随所で光った妙技…古江彩佳の“メジャー初V”はすぐそこに 「自分にとって可能性が高いコース」
<アムンディ・エビアン選手権 3日目◇13日◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6523ヤード・パー71>
多くのギャラリーが会場におとずれた土曜日の朝。前日、雷雨の影響で順延になった影響で、午前7時30分に競技が再開された。暫定ながら単独首位でサスペンデッドを迎えていた古江彩佳は、14番からスタート。残りの5ホールはパーを並べトータル12アンダー、後続に2打差をつけるトップのまま第2ラウンドを終えた。
第3ラウンドの開始は午後1時16分。最終組のひとりとして1番からティオフすると、いきなり2打目をグリーン右に外してしまう。左足上がりのラフで、ピンまでは12ヤード。朝一から難しいアプローチとなったが、ボールを上げて手前に落とし、カップに向かって転がすプレーでギャラリーをざざめかす。これがカップのすぐ横を通過。30センチのパットを決めてパーセーブした。36ホールをボギーフリーで回ってきた強さを見せつけた。
「左に落ちてのパットは難しいというのがわかっていたので、練習ラウンドで右側のアプローチを打っていてまだ大丈夫かなと。ライン次第にはなるんですけど。まだ左からのパットは難しいから、両方一緒ぐらいなのかなとチェックしていたので、それはもうギリギリを攻めて。少し右に行っちゃったという感じです」
アンジュレーションが強いグリーンが特徴。練習ラウンドでは、比較的やさしいラインを残せる位置をチェックしていたのだ。ピン位置は右から6ヤードの奥目で、グリーン左側に落としてしまうと、うねりのあるラインが簡単にピンに寄せさせてくれないような位置。右側を狙い、少しこぼれてしまったが、事前に立てていた攻略のおかげでバーディにもなりかけるほどの見事なアプローチを決めた。
続く2番パー3は“名物”とも言われる32ヤード打ち下ろしのホール。手前側はグリーンの幅が狭く、この日のピンは手前から9メートルと前側の位置だった。ここでピン前5メートルに落とすと、3メートルにつけてバーディが先行。そこからも3メートル弱の微妙な距離のパーパットを沈めるなど、ショット、パッティングともにかみ合った。
しかし「6番とか、ドライバーだと9番」のティショットが左に曲がりはじめる。「少し左に1発曲げてからアイアンとかも曲がり始めたかな」。思うところに打てないホールが続く。「なかなか修正ができなかったのが少し悔しい」。後半の11番パー4で今週初のボギーを喫した。
第1、2ラウンドとボギーなしでスコアをまとめていた古江にとっては「やっぱり悔しい」。それでも「ティショットを曲げての仕方ないボギーだったので、『まあ、いいか』という…(苦笑)。気楽に次へ向けて。きょうあそこでボギーを叩いたのはまだよかったのかなと」とそこまで深く気にせずプレーできるのも強みだ。実際に次のホールでしっかりバーディを奪い、バウンスバックを決めた。
そのあとの13番でもボギーを叩くと、そのままホールアウトを迎え2位タイに後退した。だが最終日はトップに1打差の最終組。もちろん優勝圏内にいる。「メジャーのなかでも自分にとってチャンスの可能性が高いコースだと思う」。決して相性が悪いわけでないエビアンで日米通じて初となるメジャーVを狙いにいく。
今大会は2021年に初出場し4位タイフィニッシュをしている。同年の「AIG女子オープン」(全英)では20位に入り、その結果が米女子ツアー最終予選会(Qシリーズ)挑戦を後押しすることになった“はじまりの地”でもある。思い入れのある大会で栄冠をつかみたい。(文・高木彩音)
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