アコウダイをジギングで狙う!“目ん玉飛び出るほど”キツいけど……
アコウダイとは? アコウダイは、カサゴ目メバル科メバル属に属する魚です。 大きさは50cm前後、水深200〜1,000m程度に生息しており、釣り上げた時に水圧の変化で目が飛び出すことから“メヌケ”とも呼ばれます。 赤い体 […]
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アコウダイとは?

アコウダイは、カサゴ目メバル科メバル属に属する魚です。
大きさは50cm前後、水深200〜1,000m程度に生息しており、釣り上げた時に水圧の変化で目が飛び出すことから“メヌケ”とも呼ばれます。
赤い体色から“赤魚”という名で流通することもありますが、近年は漁獲量の減少により、流通量は僅か。
一般的に市場で赤魚として出回っている魚のほとんどはアラスカメヌケなどの近縁種で、アコウダイ自体は高級魚として扱われています。
アコウダイジギングのシーズン

アコウダイはジギングでも狙えるターゲットで、産卵のために浅場へと上がってくる春頃がジギングで狙いやすい時期です。
産卵期は地域によりますが、12〜翌4月頃とされており、3〜5月頃までが釣期となる地域が多いです。
産卵前後は荒喰いすることもあり、春頃が釣りやすいとされますが、じつは釣ろうと思えば年中狙えます。
アコウダイの釣れる場所

アコウダイは、外房や南伊豆、御前崎沖、浜名湖沖、鳥羽沖、南紀、室戸沖などで釣れます。
日本海側より太平洋側に多く、相模湾や駿河湾にはとくに多く、釣魚としてメジャーなのは太平洋側。
釣れる水深は300〜600m前後で、産卵期には200m程度の浅い場所まで上がってくることもありますが、釣れるのはほとんど300m以深です。
アコウダイジギングのタックル

ロッド
マニアフェローズ 53 DLMA53ディープライナー

ロッドは、600g前後が操作できるスロージギングロッドを選びましょう。
地域やポイントの水深にもよりますが、600g以上のジグをシャクるなら最低でも#6(6ozクラス)のロッドが必要です。
重いジグを楽にシャクるには、5ft〜6ft前半の短いロッドがおすすめ。
リール
オシアジガー Fカスタム 3000HGシマノ

1.5号のPEラインを1,200m程度巻けるリールが必要です。
オシアジガー2000やマーフィックスC3は1,200mピッタリ入らないので、巻けるだけ巻きましょう。
巻き上げスピード(ギア比)については、ハイギアは回収が速く、ローギアは巻き上げが楽なのと、巻き過ぎてレンジを外すのを防げることがメリット。
ライン
PEジガーULT 4本組 スローピッチジャーク専用 1200m 1.5号/25lbサンライン

水深500m前後を狙うので、低伸度系PEラインの1.5号を1,200m前後巻きます。
アコウダイを釣るには1.2号でも十分ですが、強い外道が来ると切られて高価なジグを失ってしまうため、1.5号が無難でしょう。
リーダーは6号を3ヒロ程度接続します。
ジグ

ジグは500〜800g程度を潮流に合わせて使用します。
着底がわからないと釣りにならないので、重めのジグは必ず用意しておきましょう。
おすすめのジグを集めましたので、ジグ選びの参考にしてください。

誰でも楽に釣れるがコンセプト、筆者のヒットジグです。
適度なスライド幅とダート、横に向いた静止し、ヒラヒラと落ちるアクションを演出。
静止して水平フォールするスピードが遅く、バイトチャンスが長時間確保できます。
引き重りも少なく、誰でも持ち上げて落とすだけで釣れるジグです。
スパイラルアクションが特徴的なスピンドルが派生したジグです。
独特のスパイラルアクションは、高い集魚効果を発揮。
フォール時は、コントロールしやすいパラレルフォールを演出します。
スマートな形状になったことで、引き重りが軽減され、速い潮流や深場に対応できるようになっています。
上げでもフォールでもアプローチできる、操作性の高いセミロングジグです。
厚みを抑えた扁平の4面体ボディは、抜けに優れ、どんな状況にも対応。
大きめのシルエットで魚に力強くアピールします。
強いジャークで大きくスライドし、深場できっちりアクションできるジグです。
アークに比べさらにスリムな形状のセミロングジグです。
非対称度を小さくした超スリムなシルエット設計で、引き抵抗を軽減。
ヘビーウエイトでも楽に操作できます。
深場で強い2枚潮が発生した時に威力を発揮するジグです。
引き抵抗が少なく、潮抜けに優れるセミロングジグです。
軽いジャークで素早く横に向き静止、その後ランダムなスローフォールを演出。
同メーカーのペブルスティックとは異なる面構成のボディ設計で、スライド幅が広く、フォール時はアピール力の高いローリングで魚を寄せます。
他のメーカーに比べて若干リーズナブルな価格設定もポイントです。
アコウダイの釣り方
水深が深いので、糸の伸びを考慮し、大きくゆっくりした誘いが基本となります。
リールを巻きながら竿先を目一杯下げて、大きな幅のジャークでジワーっとジグを持ち上げてください。
持ち上げた後は、ジグの重みを利用してフォールで食わせます。

