極限の状況下での人間の姿を描き、戦争の恐怖をあぶり出した「野火」 戦後80年アンコール上映決定
塚本晋也監督が戦後70年に当たる2015年に初公開し毎夏かかさず上映を重ねてきた、太平洋戦争末期のフィリピン戦線でのレイテ島を舞台に戦争の恐怖をあぶり出した「野火」。今年も8月15日(金)の終戦記念日を中心に渋谷・ユーロスペースほか全国にて戦後80年アンコール上映を行うことが決定した。
構想から20年の歳月をかけ完成させ、2015年に全国83館で劇場公開。その後も、製作当初から『「野火」を毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい』という塚本監督の思いに共感した劇場にて、毎年アンコール上映を重ねてきた。初年度からの劇場・自主上映含む総観客数は10万人を突破しており、今回のアンコール上映がこれまでのかたちでの上映の集大成となる。(※上映劇場などの詳細は公式サイトで随時発表)
極限の状況下での人間の姿を描き、戦争の恐怖をあぶり出した「野火」。未だ世界で戦禍が止まぬ中、戦後80年を迎えた日本で、戦争と平和について考える機会にしていきたい。
塚本監督コメント
10年目の「野火」を超え、11年目、戦後80年の「野火」になります。10年もの間、毎年終戦記念日のころに上映を続けてくださった映画館の皆さま、そして劇場にお越しくださった皆さまに心より感謝を申し上げます。戦後70年の年は、日本が戦争に近づいているという恐怖心があり、上映を始めましたが、それから10年、今は世界が恐ろしい事態に近づいているのでは、と心配です。戦争をわれわれ一般人の目線で描いた「野火」、これからご覧になる方も、すでにご覧になった方も、肌感覚で戦争を思い出していただきたく、ぜひ劇場でこの映画を体験していただきたいと思います。今年でいったんこれまでの形での上映は終了しますが、今の世界の状況にあって、「野火」の上映自体は今後も続けたく、あらたな場を求めていきたいと思っています。もちろんこれまでお世話になった劇場さんも状況が許されるとき引き続きお願いしたい所存です。ここまでほんとうにありがとうございました。それでは戦後80年の「野火」、よろしくお願いします。
Story
第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。日本軍の敗戦が色濃くなった中、田村一等兵(塚本晋也)は結核を患い、部隊を追い出されて野戦病院行きを余儀なくされる。しかし負傷兵だらけで食料も困窮している最中、少ない食料しか持ち合わせていない田村は早々に追い出され、ふたたび戻った部隊からも入隊を拒否される。そしてはてしない原野を彷徨うことになるのだった。空腹と孤独、そして容赦なく照りつける太陽の熱さと戦いながら、田村が見たものは……。
「野火」戦後80年アンコール上映
製作:海獣シアター
配給:新日本映画社
©SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
公式HP:http://nobi-movie.com/
2025年夏、渋谷・ユーロスペースほか全国にて公開
記事提供元:キネマ旬報WEB
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