「なんとかなるよ」はハラスメント? 8割の上司が使う定番フレーズで20代の半数近くが嫌な気持ちに

部下や後輩に対し、良かれと思って発した助言が結果的にモチベーションを下げてしまった――そんな経験をしたことはないだろうか。日本リスクコミュニケーション協会は、「職場における上司の発言・言動がもたらすハラスメントリスク」に関する意識調査を実施した。多くの上司が言いがちな定番フレーズは、部下にどう響いているのだろうか。

悪意のない指導で部下を傷つけたことは「ない」54.3%

一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会は、2025年10月、全国の20~60代の男女289人を対象に、“無意識バイアスを含む指導”に関する意識調査を実施した。
まず管理職の人に、直近2年間で悪意のない指導が部下を傷つけたと感じたことがあるかを尋ねたところ「ない・または知らない」54.3%で最多、「誰かに教えてもらった」25.0%、「自分で気づいた」20.7%となった。

一方、非管理職の人に直近2年間に悪意のない上司の指導で傷ついたことはあるかと尋ねると、「ある」60.7%、「ない」39.3%という結果となった。
管理職の半数以上が無自覚であったのに対し、非管理職の6割以上は「傷ついたことがある」と回答しており、悪意のない指導に対する受け止め方のギャップ、すなわち上司と部下の“非対称性”が明らかになった。
「なんとかなるよ、とにかくやってみて」は嫌な気持ちになる35.3%

スケジュールを心配する部下に「なんとかなるよ、とにかくやってみて!」といったフレーズを、管理職の人はどれだけ使用するのかと尋ねてみると「よく使う」33.9%、「たまに使う」47.0%と実に8割以上の人が使用している結果となった。
それに対し、言われた側の部下は「やる気が出る」33.9%、「特に何も感じない」40.0%、「嫌な気持ちになる」35.3%と回答は分かれた。特に20代の48.3%、30代の40.4%が嫌な気持ちになると回答しており、年代が低いほど、評価基準や支援の不明確さに敏感で、曖昧な指示や丸投げ型への不快感が強い傾向が見られる。
ほか「みんな頑張ってるから君も頑張って」は管理職の7割弱が使うフレーズであり、非管理職の3割強が「嫌な気持ちになる」と回答している。
「まず指示通りやってみて」は管理職の8割弱が使うフレーズであり、非管理職の3割が「嫌な気持ちになる」と回答している。
調査の結果から、管理職の無自覚な言動と部下が受ける影響に対する認識のギャップが浮き彫りになった。上司による善意の定番フレーズが無意識バイアスを介して不快や萎縮を招き、組織の生産性だけでなく、人材定着や企業イメージにも影響を及ぼす可能性があることを示唆している。職場における世代間コミュニケーションスキルは、個人の資質に任せるのではなく、企業全体で体系的に取り組む必要があるだろう。
出典:【一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)】
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記事提供元:スマホライフPLUS
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