重要なのは、最初の底取りは糸フケが多く出た状態になっているので、20mほど一気に巻き上げてラインを真っ直ぐにすること。
その後、アクションに移行してボトムを中心に探ります。底から5mまでを意識しましょう。
また、深場では人間が思っているよりもジグは動いていないので、速くて小さい誘いはNG。全動作を大きくゆっくり行いましょう。
アコウダイジギングのコツ

アコウダイジギングで釣果を伸ばすコツを紹介します。
実釣時の参考にしてください。
ドラグ調整は大切

長い距離を巻き上げてくる釣りなので、ドラグ調整は入念に行いましょう。
口が硬いので口切れは少ないのですが、針穴が広がったり、船の揺れによって針が外れたりするケースはあります。
また、500m以上糸を出した場合、スプール径の差(目減り)によって底付近と海面付近でのドラグ力が大きく変わります。
船が波に持ち上げられたら少し出る程度のドラグ調整をマメにして、巻き上げる際も船が波で上がったタイミングはリーリングを止めるなど、ゆっくり巻いてテンションを一定に保ってください。
セミロングジグのススメ

深場のジギングですので、潮抜けに優れ、引き抵抗の少ないセミロング系のジグがおすすめです。
楽に釣り続けられることが非常に重要ですので、抵抗は少ないに越したことはありません。
良いポイントに入れば全員ヒットすることもあるくらいなので、ジグ選びはあまり難しく考えなくて良いと思います。
釣りのしやすさを重視して、できるだけ引き抵抗が少ないモデルを選びましょう。
フックのセッティングはオーソドックス

フックのセッティングは、根魚狙いの中深海ジギングと同じ考え方でOKです。
フックはフロント・リアともに4/0程度のサイズ、アシストラインは前後が重ならない長さにセッティングしましょう。
スイベルやスプリットリングはできるだけ小さめにして、引き抵抗を軽減します。
ジャムフック 4/0 5cmシーフロアコントロール

アコウダイジギングをやってみた

筆者もアコウダイジギングにチャレンジしてきたので、その時の様子をお届けします。
釣行の舞台は三重県の志摩沖、トロ丸さんにお世話になり朝6時頃に出船!
時期は4月の半ば、当日は晴れで、小潮周りでした。
ー tsuki ー
はたして釣れるのでしょうか?

タックルは、水深500mで600gをシャクれるものを用意。
ロッドはマニアフェローズ53、リールはマーフィックスC3、PE1.5号を1,100m巻いたセッティングです。
ー tsuki ー
リールへの糸巻きが大変でした(笑)

ポイントまでは1時間ちょっと。水深は500mオーバー。
投入は船長の合図で、トモ側から順に船を前進させながらジグを落としていきます。
ディープライナーのスパイV600gをセットして、いざ投入!
ー tsuki ー
着底までに6分。
どんな釣りやねん(笑)

500mもラインを出していると、着底は不鮮明。
底がとれているかも疑わしくなるので、マメに巻いて落とすのを繰り返します。(糸フケを少なくして糸を直線に近づける目的です)
着底が判ったら重たいジグをジワァーっと動かします。
ー tsuki ー
瞬間的に入力しても糸が伸びるだけです。
全動作をゆっくり大きく!

