長いラフ、ファーストカットも“実質なし” メジャー並みセッティングで予測不能な戦いに?【大西翔太のSHOWTIME】
<富士通レディース 初日◇17日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6697ヤード・パー72>
女子ツアーは、富士の麓から千葉県に会場を移し今週の大会が行われる。今季も残り7試合。シード争いなども気になる時期に入ってきた。また、今週も大会3勝の古江彩佳や、渋野日向子、西村優菜の米ツアー組が参戦。その大会の動向を青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に占ってもらった。
■普段と異なる富士通…その理由は?
1998年から東急セブンハンドレッドクラブが会場になってきた大会だが、今年はこれまでと少し雰囲気が異なるようだ。「フェアウェイが絞られていて、ラフはここ5~6年で一番長い。ただグリーンは若干、軟らかめ。これまではラフは短く、グリーンが硬い大会という印象でしたが、今年は違いますね」と大西氏は話す。
このラフについては、「メジャー並み、ボールをロストするくらい深いところもあります」と言うほど。それだけではなく、一番のポイントとして、大西氏はこんな証言もする。「ファーストカットが例年のラフくらいあります」。つまりフェアウェイ以外は許さないといった状況。「ファーストカットに行っても『最悪…』と、選手たちは口を揃えています」。そんな声も耳に届く。
さらに、そのフェアウェイは、今年の「日本女子オープン」会場になった兵庫のチェリーヒルズゴルフクラブよりも「狭い」と言う。「1番、10番は広いのですが、それ以降は刻んででもフェアウェイキープすることが大事。ラフに入るとボギーというセッティングです」。そこも含めて、前述したような“メジャー並み”のコースに仕上がっている。
■2人のホステスプロとメジャー女王が本命に?
そのなかでは、やはりフェアウェイキープ率の高さが、活躍度を占ううえで大きな指標になる。真っ先に名前が挙がったのは、アマチュア時代を含め、過去この大会で3勝している古江彩佳だった。まだ勝利のない今季の米ツアーでも、フェアウェイキープ率は80.32%の6位と上位。「女子オープンで一緒に回りましたが、やはりスキルはずば抜けています。ドライバーも曲がらないし、何より、この大会には自信を持っているはずです」。日本での今季初優勝、さらに大会4勝目という結末も用意されていそうだ。
古江は、大会を主催する富士通の所属選手だが、もうひとりのホステスプロ・柏原明日架にも注目。「状態はいいですし、ドライバーでのコントロールショットが曲がらない。スイングもブラッシュアップされて、より曲がらないスイングが作られていますね」。優勝した8月の「NEC軽井沢72ゴルフ」以降も、2度のトップ10入り。軽井沢では「富士通で優勝したい」ということも目標に掲げており、気合も十分だ。
さらに金澤志奈と堀琴音という、今年の日本タイトル制覇者の名前も。金澤は「ソニー 日本女子プロ選手権」(茨城・大洗ゴルフ倶楽部)を、堀は日本女子オープンでメジャー勝利を挙げている。「金澤選手は大洗に比べたら、フェアウェイは広く見えるはず。そこでの経験も生きそうです。堀選手はフェアウェイキープ率が高く(81.3629%、現在1位)、フェアウェイに置かないといけない大会はもってこい。ファーストカットもダメとなれば、必然的に上に行きそうですね」と太鼓判を押す。
そんななか優勝スコアは「12アンダー」と予想。ただそれもかなり頭を悩ませながらはじき出した数字だ。「グリーンが硬ければ、1ケタもありますし、そこまでビッグスコアがでない可能性も考えられます。今年はいつもとは違う富士通が見られるはずです」。予測不能…そんな戦いになるかもしれない。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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