「ヤンヤン 夏の想い出 4Kレストア版」オルタナティブビジュアル解禁! 山中瑶子、石川慶、イッセー尾形、鈴木ジェロニモ、小谷実由ら著名人からのコメントも到着!!
イチオシスト

「ヤンヤン 夏の想い出 4Kレストア版」のオルタナティブ・ポスタービジュアルが完成。少年ヤンヤンとその姉ティンティン、父NJ を中心に本作の印象的なシーンを切り取った15点の新ビジュアルでは、本編冒頭の家族の物語の幕開けを象徴する結婚式のシーンをはじめ、ファーストフード店でナゲットとポテトを食べるヤンヤンとその傍らで見守る父NJの様子、プールサイドで服を着たままのヤンヤンが今にも水に飛び込みそうな瞬間、学校から帰宅した制服姿のティンティンが部屋の前で佇む姿、イッセー尾形扮するゲーム・プログラマーの大田とNJ による車中での語り合うシーン等々、輝かしくかけがえのない瞬間が映し出されている。
ヤンヤンを中心とした少年少女たちのビジュアルは、危なっかしさもあり思わず目が釘付けになる。一方のNJ ら大人たちを捉えたビジュアルはその表情が深刻そうにも見え、物語の展開について好奇心をくすぐるデザインに仕上がっている。

4Kレストア版をいち早く鑑賞した著名人たちから熱いメッセージも到着。「遠い山なみの光」の石川慶監督は「カメラをどこに置くか、そのたった一つの選択が世界をいかようにも変えてしまう。その魔法のような力を、僕はこの映画から教わった」と本作を絶賛。また「ナミビアの砂漠」の山中瑶子監督は「生まれたばかりの赤子から死にゆく老人まで、あらゆる年代が画面を往来するこの映画は、見る者の現在地をそっと照らす。喜びも痛みも、取り返しのつかない時間さえも、普遍であるからこそまぶしい。見えないものへ手を伸ばす勇気を、何度でも呼び起こしてくれる」と本作に力をもらっていると語る。そのほかモデルの小谷実由、芸人で歌人でもある鈴木ジェロニモ、イラストレーターの川村ナヲコ、「ふつうの子ども」の呉美保監督、「あのこは貴族」の岨手由貴子監督、「SUPER HAPPY FOREVER」の五十嵐耕平監督、映像作家の島田大介、映画評論家の森直人、映画ライターで編集者でもある月永理絵、映画批評家の児玉美月、映画を中心に執筆活動をするISO、そして本作に日本人ゲーム・プログラマーの大田役で出演するイッセー尾形と、多方面からメッセージが続々と寄せられた。さらに、川村ナヲコからは本作にインスピレーションを受けて描かれたイラストも寄せられている。
◆コメント全文◆
イッセー尾形(俳優)
「ヤンヤン夏の想い出」はどのシーンも丁寧な断片の積み重ねですが、特に何度も思い出すのが、NJ が彼女と東京で会うホテルの窓から東京タワーがはじに見えるのですが、それが不気味な存在感で、こんな東京タワーは見たことがありません。薄い霧に包まれてるような、正真正銘の無国籍のような。言葉では到底たどり着かない独特の存在感でした。この作品の、ある意味象徴かもしれません。
山中瑶子(「ナミビアの砂漠」監督)
生まれたばかりの赤子から死にゆく老人まで、あらゆる年代が画面を往来するこの映画は、見る者の現在地をそっと照らす。喜びも痛みも、取り返しのつかない時間さえも、普遍であるからこそまぶしい。見えないものへ手を伸ばす勇気を、何度でも呼び起こしてくれる。
石川慶(「遠い山なみ光」監督)
カメラをどこに置くか、そのたった一つの選択が世界をいかようにも変えてしまう。その魔法のような力を、僕はこの映画から教わった。その驚きは、何度観ても新鮮なままだ。
小谷実由(モデル)
誰しもが体験するであろう人生の出来事を、ありのまま優しく撫で肯定してくれるようなこの作品が大好きです。何度も見ている景色の中で、新たな視点を見つけることができる喜び。ヤンヤンはもちろん、この作品で出会えるたくさんの愛おしい人物たちのことをさらに深く想像した幸せな時間でした。
鈴木ジェロニモ(芸人・歌人)
冷蔵庫から取り出したチーズの円い箱にチーズが入っていない。なんなんだ。自分が自分らしくて笑う。チーズがひとつだけ入っていたら、もしかしてさみしかったかもしれない。ひとつだから、ひとりだから、そこにいるから、いなくなる。スクリーンの奥に、遠くに、人がいる。マッチを擦った火のようにさみしさが立ち上がる。お願い。いなくならないで。言葉に含まれる微量の風が、消さないように、火を揺らす。
川村ナヲコ(イラストレーター)
昔のような、そんなに昔でもないような時間のなかで見たことがないような、または自分の記憶のような風景に包まれて、いつまでもまどろんでいたいけど厳しく目覚めさせてくれる映画でした。願わくばイッセー尾形さん演じる大田のようにわたしも朝を恐れず生きたい。
▼川村ナヲコによるイラスト

