シード復帰を狙う時松源蔵は6位発進も「暗闇に光がささないです」 女子プロから学んだ“ゴルフの基本”が復活のカギ
<ANAオープン 初日◇18日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
ツアー通算3勝を誇り、お茶の間でも「ゲンちゃん」の愛称で親しまれる時松源蔵がもがいている。昨年、7季連続で保持した賞金シードを喪失し、復活を期す1年。そんな今大会はプレーオフに2度進出した経験がある相性のいいコースだ。
初日は6バーディ・2ボギーの「68」でラウンドし、首位と3打差の4アンダー・6位タイの好発進だが、表情は浮かない。
天候が穏やかだった午前、インの10番から出た時松は、いきなりチップインバーディで滑り出すと、12番(パー5)、15番(パー4)、16番(パー3)で1メートル強のバーディチャンスにつけてスコアを伸ばした。バーディパットの距離だけを聞いているとショットが好調のようにうつるが、「悪いです。たまたまという感じもありましたし。朝は風がなかったので素直に飛んでくれたのもあります。必死にやっています」。なかなか思うような内容でプレーできていない。
「2、3年苦しんでいるのが続いていちゃっている感じです」。これまではフェードボールを持ち球に、飛距離よりも精度で勝負をしてきた。しかし、飛距離アップを目指してドローボールを打とうとすると、次第に持ち前のフェードが左に出て、左に曲がるボールに。そして、左を嫌がって右に飛ぶミスが増えてきたという。
「ああかな、こうかな、違うかな、考えすぎかなとか…。こういう入れ方をしたらいい球打てるけど、試合では打てないとか、そのサイクルですかね」。試行錯誤の日々が続き、以前よりは少しずつよくなってきている。「よくなるのは時間がかかるけど、悪くなるのは、スーって悪くなるんです」。今季だけを見ても序盤は20位前後の結果も多く、着実に賞金を稼いでいたが、直近は4試合連続で予選落ちの憂き目に合っている。
前週は茨城県で行われた下部のACNツアー「ケーダッシュセカンドチャレンジカップ」に出場したが、予選落ち。「(最終日の)金曜日がぽっかり空いてしまった」と同じ茨城県で開催されていた国内女子メジャー大会「ソニー日本女子プロ選手権」の会場に足を伸ばした。
朝6時から午後6時まで女子プロのプレーに見入った。「注目組とかについて回っていたんですけど、みんな曲がらないし、飛ぶ。ショートアイアンはベタベタつくし、パットが入るか入らないかだけの繰り返し。大洗(GC)も難しく感じないだろうなと。2オン2パットがゴルフの基本ですよね」。曲がらない女子プロのプレーでゴルフの原点を思い出し、ヒントを得た。
2016年から3年連続で年間1勝を飾り、18年には賞金ランキング8位に入った。当時のプレーは曲がらず、パーオンして、パットを沈めるスタイル。前週に見た女子プロたちのプレーと重なった。
「改善する部分も分かっているので、どれだけ曲げずにナイスオンできるか。パッティングのスタッツはいいけど、そこに行くまでがボロボロなので…。なかなか暗闇に光がささないです」。今大会は1番ホールのティイングエリア横に、ギャラリー向けに大型ビジョンが設置され、ティオフする選手の顔写真と今季の部門別データも表示される。平均パット数は4位(1.6986)だが、パーオン率は59.641%の110位タイが状態の悪さを物語る。
この日のフェアウェイキープ率は50%。「女子プロのように簡単にはいかない」が、ラフからでもしぶとくグリーンオンさせるなどパーオン率は77.778%を記録した。残り3日も「フェアウェイに打って、ナイスオンして、パターを入れる。この繰り返しです」。今季ここまでの賞金ランキングは70位とシード圏内の65位の近くにいる。今週で、ボーダーラインを一気に突破したい。(文・小高拓)
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