時21歳。メジャー初制覇を目指し、4打リードで最終日を迎えた大会だ。この時は後半10番のトリプルボギーをきっかけに、インで「43」。最終日「80」の大乱調で15位に終わる“悲劇”を経験した。そして今年の最終日も13番に続き14番もボギーを叩き後退。15番、17番ではライバルに差をつけるスーパーショットで拍手喝采を浴びたが、1打リードで迎えた最終18番でもボギーを叩いた。悪夢再来…。そんな言葉もよぎったが、最後はマキロイが気まぐれな女神を振り向かせた。
「2011年はチャンスがあったのに獲れなかった。走馬灯のように、たくさんの感情がこみ上げてきた。自分は呪いにかかっているのかとも思ったけど、それが解けたような気持ちだよ」
35歳は“王手”から11度目の挑戦で、ようやく今年タイガー・ウッズ(米国)以来となる、史上6人目のキャリアグランドスラム達成者になった。プレーオフを決めた2打目は、ピン奥に落とし傾斜をうまくつかい80センチにつけたもの。その直後にはパトロンからの“ローリーコール”も巻き起こった。
ウイニングパットを流し込むとグリーン上で両ひざをつき、涙を流しながら“雄たけび”。グリーンを囲んだパトロンも一斉に両手を挙げ、新王者を祝福した。グリーンジャケットを手にするまでは長い時間がかかったが、ようやくそのよろこびを噛みしめることができる瞬間が訪れた。
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