「イワシ回遊増えて大型魚が爆釣?」 新潟在住アングラーが感じるイワシ回遊の変化と釣りとの関係
「イワシ回遊増えて大型魚が爆釣?」 新潟在住アングラーが感じるイワシ回遊の変化と釣りとの関係">
新潟で回遊するイワシ 新潟だと釣りの対象になっているのは主に「マイワシ」と「カタクチイワシ」。私の周囲では「イワシ」というのは特段注釈が無いとルアー釣りではベイトを指す際に「カタクチイワシ」のことを指 …
近年日本では「マイワシ」豊漁のニュースが多い。新潟県上越エリアだけでもかなりマイワシ・カタクチイワシなどが増えてきていると感じる。本記事では釣り人目線で見た2025年秋までのイワシたちの様子をお届けします。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)
新潟で回遊するイワシ
新潟だと釣りの対象になっているのは主に「マイワシ」と「カタクチイワシ」。私の周囲では「イワシ」というのは特段注釈が無いとルアー釣りではベイトを指す際に「カタクチイワシ」のことを指すことが多く、サビキ釣りだと「マイワシ」のことを指すことが多い。
特に大型のマイワシを「大羽イワシ」と言い、大羽イワシが釣れているというときは大型のマイワシが釣れているという意味になる。

イワシが増えている?
近年イワシが全国の各所で漁獲が増えているというニュース等で時々見かけるようになっている。新潟県内でもイワシに関するニュースが時々聞かれ、2023年2月に糸魚川で大量のマイワシが打ち上げられたり、2025年2月に佐渡でマイワシが例年に比べて大漁であったりした。
このようにイワシが増えていると考えられるニュースが多くなっています。本記事では釣り人目線で見た2025年秋までのイワシについて語っていきたい。

カタクチイワシが増えた?
ニュース等ではあまり聞かないが筆者が近年増えたと思うのはカタクチイワシ。例を挙げると上越市水族博物館うみがたりのイルカプールから海が見えるのだが、そこから昨年11月頃の海が静かなタイミングに何かに追われてるナブラが見えた日があった。
この写真では岸に近いところでナブラが発生しているが更に沖でより大規模なナブラが発生している様子が見えることも多くなっている。このように2010年代に比べ海岸から見かける機会が増え、見える群れの規模も大きくなっているように感じる。
また、鳥やフィッシュイーターに追いかけられて目立っている群れだけでなく、ある程度の範囲で波立っている追われていないカタクチイワシの群れを見る機会も増えた。
見かける場所も増えた
更にここ3年ほどは10年前まではあまり打ち上がらなかったような場所でもカタクチイワシが打ち上がる機会が増えているように感じる。

しかし5~10年ほど前の期間のみ沿岸でカタクチイワシが少なかっただけなのか、海流の影響で見える範囲に群れが現れやすくなっただけなのかは不明。筆者の釣り歴では断言しにくいがカタクチイワシらしき群れを見る機会が増えている。
漁獲量などの資料を新潟県では現在カタクチイワシが主要魚種に指定されていないので詳細なデータは見つけられず。しかし、マイワシについては説明されている資料があるので次はそちらを見ていこう。
マイワシの漁獲量は増加傾向
近年マイワシが各地で豊漁になる等のニュースが聞かれますが新潟県ではどうなのか。新潟県のマイワシ漁獲量ではどうなっているのかわかりやすい説明がされている資料がある。
新潟県ホームページ内の「新潟県水産海洋研究所水産・研究情報」ページ内の
「主要魚種の漁獲動向(令和6年版)【令和6年11月公表】」では、イワシ漁獲量の推移について書かれている部分でこのような記述がある。
(ここから引用)—————-
・1990~1992年には8万トンを超える漁獲量があったが、2001年以降は千トン未満で推移した。2023年は 1,467トン (前年比1,434%)と急増し、このうち、まき網が1,190トン(前年から皆増)、主要定置網が200トン(前年比122%)で あった。 ・2024年1~8月の主要定置網の漁獲量は386トンで、前年比193%、過去5年平均比218%と増加した。
・水産研究・教育機構は、対馬暖流系群の加入量(0歳魚の資源尾数)が2020年以降増加傾向にあるとしており、本 県の漁獲動向も増加と見込んだ。(新潟県水産海洋研究所(2024)『主要魚種の漁獲動向(令和6年版)』令和6年11月公表p2)
(ここまで引用)——————-
資料から2024年時点では、マイワシは資源水準としては低位ではあるものの確認されている漁獲量としては増加傾向にあることが読み取れ、特に2023年に県の中では漁獲量が急増したことがわかる。
マイワシが釣れることが増加
漁獲量としては増えていることを資料から確認できるが、これが釣り人である筆者の実感としてどうなのか。増えたと感じる例を挙げると直江津港第三東防波堤では春にマイワシが釣れる日が過去に比べてここ数年で増えているように感じられる。
総じて筆者が良く釣りをする上越エリアではマイワシが増え、釣れる機会が増加した感覚があるが元々2月〜5月頃まで釣れる日は釣れるといった状況だったので激増したとまでは言いにくい。
しかし体感では堤防などからの釣果は増えていると感じている。ショアでの情報はある程度把握しているが、沖合に存在しているイワシについては筆者はあまり知識が無いので沖合のイワシが増えたかは分からない。
参考程度にはなるが、釣り船での釣果だと近年は2〜3月頃、アジやサバ狙いのサビキ釣りでマイワシの釣果が時々確認できる。また、沖にいるマイワシを目視できる機会がある。
1~4月頃に場合によってイルカやブリなどにマイワシが水面に追いかけられている姿が見られることがあり、他には6月頃に沖合でクロマグロがマイワシを追い回している際は海の上からでも目視で確認できる。

