反体制派から命を狙われる判事 家から消えた一丁の銃 モハマド・ラスロフ監督「聖なるイチジクの種」予告
2025年2月14日より劇場公開される、第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した映画「聖なるイチジクの種」の、本予告が公開された。
映像は、愛国心にあふれる一家の主・イマンが、念願だった判事に昇進したシーンから始まる。家族と喜びを分かち合い、幸せそうな笑顔を見せるイマン。だが、喜びもつかの間、実情は、国家に言われるがまま20歳の青年に死刑宣告を下すという不条理にさいなまれ、政府への抗議デモが加熱する中で、反体制派によって自らの住所がネットにさらされるというまさに「命を狙われる仕事」だった。反体制派からの復讐の恐怖におびえ、徐々に神経をすり減らしていくイマン。そんな中、護身用として家庭内に保管していた”一丁の銃”が無くなっていることに気づいたイマンは、愛する家族にも疑いの目を向け始める。
秘密裏にデモに加担する友人と連絡を取りながら、執拗に家族を疑う父に対して強い疑念を投げかける娘たち。そして「お前は人殺しだ」と、“正義“を盾に判事であるイマンを動画配信で世界に中継しようとする人物も現れる。揺れる国家を背景にさまざまな疑念、猜疑心、正義が交錯。「あなたの信念は根底からくつがえされる」と、母国を追われてもなお監督が世界に問おうとする、衝撃とメッセージが捉えられた予告となっている。
「聖なるイチジクの種」は、2022年に実際に起き、社会問題となった、ある若い女性の不審死に対する市民による政府抗議運動が盛り上がるイランを背景に、家庭内で消えた一丁の銃を巡って、互いに知らない家族の顔があぶり出されていくという内容の作品。監督は、本作を含め「ぶれない男」「悪は存在せず」などの長編映画を製作してきたイランのモハマド・ラスロフ。彼の映画は、「国家安全保障を危険にさらす」と目を付けられ、いずれも検閲のためイラン国内では上映されておらず、監督自身は何度も投獄。母国を脱出し、本作を作り上げた。
【作品情報】
聖なるイチジクの種
2025年2月14日(金)公開ほか全国順次ロードショー
配給:ギャガ
©Films Boutique
記事提供元:映画スクエア
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。