森直人(映画評論家)
愚かなる大人たち。愚かになりつつある子供たち。我々は様々な欠陥や煩悩を抱えながら、人生という戦場を傷だらけで渡っていく。その宿命的なメカニズムは、エドワード・ヤンの集大成的な人間曼荼羅「ヤンヤン 夏の想い出」に全て描かれているようだ。
児玉美月(映画批評家)
生まれゆく赤子から死にゆく老人までが交錯するポリフォニックな本作は、いつどの時代に観ても必ずそこに自分を見つけられる。これほどまでに人生のすべてが凝縮されている映画はきっとほかにない。2025 年は、ぜひ「ヤンヤン 夏の想い出」で締め括ってください。
岨手由貴子(「あのこは貴族」監督)
オールタイムベストを考えるときに、必ず頭に浮かぶ作品です。昨今の“考察”ブームに逆行するようなエドワード・ヤンの美しい悲喜劇は、この世の屈託のない真理を見せてくれます。これからも、何度も何度も、私はこの映画を観つづけるでしょう。
月永理絵(映画ライター・編集者)
取り返しのつかなさ。エドワード・ヤンの映画を見るといつもその言葉が浮かぶ。起きてしまったことはもうやり直せない。すべては手遅れなのだと。『ヤンヤン 夏の想い出』もまた、残酷なほど克明に、人生の取り返しのつかなさを私たちに突きつける。けれどその先にかすかな希望が垣間見える。それは子供たちへと託した願いなのだろうか。
島田大介(映像作家)
エドワード・ヤン監督作品の中でも、ゆったりとした時間の流れが心地よい作品。長回しカットは4K 化によって、キャストの表情や、奥にある美術を鮮明に映し出し、改めて監督の意図をより深く理解することができました。何度も鑑賞している作品ですが、今回初めて鉄腕アトムが沢山隠れていることに気づきました。
呉美保(「ふつうの子ども」監督)
どのカットも、どのセリフも、どの音楽も ため息が出るほどに全てが完璧 時代も流行も超越して いつ観ても、私に寄り添い 何度観ても、新しい発見をくれる 観ている間はただただ、心が満たされてゆく この映画の他でもない幸福はエドワード・ヤン監督の「永遠の最新作で最高傑作」として輝き続けていることかもしれない
五十嵐耕平(「SUPER HAPPY FOREVER」監督)
映画というものが一体何なのか未だにまるでわからないでいる。でも「ヤンヤン 夏の想い出」という透き通ったフィルムを観たその時、自分が心の奥で感じていたこの世界の感覚を「ほら、これかもしれないよ」と差し出され初めて触れた気がした。この映画はまるで、困難な時に何も言わず傍にいてくれる誰かのよう。そういう存在は一生忘れない。
ISO(ライター)
人生に訪れる豊かな感情、瞬間を鮮明に捉えたある家族のポートレート。忘れ難い画と台詞の連なりがゆるやかなペースで連鎖していくなかに、驚くほど濃い時間が凝縮されている。儀式で始まり、儀式で終わる別の国の日常に、なぜこれほど深く共感できてしまうのだろうか。生活のふとした瞬間に思い出してじっと浸りたくなる、そんな映画。
小学生のヤンヤンは、コンピュータ会社を経営する父NJ、そして母、姉、祖母と共に台北の高級マンションで幸せを絵に描いたような暮らしをしていた。だが母の弟の結婚式を境に、一家の歯車は狂いはじめる。祖母は脳卒中で入院。NJは初恋の人にバッタリ再会して心揺らぎ、母は新興宗教に走る……。そしてNJは、行き詰まった会社の経営を立て直すべく、天才的ゲーム・デザイナー大田と契約するため日本へと旅立つのだが。
2025年12月19日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座、109シネマズプレミアム新宿 他 全国公開
【STAFF】
監督・脚本:エドワード・ヤン
撮影:ヤン・ウェイハン
編集:チェン・ポーウェン
録音:ドゥー・ドゥーツ
美術・音楽:ペン・カイリー
【出演】
ウー・ニェンツェン
イッセー尾形
エイレン・チン
ケリー・リー
ジョナサン・チャン
2000年/台湾・日本/173分
配給:ポニーキャニオン
©1+2 Seisaku Iinkai
公式サイト⇒https://yi-yi.jp/
記事提供元:キネマ旬報WEB
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