史上5人目快挙に王手の清水大成「特典がすごい」 異次元の『63』を支えた“日本一のパット力”
<日本オープン 3日目◇18日◇日光カンツリー倶楽部(栃木県)◇7238ヤード・パー70>
首位と2打差の5位タイから出た26歳の清水大成が8バーディ・1ボギーの「63」でラウンド。大会最少ストロークにあと1打に迫る快進撃を披露し、2位に4打差をつけて単独首位に立った。1973年のツアー制度施行後、わずか4人しかいない同一年の「日本プロ」「日本オープン」制覇に王手をかけた。
多くの選手が難セッティングに苦しむ中、ゲームのようにスコアを伸ばした。1番パー4で6メートルのバーディパットを沈める。「気持ち良く打てて、そこできょう一日のフィーリングが良かった」と好感触を得ると、前半はパーオンした6ホールすべて1パット。グリーンに乗ればバーディという勢いで一気に首位へ駆け上がった。
後半でもピンチしのぎながら2つ伸ばし、後続を突き放した。この日のフィールドの平均ストロークは「72.194」。「63」はまさに異次元のスコアだ。
「きょうはティショットが安定していた。いい位置からセカンドが打てて、チャンスについてしっかり入った感じです。かみ合えば5アンダーはいけると思っていたけど、それを超えたので本当にいいプレーができたと思います」と一日を振り返った。
ティショットは「絶対に逆球が出ない」スライス系の球筋が安定しており、想定外の林やラフに行くことはなかった。そして2打目で多くのチャンスを演出。この日の平均パット数「1.3846」という驚異的な数字が示す通り、次々とチャンスを決めた。
ドライバーの平均飛距離300ヤードを超える飛ばし屋だが、昨季の平均パット部門は歴代最高となる「1.6884」で1位。今週もここまで「1.5143」でフィールド1位と好スコアを支えている。
清水はボールの横でカップを見ながら素振りを繰り返し、タッチのイメージを出す。パッティングが入るプロは、よくラインが見えるというが「(ラインが見えるタイプでは)ないですね。そこに打てば入るかな、みたいな」。パッティングで大事にしていることを聞くと、「芯に当てることは大事だと思います」と答える。
今季女子ツアーで初優勝を遂げた20歳の菅楓華は、親交のある清水に「パットを教えてもらって良くなった」と話していた。芯に当たらない悩みを清水に相談し、「フェースの芯を挟むように2本の爪楊枝をテープで貼り、ちょうどボールが当たる幅で打つドリル」を教わったという。清水自身も「昔はやっていました」とこの練習で芯に当てる感覚を磨いてきた。
今年90回を迎える歴史あるナショナルオープン。今年はこれまでの「全英オープン」に加えて、「マスターズ」の出場権が優勝者に付与される。清水も「この大会で勝つと特典がすごいですよね」と鼻息を荒くしている。
それだけではない。今年の「ダンロップフェニックス」終了時点の賞金ランキング1位は米ツアーの最終予選会から出場でき、2位から5位は同2次から出場できる。現在10位につける清水にとって、優勝賞金4200万円は5位以内浮上を狙ううえでも大きな意味を持つ。
2位とは4打差、3位とは6打差の大量リード。「本当に(優勝を)意識するのは最終日の後半からだと思います。あすはいろいろ考えすぎず、また自分のプレーをすることに集中してがんばります」。“特典つきの王冠”をかけた戦いは、残り18ホールだ。(文・小高拓)
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