疲れた時に読みたい人気絵本作家ヨシタケシンスケの『しかもフタが無い』
読書好きな方でも、活字を読むエネルギーがないほど疲れている日もあるかもしれません。イラストレーターとしても活躍しているtokicoさんが、そんなときに開くというのが、数多くのヒット絵本を生み出している絵本作家・ヨシタケシンスケさんのスケッチ集『しかもフタが無い』。これを読めば日々の小さな憂いやストレスも大したものではないように思えてくるかも!?
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育児と家事、そして仕事に忙しない毎日です。リフレッシュのために読みたい本はあるものの、疲労困憊の度が過ぎると文字を読む余力さえ残っていないときがあります。そんなときに開くのが、『しかもフタが無い』。
「フタがない」? 何の? 「しかも」って、ダブルでなくなるなんて切なさ2倍……。タイトルを読むだけで、余白などほぼ1mmもない日常でぱんぱんになった気持ちが、一気にゆるむのを実感します。
こちらは『りんごかもしれない』『もうぬげない』など数多くのヒット絵本を生み出している絵本作家・ヨシタケシンスケさんのスケッチ集。2003年出版なので、まだ絵本作家ではなくイラストレーターとして活動されていたころの作品です。
手描きならではの味のあるタッチは、身構えず読むことができ「文章を読むことすら億劫だ……」というお疲れ度の高い方にこそ、ぜひ手に取ってほしい本です。
活字はなし! 紙面で自由にもぞもぞとぼやくイラストのみで構成された作品
この本はイラスト中心で、文章で悩みを具体的に解決してくれる類のものではありません。普段生活していているなかのふとした発見、小さな失敗、大小さまざまな喜怒哀楽……日常のささいな瞬間やそこから広がる想像の世界をかわいらしくユーモアあふれるイラストで表現しています。
開いた本のスペースで雑多にモゾモゾしているイラストたちは、クスっと笑えたり、ちょっぴり切なくなったり、「そうそうあるある」と共感させられたりの連続。気がつけば日々の小さな憂いやストレスも大したものではないように思えてくるかもしれません。
ヨシタケさんが描く人間たちは、尖った特徴があるわけでもなく普通で、愛らしく憎めない人たちばかり。自分や周りの人たちとどこか重なる部分があり、ぼやきに近い短い言葉とラフなスケッチだけなのに、笑い、ウーンと考えさせられ、感動すら呼ぶ。そんな、ゆるくて深いヨシタケさんワールドを堪能してほしいです。
私自身もイラストレーターとして物事をより楽しく伝えるお手伝いをしたいと心がけているのですが、見る人の想像をかき立て、さまざまな感情や思いを湧かせてくれるヨシタケさんのスケッチは学ぶものが多く、イラストという表現の魅力や可能性を再認識させられます。
日常生活のなかで出てくる愚痴やふとした違和感、誰かに言うまでもない小さな気づきや何かに切羽詰まったとき、ヨシタケさんのスケッチのようにノートやチラシの裏の隅っこに落書きをしてみるのもいいかもしれません。自分の世界を広げ、気持ちを解放させてくれるような気がします。
描き倒せ、人生!
DATA
パルコ┃しかもフタが無い
著者:ヨシタケシンスケ
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