日本OP優勝→マスターズに小平智は“胸中複雑” 思い出される2017-18年の過酷ロード
<日本オープン 初日◇16日◇日光カンツリー倶楽部(栃木県)◇7238ヤード・パー70>
今年の「日本オープン」の優勝者には、これまでの「全英オープン」に加えて「マスターズ」の出場資格が付与されると発表されたのは8月末。ゴルフ界のビッグニュースに小平智は複雑な気持ちだった。
「選手にとってはいいことですけど…。正直、イヤでした」
小平は2018年と2019年にマスターズへ出場し、18年は28位タイに入っている。この出場権を獲得するために世界ランキング(以下、WR)50位以内という“険しい道”を乗り越えた経験がある。
「ワールドランキング50位以内に入るために、かなり大変な思いをしました」
宮里優作と賞金王争いをした2017年。1月はWR96位でスタートし、5月の「~全英オープンへの道~ミズノオープン」終了時点では124位だった。その後は2勝を挙げるなどポイントを加算して、国内ツアー最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」終了時点ではWR49位。『年末時点のWR50位以内』という出場資格の圏内だったが、他の選手の動向もあり、最終的にWR51位で招待状を逃した。
翌18年は、大会前週の50位以内入りを目指して、年明けから海外を転戦。まず日本とアジアの共同主管大会の「SMBCシンガポールオープン」と「レオパレスミャンマーオープン」で2位タイに入り、WR35位に浮上。その後は豪州、米国で4試合に出場し、WR46位で夢の舞台にたどり着いた。
そして「マスターズ」初出場の翌週に行われた米ツアー「RBCヘリテイジ」では、日本勢として史上5人目の優勝を遂げて、2度目の「マスターズ」の切符をつかんだ。
「年始から海外に行ったり、苦労した思い出がある。まだ賞金王なら納得できるんですけど、ここで優勝して出られるというのは…というのが正直な気持ちです。だから、どうしても僕が出たいと思いました」
アマ時代も含めて通算15回目の出場となる今大会。15年には優勝を挙げており、ナショナルオープンとして特別な思いを持っている。初日は「無理しないことを心掛けていました」と丁寧なゴルフで3バーディ・2ボギーの1アンダー「69」で回り、首位と2打差の暫定3位タイで滑り出した。
「例年に比べると比較的ラフが整っていて、“ありえないラフ"みたいな感じじゃない。ショートアイアンなら打てなくもないし、マネジメントしていけばスコアになっていくセッティングなので、面白いしやりがいを感じている」と闘志を燃やす。
18年から米国を主戦場としてきたが、23年に一時撤退。今年8月には7年ぶりに国内ツアーで優勝を挙げ、12月には米ツアーのQTに挑戦する予定だ。再び米国のルートでオーガスタに立つことを目指しているが、今週、いち早く来年のマスターズの切符を手にするのも悪くない。(文・小高拓)
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