アダム・スコットが日本のジュニアに伝えたこと「スイングの練習とゴルフのプレーは違う」

ユニクロは10月22日(水)、千葉県にあるジャパンゴルフスクールにて「Future Golfers Seminar 2025 with Adam Scott」を開催。イベントには米国男子ツアー通算14勝を誇る2013年の「マスターズ」覇者、アダム・スコット(オーストラリア)が登場し、デモンストレーションやレッスン会を行った。
イベント当日はあいにくの雨。当初予定していた練習場併設のミニコースを利用したバンカーショットやパッティングの指導は中止となったが、その分、打席でのショットのデモンストレーションやレッスン会に多くの時間を割いた。
スコットはウェッジからショットを打ち始め、体が温まってくるとジュニアからのリクエストに応える形でアイアンのドローやフェード、ドライバーを使ったスティンガーショットなど、豪快かつ繊細な“世界の技”を披露。ジュニアたちは興奮しつつも真剣な表情で、スコットのスイングや打球を見守っていた。
デモンストレーションのあとは、参加したジュニアに対するレッスン会を実施。ドライバーからウェッジまで、ジュニアから寄せられるゴルフの悩みに対し、真剣な表情で考え、答えるスコットの姿が印象的だった。
スコットのレッスンを受けた2024年「IMGA世界ジュニアゴルフ選手権」優勝者の仁科優花さんにイベントの印象について聞いてみた。
「アダムさんにスイングを見てもらって、“すごく良いスイング”と言ってもらえてうれしかったです。パッティングが苦手と話したら、自分なりのロングパットの練習法を見つけたら上達できるとアドバイスをもらいました。こういう練習をしなさいと言われることは多いですが、自分で何かを見つけなさいというアドバイスはすごく新鮮に感じました。短い時間でしたが、こんなに近くでアドバイスをもらえて、本当に貴重な1日になりました」(仁科さん)
2時間ほどのイベントだったが、参加したジュニアにとって、世界トップレベルのゴルフを間近で見て学べる貴重な機会だったことは間違いなさそうだ。
■アダム・スコット「子どもたちがゴルフをする姿を見ることが大好き」
本イベントは日本における次世代育成の取り組みとして、ユニクロとスコットがタッグを組む形で2015年にスタート。今年で10年目を迎える。長きに渡ってトーナメントを転戦してきたスコットが持つゴルフのテクニックやプロゴルファーとしての心構え、体づくりやコンディション調整の方法などを学べる貴重な場として、これまで多くの有望なジュニアゴルファーが参加してきた。
過去の参加者のなかには、比嘉一貴や柏原明日架といった現在、ツアープロとして第一線で活躍している選手の名前もある。
「10年間、日本のジュニア育成プログラムに参加してきた。最初の頃に話をした子どもたちは今、プロゴルファーになっている。それは私にとってとても興奮することだし、感動している。僕は子どもたちがゴルフを楽しむ姿を見るのが大好き。プロになるとどうしてもゴルフがビジネスになってしまう。子どもたちとゴルフをすることで、彼らの情熱や思いを感じることができるし、それは自分にとっても良いことなんだ」(スコット)
一方で、さまざまな世代のジュニアと接する中で変化も感じている。
「10年経っても子どもたちは子ども。でも、彼らを取り巻く環境、受け取る情報が変わっているように感じる。きょうもスイングなど、技術的な質問を多く受けた。でもきょうはテクニカルなことよりもゴルフというゲームについて教えた。僕は練習場でスイングすることとゴルフをプレーすることは違うと考えている」(スコット)
近年はスイング理論が確立され、ジュニアの頃からコーチに付いて練習する選手が増えている。スコットは「それが良い悪いではない。ただ、レンジでスイングを直すことだけでなく、ゴルフそのものを楽しんでほしい」と話した。
最後にスコットはプロを目指すジュニアたちに厳しくも力強いエールを贈った。
「プロになりたいのであれば、心の底から強くなりたい、上手くなりたいという気持ちを持つ必要がある。ただし、他の選手も同じように練習し、トレーニングをしているから、そのなかでいかに戦う準備をできるかが大切だよ。ゴルフで学べることは人生においても重要なレッスン。ゴルフで得たものを大事にして生きてほしい」(スコット)
プロゴルファーとして世界の舞台で戦ってきたスコットからの金言は、きっと多くのジュニアの心に届いたはずだ。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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