なんとなーく続けていくと段々慣れてきて、着底やジグの動きがクリアに。
でも、回収がマジでしんどい!笑
苦行とも言えるこの作業を繰り返します…。
ー tsuki ー
本当に苦行というレベルで辛いです。
例えるなら、部活の罰走でしょうか(笑)

苦行を続けていると同船者にファーストヒット!
釣り上がったのは赤い魚ではなく、生まれて初めて見る変わった魚。
トウジンという魚らしく、アコウダイ釣りの定番外道らしいです。
ー tsuki ー
タラの仲間で味噌汁に入れたら美味いとのこと!

トウジンからのリスタート後は、なんと同船者が次々にヒット!
なんと筆者以外の全員が竿を曲げている状況で、どれも本命のアコウダイらしき引き。
トウジンがチラつきながらも、続々と赤い魚が上がってきます。
ー tsuki ー
筆者だけ取り残されて超焦りますが、こんな時こそ丁寧に誘います!

丁寧な誘いが功を奏したのか、モゾモゾとした不鮮明なアタリから滑り込みでヒット!
引きはよく判らないですが、明らかに重い物体がついています。
回収時よりさらにキツい〜!
ー tsuki ー
ドキドキ感が長時間続く心臓に悪い釣りです(笑)

苦労して上げた赤い魚ですが、皆んなのと違って目が飛び出ていません。
どうやらホウズキと呼ばれる別種のようで、コイツもひっくるめてアコウダイと扱われることもあるそうですが、ニセモノと言われることもあるそうな(笑)
見分けるポイントは、目の下に小さな棘がある、背鰭の棘が12(アコウダイは13本)、尾ビレは真っ直ぐ(アコウダイは湾入する)などですが、見分けが困難な個体も多いそうです。
ー tsuki ー
本命なのか外道なのかよくわかりませんが、気を取り直してリスタート!

次の流しでも連続ヒットし、さきほどより重量感があってさらに大変( ;∀;)
ジワジワと上がってきたのは良型の赤い魚、今度こそ正真正銘のアコウダイです!
ヒットジグは先ほどと同様、スパイVの600g。
ー tsuki ー
61.5cm、3.5kgの良型でした!

お世話になったトロ丸さんは、資源保護の観点から釣れるのは2匹までに制限されています。
ホウズキを含め2匹に達し、他の同船者も全員2匹ずつキャッチできたので、ここで納竿となりました。
ー tsuki ー
かなりしんどい釣りでしたが、その分釣れた喜びも大きかったです!

アコウダイは、卸値で1kg当たり3,000円ほどつく高級魚とのこと。
食べたこともない魚だったので、もちろん食べます!
黒い膜の部分は苦味の原因になるそうなので、取り除きましょう。

身を食べる前に、内臓を新鮮なうちに食べてみます。
肝を甘辛く煮つけてみると、見た目の割に意外とあっさり。
肝から出る脂も少なく、正直イマイチでした(笑)

身が硬いので、生食する場合は熟成させるのが良いようです。
4日ほど置いてから処理しましたが、魚っぽい臭みはほとんどありません。

まずはお寿司で食べてみました。
歯ごたえのある食感と見た目の割にあっさりした味わいが楽しめます。
個人的には「もう少し旨みがあっても良いかな」と感じたので、さらに寝かせてから堪能します。

火を通す料理と相性が良いようで、鍋にしてみました。
皮と身の間に旨みがあるので、皮付きで煮ます。
プリっとした食感で、出汁と野菜の旨みと絡んで大渋滞!

ポワレにもチャレンジ。
オリーブオイルで炒めて、オリーブとパプリカの付け合わせを添え、高級レストランの味わい!
アコウダイ料理の中では一番美味しかったかも。

さらに熟成させ、一週間経ったタイミングで生食。
皮付きの身を炙り、さらに燻製で香り付けし、ポン酢と砂糖でいただくタタキは絶品!
4日目よりかなり旨みが増しており、熟成させてナンボの魚みたいです。
炙り刺しは、酢味噌で食べても美味。

深海魚なので独特な味わいがあると思いきや、まったくクセが無くて驚き。
イメージ的にはカサゴをデカくして、超上品にした感じです。
あっさりした魚が好きな人はハマるかも? またチャレンジしたいと思います。
ドキドキハラハラのディープジギングです!

深場から一生懸命巻き上げて、本命の姿を見られた時は感動!
正直かなりしんどいですが、このドキドキハラハラ感は深場ならではです。
ある程度の覚悟とそれなりのタックルは必要ですが、これはこれで面白い釣りだと思いました。
撮影:tsuki
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