特別報酬の大盤振る舞い!? ウーバーイーツの新規エリアはガッポリ稼げるのか?【チャリンコ爆走配達日誌】
ウーバーイーツのサービス対象地域「新規エリア」で配達してみました
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第117回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
* * *
2025年6月、ウーバーイーツのサービス対象地域が拡大しました。
新しい地域で配達が始まると、配達員には一斉メールで「新規エリア」のお知らせが送られてきます。
ウーバーイーツのサービス対象地域「新規エリア」のお知らせ①
新しい配達エリアの中には、配達員不足を懸念してか、運営側が配達員を新規エリアに誘導しようと特別報酬を出す場合があります。クエストと呼ばれる、ゲリラ豪雨などの大雨の日に出される特別報酬も東京都内では1配達あたり多くても200円。そんな状況の中、雨の予報が出ているわけでもないのに、新規エリアでの特別報酬は1配達あたり300円から500円と高めです。
ウーバーイーツのサービス対象地域「新規エリア」のお知らせ②
ウーバーイーツのサービス対象地域「新規エリア」のお知らせ③
北関東の3つの新エリア(群馬県渋川市、栃木県那須塩原市、茨城県筑西市)では、6月末より特別報酬のお知らせが毎週送信されてくるので、配達員不足が起こっているのだろうなと感じました。この地域で配達したらガッポリ稼げるかもしれない。そんなわけで、残暑厳しい8月末、500円の特別報酬が支給される茨城県筑西市で配達をしてきました。
ウーバーイーツ配達をした茨城県筑西市
筑西市を選んだのは、6月下旬に1配達あたり300円だった特別報酬が500円に値上げされ、電動アシスト自転車のレンタル代も12時間500円。都内からの交通費も比較的安く、そしてアップダウンが少なそうだったことが理由です。
朝8時に筑西市役所が目の前にある下館駅に到着。配達員用アプリを立ち上げ、市役所前で電動アシスト自転車を借り、自転車で10分ほどの場所にある国道沿いのマクドナルドへ。ドリンクを購入して店内で待機していたのですが、注文が全く入りません。
私には全く配達依頼が回ってきません
ウーバーでは直近の時間で注文依頼のあった店を表示する機能があるのですが、私に注文は回ってきません。ドリンク1杯で長居するのも悪いので、1時間に1杯アイスコーヒーを頼むのですが、これでは支出が増えるばかりです。
マクドナルドでスマホをいじりながら待機すること7時間。アイスコーヒーやハンバーガーでお腹がパンパンだったのと、昼間の暑さがようやく落ち着いたので、腹ごなしにケンタッキーフライドチキン、吉野家、はま寿司、すき家など、近くにあるウーバーの配達サービスの対応店を回ってみました。
適度にスーパーマーケットでドリンクを購入し、イートインコーナーで休憩をはさみつつ3時間ほど回りましたが、それでも自転車配達をする私に依頼はまったくきません。
日が徐々に落ち、あたりが暗くなり始め、配達がないまま終わるのかと諦めかけた18時過ぎ、ついに配達がやってきました!
ようやく配達依頼が届きました
配達料は1577円、500円の特別報酬と合わせると2077円です。単価としてはなかなかのものですが、距離を見ると15.1km。配達先から下館駅まで戻ってくる距離を考えるとトータルの走行距離20km以上。ですが、このまま1円も得られずに帰るのもきついので依頼を受けました。
5km先にあるローソンへ向かい、缶チューハイやつまみを受け取り、10km先まで届け、下館駅近くの店が多く集まるエリアへ戻ったのは20時過ぎ。都内へ戻る列車の最終は21時30分ごろなので、配達はこれで終了。
自転車の返却作業をして、駅の待合室で「交通費と自転車代、マクドナルドでの食事代やスーパーマーケットでのドリンク代を考えると3000円ほどの赤字か」なんて考えていると、20時30分ごろに配達距離の短い依頼が。自転車を返却してしまったので再度レンタルの手続きをして商品を受け取りにラーメン店へ。
つけ麺を受け取って配達開始ボタンを押し、注文された方の元へ向かおうと配達員用アプリの画面を見ると、画面が配達モードではなく依頼待受モードの画面に。サポートに連絡をして配達しようと思ったものの、「ヘルプ」の画面にサポートのチャットへ繋がるメニューはありません。
ネットでサポートの電話番号を調べて電話するもののつながらず、どう対応したらいいのか指示を仰ぐことがまったくできませんでした。終電の時間もあったので20分ほど調べたところで配達を断念。ラーメンを持ったまま帰宅することにしました。
すると、帰りの列車の中で「渡辺様がキャンセル操作をしたことでキャンセルとなりました。なぜキャンセルしたのか詳細な理由を教えてください」といった旨のメールや「あやまってキャンセルした場合は10分間、サポートとチャットができるようになっております」というメール(どうやったらサポートとのチャットのチャンネルを開くことができるかの説明はありません)が届き、いろいろ対応しましたが、状況を細かく説明したので、アカウントが永久停止となるような処分とはなりませんでした。
結局、追加で自転車を借りたので3500円ほどの赤字。現地に12時間30分滞在して1回しか配達できませんでした。
バイクや軽自動車の配達員にはある程度配達依頼が届いているのでしょうか。それとも、新規エリアで注文者がオーダーして「配達員とマッチングしませんでした」となると客離れが起こるので、それを避けるために注文がまったくなくても配達員だけはスタンバイさせておこうということなのでしょうか。特別報酬を出す理由はわかりませんが、自転車配達員は特別報酬目当てで北関東の新規エリアへ行っても稼ぐのは厳しいと思います。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。