佐久間朱莉が開幕戦Vで埼玉県勢100勝を達成「目標はまだまだ上にある」 ツアー史上2人目、23年ぶり快挙も女王は貪欲
イチオシスト
<ダイキンオーキッドレディス 最終日◇8日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
真価が問われる新しいシーズンのオープニングゲームで、いきなり明快な答えを出した。女王は強かった。2001年と03年の不動裕理以来となる前年度女王の開幕戦V。佐久間朱莉が昨年12月に死去した師匠の尾崎将司さんに贈る通算5勝目を、ツアー史上2人目となる23年ぶりの快挙で達成した。
「今までの優勝と違うのは、やっぱりジャンボさんがいる、いないですね。
それが私の中で一番大きい。いい報告がしたい、という気持ちでスタートしました。この優勝をジャンボさんに届けたいです」
最終18番パー5。4打あったリードは半分に減っていた。ウイニングパットとなった1.5メートルのパーパット。もし外して、あとから打つ永井花奈が1メートルのバーディパットを決めればプレーオフだった。だが、慌てない。緊張感はあったが、さざ波すら心の中には起きなかった。
「途中で6打差になって、そこから詰められた。前までだったら多分焦ってしまったり、自分のことより、ほかの人のプレーばかり気になっていたと思う。でも、今は自分のことだけに集中できる。きょうも苦しいと思った場面は正直なくて、本当に自分のプレーに集中してやっていました」
2日目に具玉姫(ク・オッキ、韓国)が持つトーナメントコースレコードに並ぶ「62」をマークして単独首位に立った。これも23年ぶり。「心にぽっかり穴があいた。これからも埋まることはないと思う」と話した恩師との悲しい別れに、立ち止まってしまう時間はあったが、また前を向いて歩き出し、ツアー通算50勝の不動、韓国女子ゴルフ界のパイオニア的存在の具という偉大な先人たちの記録に並んだ。
「本当に素晴らしい不動さんの成績に並ぶことができてうれしい。すごく昔のコースレコードにも並ぶことができた。うれしいです」
4日間、72ホールでボギーは2つだけだった。結果は1打差Vだが、薄氷という印象は見る者にもない。女王の貫録を示した勝利で、1988年のツアー制度施行前も含めて埼玉出身者の優勝回数はメモリアルの100勝に到達。都道府県別では女子ゴルフ大国の熊本(156勝)に次いで、大台に乗った。
「今季、勝てなかったら、ジャンボさんに絶対に怒られる。ジャンボさんが亡くなってから、外に出たいという気持ちもなかったし、ご飯も食べられない日も続いたけど、そんなことしている場合じゃない。しっかり頑張らないといけないと思いました」
次戦は台湾での「台湾ホンハイレディース」。帰国後の16日には東京都内のホテルで開かれる「尾崎将司 お別れの会」に出席する。約9年間、愛情あふれる指導で育ててもらった。「今までありがとうございました。開幕戦で優勝することができました。今シーズンも頑張るので、見守ってください」。たくさんの感謝の思いをそんな言葉で伝えるつもりだが、「ジャンボさんには『まだまだ始まったばかりだぞ』と言われると思います」とほほ笑んだ。
2年連続の年間女王と国内メジャー初制覇を二大目標に掲げる2026年。力強く一歩を踏み出した佐久間の師は、これからも変わることはない。「年間女王になったからといって100点のゴルフができたわけではない。目標はまだまだ上にある。もっとうまくなりたい。今週も80点くらい。また明日から練習です」。
圧倒的な強さで他者を寄せつけなかった師匠の領域に少しでも近づきたい。尾崎将司というスーパースターが高みから見ていた景色を、まな弟子もいつかは見るつもりだ。(文・臼杵孝志)
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