Googleマップ「細すぎる道への案内」が改善へ。AI活用「狭路回避機能」がグローバル展開の見込み
イチオシスト
今や自動車の運転時にも欠かせないナビアプリとなった「Googleマップ」。リアルタイムの交通情報を反映した正確な到着予測と豊富な口コミ情報が、目的地までのドライブを快適にしてくれます。
しかし、そのGoogleマップにも欠点があります。その欠点は、大型車を運転するドライバーにとっては致命的になることも。それが「狭い道に案内されること」です。
見知らぬ土地で、Googleマップが示すがままに進んだ結果、対向車とのすれ違いもままならない住宅街の細道に迷い込んだり、高さ制限のある高架下で立ち往生しかけたりと、冷や汗をかくような経験をしたことはないでしょうか。
実際に筆者も初めて訪れた場所でGoogleマップを使ってナビをしてもらったところ、車一台分ほどの狭い道に案内され、しかも地元の人と思われる軽トラックがものすごいスピードで対向してきたため、冷や汗をかいた経験があります。
この記事ではGoogleマップが大型車のナビで課題を抱える根本的な原因は、車両サイズや重量などの情報を登録する機能が備わっていない点にあります。

なぜGoogleマップは大型車のナビに不向きなのか

Googleマップが大型車のナビゲーションで課題を抱える根本的な原因は、運転する車両のサイズ(車幅、車高、全長)や重量といった情報を事前に登録する機能がないことです。
大型車が物理的に通行不可能なルートであっても「最短・最速」という条件で案内し、車幅が極端に狭い道への誤進入や、積載量の大きいトラックが、重量制限のある古い橋へ案内されてしまうなどのトラブルにつながることもあります。
大型車向けのナビアプリの需要について

極端に狭い道に大型車が案内されるといったトラブルを避けるため、ドライバーの間では大型車向けのナビアプリの需要が高まっています。
トラックドライバー向けのナビアプリの中でも広く利用されているのが、ナビタイムジャパンが提供する「トラックカーナビ」です。最大5台までの詳細な車両情報(車高・車幅・全長・総重量・積載量、危険物積載の有無)を登録でき、それぞれの条件に最適化されたルートを探索します。全国の道路交通規制情報(通行止め、各種制限、時間帯規制など)をリアルタイムで反映し、大型車が物理的に通行できない道を確実に回避してくれます。
一方、Googleマップも弱点を克服する一歩を踏み出しました。AIを活用した新機能「狭路回避機能(Narrow Road Avoidance Feature)」の開発が進んでいます。
AI活用「狭路回避機能」がついに実装へ

Googleマップ「狭路回避機能」は、その名の通り、狭い道を自動で回避し、より広い道路を優先して案内してくれるシステムで、これまでのGoogleマップが苦手としてきた部分を、AIの力で解決しようという試みです。
Googleによると、この機能の核となるのは、衛星画像とストリートビューから得られる膨大な情報です。 AIはまず、衛星画像から地形や道路のレイアウトを学習。さらにストリートビュー画像を解析し、道路の種類や建物間の距離、電柱や樹木、排水溝の位置といった地上情報を読み取ります。これらを統合的に分析することで、これまで困難だった道路の幅を高精度で推定することが可能になりました。
さらに、この技術の応用で、これまで苦手とされていた高架道路や立体交差の識別精度も向上するとのことです。
この画期的な「狭路回避機能」は、2024年からGoogleマップの利用率が高いインドの一部都市で先行して導入が始まっています。 現地ではすでに一定の成果が報告されており、今後は他の地域やiOSデバイス向けにも順次展開される予定です。
日本での展開は?ナビの未来はどう変わるのか
現時点で、この「狭路回避機能」の日本導入時期についての具体的な発表はありません。 しかし、インドでの成果を踏まえ、今後のグローバル展開が期待されています。
近年、自動車業界では従来のカーナビから、スマートフォンと連携する「ディスプレイオーディオ」への移行が急速に進んでいます。ディスプレイオーディオが標準搭載される車種が増え、多くのドライバーがGoogleマップのようなスマホアプリをメインのナビとして利用する時代になりました。
この新機能が日本で展開された暁には、ナビアプリとしてのGoogleマップの実用性が急激に高まることは間違いありません。これまで専門アプリに頼らざるを得なかった大型車のドライバーや、車幅の広い車に乗るドライバーも、安心してGoogleマップを使えるようになります。
Googleマップが「誰もが安心して使えるナビ」へと進化する日は、もうすぐそこまで来ています。日本での実装が今から待ち望まれます。
※サムネイル画像は(Image:「Google:India Blog」より引用)
記事提供元:スマホライフPLUS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
