民放連が違法アップロード問題で声明 YouTube単体で広告費32億円が流出と試算

イチオシスト
日本民間放送連盟(民放連)は3月19日、テレビ番組の違法アップロードと広告をめぐる問題について声明を発表しました。あわせて公表された第2回実態調査では、YouTubeだけで1万5000本超の違法動画が確認され、約32億円の広告費が流出した可能性があるとしています。
1年前から「改善なし」、第2回調査で浮かび上がった実態
民放連は2024年11〜12月に違法アップロードと広告の関係について初の実態調査を実施し、2025年1月にその結果を公表していました。当時はYouTube上の登録者1万5000人以上のチャンネルに限定した調査でしたが、54チャンネルで5745本の違法動画が確認され、約17億円の広告費が流出した可能性があるとの推計が大きな反響を呼びました。
今回の第2回調査は2025年11〜12月に実施され、調査会社Momentum株式会社が担当。対象プラットフォームはYouTube、Facebook、TikTok、Xの4サービスで、在京民放キー5局が制作するバラエティ・アニメ・音楽番組など25番組の番組名をキーワードに検索し、各サービスで違法アップロードが確認された300アカウントを抽出して調べる方式がとられました。
YouTubeでは300アカウントで1万5214本、累計111億回再生
調査結果によると、YouTube上の300アカウントだけで1万5214本の違法動画が見つかり、累計再生回数は約111億回にのぼります。1再生あたり1回の広告表示、インプレッション単価を通常動画で1円・ショート動画で0.1円と仮定して試算したところ、この調査範囲だけでも約32億円の広告費が違法アップロードを行う者とプラットフォーム事業者に流出した可能性があるとのことです。
他のプラットフォームでも被害は確認されており、Facebookでは6921本(約1億回再生)、TikTokでは2万4939本(約3億回再生)、Xでは1412本(約1億3500万回再生)の違法動画がそれぞれ検出されました。民放連はこれらの数字について「約1カ月間・300アカウントという限定的な範囲での調査であり、氷山の一角に過ぎない」としています。
大手企業の広告が違法動画に表示される構造的問題
今回の調査では、違法動画に広告が表示されていた企業は約680社にのぼりました。このうち日本アドバタイザーズ協会(JAA)会員企業、いわゆる大手広告主が81社含まれています。YouTube単独でみても324社の広告表示が確認され、そのうちJAA会員は51社、東証プライム上場企業は60社にのぼりました。
さらに任意に抽出した違法動画5本を繰り返し再生して広告表示を検証したところ、大手広告主の広告が占める割合は平均で約34%に達し、最大で48%に及ぶケースもあったといいます。食品、飲料、自動車、金融、インターネットサービスなど業種に偏りはなかったということです。
ユーザー、プラットフォーム、総務省への要請
声明のなかで民放連は3つの主体に対してそれぞれ要請を行っています。
まず違法アップロードを行っているユーザーに対しては、動画の速やかな削除と正規配信サービス(TVerなど)での視聴を求めました。無断アップロードには10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)が科される可能性があることもあらためて明記しています。
プラットフォーム事業者に対しては、「自社サービス上の違法行為について第三者的に傍観」する姿勢を改め、違法コンテンツの削除と未然防止に向けた真摯な対策を求めました。現状では権利者側が多大な労力とコストを負って削除申請を行っている構図が続いており、プラットフォーム側が違法アカウントを検出し投稿者に確認を行うなど、実効性ある取り組みを要求しています。
総務省に対しては、2025年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」の実効性ある運用を求めるとともに、状況が改善されない場合にはさらなる措置の検討も促しました。
生成AIへの懸念と、コンテンツ産業の持続可能性
声明では、近年の生成AI開発をめぐる新たな懸念にも言及しています。違法アップロードされたコンテンツがAIの学習データとして利用される可能性を指摘し、放置すれば権利侵害の助長・拡散につながりかねないと警鐘を鳴らしました。
民放連の早河洋会長(テレビ朝日会長)は「権利侵害コンテンツを掲載する媒体や違法アップローダーへの広告費の流出は、単に民間放送の収入減の問題にとどまらず、日本のコンテンツ産業の持続可能性に影響をおよぼす問題です」と談話を発表。「コンテンツの制作にかかわった多くの関係者に正当な対価が還元されるよう、広告主の皆様には引き続きご理解をお願いするとともに、プラットフォーム事業者には権利侵害行為に対する真摯な対応を求めます」と述べています。
民放連は今後、主要プラットフォーム事業者や総務省、広告関係者に声明と調査結果を直接伝え、改善を働きかけていくとしています。

記事提供元:YouTubeニュース | ユーチュラ
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