マスターズ切符に届かなかった“1.5m” 長﨑大星は涙の惜敗「メンタル的な部分も足りなかった」
イチオシスト
<アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 最終日◇26日◇エミレーツ・GC(アラブ首長国連邦)◇7289ヤード・パー72>
2位に5打差をつけて最終日をスタートした、16歳の長﨑大星(勇志国際高1年)。しかし、惜しくも勝利には届かなかった。
4バーディ・6ボギーの「74」と崩れ、同組で6打差の3位につけていたフィファ・ラオパックディ(タイ)に、プレーオフの末、逆転負けを喫した。
「絶対に守り切ってやると思ってラウンドをしていましたが、自分の調子を(いい方向に)持って行くことができなかった」
スタートホールでは、3打目のアプローチを寄せきれずボギー発進。3番パー5では、セカンドでグリーン右サイドのラフまで運び、バーディを奪うも、その後はなかなか流れに乗れなかった。4番から連続ボギーを叩き、9番、12番でもスコアを落としていく。
15番で再びボギーが来ると、ついにラオパックディに並ばれた。この日は「パッティングが本当に入らなかった」と語るように、あと一筋で決め切れない場面が続いたが、16番でおよそ6メートルのパットを沈めて意地のバーディ。再び首位の座を奪い返す。続く1オンも狙える17番では、さらにバーディを奪い、1打リードで最終18番パー5へ向かった。
そのセカンドはグリーンオーバー。そこから寄せてウィニングパットを残す展開になった。一方のラオパックディは、グリーン右サイドのバンカーから寄せワンのバーディ。そして決めれば優勝という約1.5メートルのパットはカップを抜け、思わず天を仰いだ。
18番と17番を交互に繰り返す形式で行われたプレーオフは、3ホールに及ぶ熱戦に。最終18番では、長﨑の3番ウッドによるセカンドショットが大きく左にそれ、ラフからのアプローチも寄せきれずパー。ラオパックディがバーディを奪い、勝負の行方が決した。
この大会の優勝者には、翌年の「マスターズ」と「全英オープン」への出場権が与えられる。今月16歳になったばかりの長﨑にとって、日本人最年少でのマスターズ出場という快挙もかかっていた(※09年に17歳6カ月で出場した石川遼が最年少記録)。
優勝はもちろん、その“特典”の重みもプレッシャーとなった。「そういう舞台が目に入ってしまって緊張してしまいました。メンタル的な部分も足りなかったと思います」。
ラウンド後は大粒の涙を流し、言葉を紡ぐことも難しい様子だったが、「もっともっと練習や優勝争いを重ねて、来年、この大会で優勝できるように頑張ります」と、声を振り絞った。
悔しい結果となったが、現地には日の丸を掲げ、応援に駆けつけた日本人ギャラリーの姿もあった。長﨑の優勝を願い、多くの拍手と声援が送られていた。結果こそ最高の形には届かなかったものの、最後まで戦い抜いた16歳の姿は、多くの人の心に刻まれたはずだ。(文・齊藤啓介)
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