ウルメイワシを見かけることも
近年筆者はマイワシとカタクチイワシ以外のイワシを見かける機会が出てきている。これは地球温暖化や暖流の流れの変化などのせいかもしれないが今まで見かけなかったウルメイワシを筆者は夏のシーズンに見るようになってきた。
8~9月の水温が高い時期にカマス狙いでサビキ釣りをしている時に時期外れのマイワシが釣れてきたと思い見てみると違和感がある魚体なので1匹キープし調べてみるとウルメイワシだったことがある。
これは水温が高い時期のみ見られるので、高水温と海の暖流が原因のように感じるが参考までに。ウルメイワシを見かけるようになったが特段増えているとは感じられない。

釣りへのイワシ回遊の影響
最後にイワシの影響を受けているパターンや釣り物を紹介しよう。上下浜や直江津港第三東防波堤などでは、3~5月頃に主にブリ・ワラサなどのフィッシュイーターがマイワシの群れと共に接岸して釣れるパターンがある。
上下浜では過去4年程はこの大物が釣れるパターンがほぼ成立していなかったが、2025年は数年ぶりに上下浜にカタクチイワシとマイワシが打ち上がり、サーフからワラサが釣れた日があった。
イワシが増えればフィッシュイーターも積極的にイワシを追いかけても良いように思われるが、以降ぱっとせず実感としてはイワシが増えて良い影響が増えたかというとサーフではまだいまひとつといったところ。
大型青物の可能性
直江津港第三東防波堤では6月初旬頃にカタクチイワシ・マイワシに着いたワラサが数年ぶりにルアーで釣れた。
堤防・上下浜ともに過去に春のイワシパターンがあった頃は4月~5月くらいにパターンに入ることが主だったが2025年は6月に釣果が聞かれたのでパターンとして遅め。しかもカタクチイワシとマイワシの混合なのではっきりマイワシのおかげというわけでもなくはっきりしない状況。
ただベイトを追いかけてショアから大型フィッシュイーターが再び釣れる機会が出てきたことは良い兆候かもしれない。

シーバスへの影響も
イワシパターンで影響が出ているパターンに冬のハタハタパターンシーバスがある。海水温のせいなのか沿岸ではハタハタやその卵がほぼ見られない年が続いており、その代わりにイワシパターンが11月後半で完全に終わることなくそのまま春まで続くような事が多くなっている。

マグロの幼魚が増えた
他に、カタクチイワシを追いかける魚に変化が見られている。その魚はメジマグロ(クロマグロの幼魚)。近年40cm位のメジマグロが沿岸部で釣れる機会が圧倒的に増えています。(※注意、クロマグロは遊漁者による小型魚の採捕は禁止、釣れても30キロ以下は全てリリースです、初めて生きている幼魚を見るとカツオっぽく見えるので注意が必要)
10年ほど前には、ほぼ見かけないし釣れるとも聞かなかった。2022年秋頃から顕著に見る機会が増え、ボート等で沖に出船している釣り人だけでなく一部の堤防やサーフからでも釣れる日が出てきています。
2025年9月後半も堤防で釣れた日があった。釣れてしまうパターンとしては、9~10月頃カタクチイワシやシラスを追いかけているショゴやイナダ・ワカシを狙っているとその群れに混じっているメジマグロが釣れてしまうか、あるいはナブラを追いかけているフィッシュイーターの正体がメジマグロで、そのナブラにルアーを投げると釣れてしまうといった状況。

メジマグロが釣れる理由
メジマグロを見かける機会が増えたのは、イワシの影響でなく水温の変化、暖流・寒流の変化の影響、マグロ資源保護などの要因が重なった結果沿岸でも見かけるようになったからだと考えられる。
結果として近年は沿岸部で9月頃からカタクチイワシを追い回すフィッシュイーターにメジマグロが参加するようになった。カタクチイワシの方に影響が出るかもしれないが現状だとなんともいえない。
イワシだけでなく海の様子が今までとは変わってきていて先行きが読みにくい状況が多くなっている。そんな状況の中でもターゲット魚種だけでなく他の魚の主なベイトになる「イワシ」の量の増減にも注目してみるとより釣りが上手く組み立てられるかもしれない。
<ハマゴウ/TSURINEWSライター>
記事提供元:TSURINEWS
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