スマホのSDカードスロットの廃止がじわじわ進むのはなぜ?今でも使える機種はどれ?

Androidスマホやタブレットの進化と共に、microSDカードスロットが搭載されていない端末が増えてきていることに気付いている人もいるでしょう。
数年前まではAndroidスマホを中心に当たり前のように搭載されていたこの小さなスロットですが、特に海外メーカー製品ではじわじわと「非搭載」が定着しつつあります。OPPOが2025年9月に発売した低価格帯のタブレット「OPPO Pad SE」でSDカードスロットが廃止されたことは、その代表的な事例といえるでしょう。

では、なぜSDカードスロットは「非搭載モデルの増加」や「廃止」が顕著なのでしょうか?そして、今なおSDカードが持つ魅力とは何なのでしょうか?この記事では、SDカードスロット廃止の背景を深掘りしていきます。
なぜスマホやタブレットのSDカードスロット非搭載モデルが増えるのか

冒頭でも述べた通り、海外メーカーのスマホやタブレットではSDカード非搭載のモデルが増えています。たとえばXiaomi「POCO F7 Pro」は、SDカードスロット非搭載のモデルの1つです。
「POCO F7 Pro」はフラッグシップレベルの性能を約7万円という手頃な価格で提供するコストパフォーマンス重視のスマートフォンです。Snapdragon 8 Gen 3プロセッサー、6000mAhの大容量バッテリー、90Wの急速充電、2K/120Hz対応有機ELディスプレイなど、通常10万~20万円クラスの機種に搭載される高性能機能を詰め込んでいます。一方で、日本市場向けの機能であるおサイフケータイ(FeliCa)には非対応で、microSDカードスロットも廃止されています。
このトレンドは、かつて多くのスマートフォンに搭載されていた3.5mmイヤフォンジャックの廃止や、物理的なSIMカードからeSIMへの移行という大きな潮流と重なります。技術の進化、デザインの洗練、そしてビジネスモデルの変化が、スマートフォンの姿を少しずつ変えているのです。
筆者が独自に調べたところ、少なくともイヤフォンジャックとSDカードスロットを両方搭載しているAndroidスマホは希少な存在にすらなりつつあります。

メーカーがSDカードスロットを廃止するには、いくつかの複合的な理由があります。
内部スペースの確保とデザインの自由度

スマートフォンのデザインの大きなトレンドはiPhone Airに代表される『薄型化』と、『バッテリーの大容量化』です。つまりスマートフォンは「より薄い内部」に「より大きなバッテリー、高性能なカメラ、5G通信のための複雑なアンテナ」など、多くの部品を詰め込む製品へと発展しているのです。SDカードスロットはわずかなスペースですが、そのスペースを他の部品のために活用できることは昨今のトレンドから見ればメーカー側にとって大きなメリットになり得ます。
また、スロットという開口部をなくすことで、防水・防塵性能を高め、よりシームレスで美しいデザインを実現しやすくなるというメリットもあります。
動作の安定性とパフォーマンスの保証
SDカードにはさまざまなメーカーの製品があり、その品質やデータ転送速度はピンからキリまでです。そして近年のスマートフォンは4K動画撮影など、高速なデータ書き込みを要求する機能が増えています。 ユーザーが低速なSDカードを使うと、データの書き込みに失敗する可能性があります。
メーカーとしては、こうしたリスクを避け、内蔵ストレージのみに絞ることで、安定したパフォーマンスを保証したいという狙いがあります。
それでも魅力は健在!SDカードスロットのメリットとは?

スマホの「高性能化」や「薄型化」などのトレンドの中で、海外メーカーの端末からはSDカードが姿を消しつつあります。一方、それでもSDカードを求めるユーザーのニーズは大きいのも事実です。
内蔵ストレージの節約と圧倒的なコストパフォーマンス
スマートフォンの内蔵ストレージは、容量が大きくなるほど価格が大きく跳ね上がります。一方でSDカードは、比較的安価に大容量のストレージを手に入れることができます。たとえば、数千円で128GBや256GBの容量を追加できるため、コストを抑えたいユーザーにとっては非常に魅力的な選択肢です。
そして音楽や動画、写真など大容量ファイルはSDカードに保存することで、内蔵ストレージの空き容量を手軽に確保できます。
手軽なデータ管理・バックアップ
機種変更時のデータ移行は何かと手間がかかるものですが、SDカードを使えば非常にスムーズです。写真や動画、音楽といった主要なデータをSDカードに保存しておけば、新しいスマートフォンにカードを差し替えるだけで、多くのデータを引き継ぐことができます。
またSDカードなら、いつでもどこでもオフラインでデータを確認・移動できます。
2025年現在も購入可能なSDカードスロット搭載スマートフォン
2025年9月現在も購入可能なSDカードスロットが搭載されたスマホを2種ご紹介します。
Sony Xperia 10 VI

ソニーのXperiaシリーズは、ハイエンドからミドルレンジまで、多くのモデルで一貫してSDカードスロットを搭載し続けている貴重な存在です。
「Xperia 10 VI」は、ミドルレンジに位置しながらも、21:9の縦長ディスプレイによる独特の使いやすさや、信頼性の高いカメラ性能、そしてオーディオ機能の充実が魅力です。最大1.5TBのmicroSDXCカードに対応しており、高画質な写真や動画、ハイレゾ音源などを容量を気にせず楽しめます。
SHARP AQUOS sense9

シャープのAQUOS senseシリーズは、「ちょうどいい」性能と手頃な価格で人気のシリーズですが、SDカード対応も継続しています。
「AQUOS sense9」は、軽量ながらも大容量バッテリーを搭載し、省電力性能に優れたディスプレイにより、長時間の電池持ちを実現しています。日常使いには十分な性能を持ちつつ、SDカードで気軽に容量を増やせるため、コストを抑えつつも安心して長く使いたいユーザーにおすすめできる一台です。
スマートフォンのSDカードスロット廃止は、技術の進化やユーザーの利用スタイルの変化を背景とした、ある意味で自然な流れと言えるでしょう。クラウドストレージの利便性や内蔵ストレージの大容量化は、多くのユーザーにとってSDカードの必要性を過去のものにしました。
しかし、データ移行の簡便さ、オフラインでのアクセシビリティ、そして何よりもコストパフォーマンスの高さといったSDカードならではのメリットは、今なお色褪せていません。
最終的に重要なのは、自分がスマートフォンをどのように使い、データをどう管理したいかです。クラウドサービスを主体に考えるのか、手元に物理的なバックアップがあることに安心感を覚えるのか。自身のデジタルライフに最適なストレージ環境は何かを考え、SDカードスロットの有無を、スマートフォン選びの重要な判断基準の一つとしてみてはいかがでしょうか。
記事提供元:スマホライフPLUS
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